【連載:清水草一の自動車ラスト・ロマン】#36 クラッチ残量は砂上の楼閣!
楽しげなアラートの数々!
大貴族号こと我がマセラティ・クアトロポルテ(5代目のデュオセレクト)は、車検のため練馬のマイクロ・デポ本社に預けられた。
【画像】これこそが自動車ラスト・ロマン!大貴族号こと清水草一の愛車、5代目『マセラティ・クアトロポルテ』 全117枚
同社の岡本(弟)さんに仕上がり時期を聞くと、「たぶん2週間くらい」とのことだったので、じゃ次の連載〆切には間に合うな、と嵩をくくって引き上げた。

様々に楽しげなアラートの数々は、診断機でのリセット作業が必要! 岡本和久
しかし、そろそろ2週間という頃になっても連絡がない。岡本和久代表に「まだですか〜?」とメッセージを入れたところ、すぐ返信があった。
岡本「ハザードランプが点かないのと、様々に楽しげな(笑)アラートの数々は、診断機でのリセット作業が必要なので、メカトリエ(注:茨城県つくば市にあるマイクロ・デポの広大な拠点)に運ばせて頂きました。土曜日に作業予定ですが、天候次第デス。お待たせして申し訳ございません」
当連載は金曜日に公開なので、土曜日に作業予定ってことは、間に合わないことが確定した(それで1回休載)。しかも天候次第というのだから、マイクロ・デポの整備は、農作業に近いようだ。
大山鳴動してハザードランプ点く!
問題の土曜日は雨だったが、作業できたらしく、当日、「大山鳴動してハザードランプ点きました。アラートやオーディオのリセットもできましたヨ」と連絡が入った。よかった。いよいよ仕上がりが近そうだ。
オレ「じゃ、せっかくなので、デュオセレクトのクラッチ残量、わかったら教えてください」

茨城県つくば市にあるマイクロ・デポのメカトリエにて大貴族号!(手前) 岡本和久
それについても間髪入れず返信があった。
岡本「そっちは『10%』とか出てくるんです。交換時のリセットがキチンと出来てなかったのかなぁ……」
えっ、納車時に85%だったのが、わずか5000キロで10%になっちゃったの!?
私は納車時の画像データを見直した。よく見ると、同じ項目が『15%』となっている。つまり、もともとクラッチ残量は85%じゃなく15%で、それが5000キロ走行で10%に減っただけじゃないのか!?
矢も楯もたらまず、直接電話を入れてみた。
岡本「デュオセレクトのクラッチ残量表示は、消耗率のほうが出ることが多いんですけど、生産時期によっては残量の場合もあって、どっちかわかんなかったりするんですよ」
げえっ! 肝心要がわかんないなんて、さすが(20年前の)マセラティ!
岡本「でも、仮に残量10%だったとしたら、ミッションの警告灯がもう点いてるはずなんですよね。ディーラーでは、残り30%を切ったら交換するくらいですし。だから、前回のクラッチ交換の時に、数値がリセットされてなかったんじゃないかなー、って思うんですよー」
やってはいけない不適切行為!
オレ「ひょっとして、新車時から今まで(走行6万5000km)持っちゃったってことはないですか? (大貴族号の)スポーツGTはクラッチの消耗が少ない、みたいな記事を見たことあるんですけど」
岡本「いや、それは絶対ないですね。どんなに持っても3万5000kmです。だから、1〜2回はやってると思います」

次の車検まで持つか持たないか、オレは賭けに出る! 岡本和久
そうなのか……。
言われてみれば、同じシングルクラッチのセミATであるフェラーリ360モデナのF1マチックも、クラッチの寿命は3万kmくらいだと聞く。マセが6万km以上持つなんてあり得ないか。
でも、(20年前の)マセの警告灯はもともと信用できないわけなので、『警告灯が点いてないからリセットされてないだけで、クラッチ残量はもっとあるはず』という推論も砂上の楼閣。結局、「わかりません!」なのである。
まあいいや! どっちにしても、いまわざわざクラッチ交換するなんてあり得ない。なぜってすこぶる快調だし、警告灯も点いてないんだから!
大貴族号は、いつ何が起きるかわからない自動車ラスト・ロマンだ。
なのに、ロマン(≒故障)にビビッて、事前に100万円以上かけてクラッチを交換するなんて、やってはいけない不適切行為である。たとえクラッチ残量が10%だったとしても、ここ5000キロの消耗率からすると、計算上、あと1万キロくらい走れるはず。
つまりざっと2年! 次の車検まで持つか持たないか、オレは賭けに出る! 繰り返すが、これは自動車ラスト・ロマンなのだから!
(つづく/隔週金曜日掲載、次回は6月26日金曜日公開予定です)

