「今、会議中だから至急…」オフィスで急増する“ニセ社長”の手口と撃退術
「今、会議中だから電話に出られない」「内密に、至急この件を進めてほしい」--忙しい業務中、社長や上司からこんな連絡が届いたら、つい急いで対応してしまう人もいるかもしれない。
【図解】返信前に確認したい「ニセ社長メール」対策一覧
しかし、そのメールやチャットは、本当に本人からの指示なのだろうか。実は今、社長や役員になりすまして社員をだます「ニセ社長メール」の手口が巧妙化している。
以前のスパムメールは、不自然な日本語や怪しいURLで見破れるものも多かった。だが最近は、実際の業務連絡と見分けがつきにくい自然な文面で送られてくるケースもあるという。では、忙しい仕事中に届く“それっぽい指示”を、どのように見抜けばいいのか。
今回は、情報セキュリティの専門家であるLRM株式会社取締役COO・藤居朋之さんに、最新の手口と、今日から実践できる防衛術を聞いた。

メールの見た目だけでは、危険かどうかを判断しづらくなっている
■“社長らしい文面”ほど疑うべき理由
スパムメールと聞くと、不自然な日本語や、怪しいURLが貼られたメールを思い浮かべる人は多いだろう。
しかし、最近の手口はそれほど単純ではない。ITリテラシーに自信がある人ほど、「自分は見抜ける」と思いがちだが、その感覚のままだと危ないという。
「昔の偽社長メールは、不自然な日本語で送金を促すなど、精度の低いものを大量に送る手口が中心でした。ところが今は、生成AIの発展によって、実際の業務メールに紛れても違和感のない文面に進化しています」(藤居さん、以下同じ)
攻撃者は、企業HPやSNSから情報を集める。たとえば、社長が社外イベントに出席していることを把握したうえで、「今、電話に出られないから、チャットで至急対応してほしい」といった、状況に合った自然な口実を作ってくるという。
「最近は、セキュリティ製品に検知されにくいよう、添付ファイルやURLを一切入れないメールもあります。いきなり送金を求めるのではなく、まずは返信させたり、別のチャットツールへ誘導したりしながら、段階的に信じ込ませていくのが特徴です」
もはや、文面の不自然さや怪しいリンクの有無だけで見抜ける時代ではない。だからこそ、「普通の業務連絡に見えるメール」ほど、一度立ち止まって確認することが必要になっている。

忙しい日ほど、確認より先に手を動かしてしまうことはないだろうか...
■権威・焦り・秘密が、人の判断を狂わせる
どれだけセキュリティ対策を強化しても、最後に判断して操作するのは人間だ。そのため最近のサイバー攻撃は、システムの弱点を突くものだけでなく、人の心理につけ込む手口へと広がっている。
「今は、いかにシステムを破るかではなく、どう人を動かすかに攻撃の軸が移っています。騙される理由は、大きく分けて『権威』『焦り』『秘匿性』の3つです」
一例を挙げると、社長や外部の弁護士を名乗られると相手の指示を疑いにくくなる。そこに「至急対応してほしい」と急かされ、「この件は内密に」と言われると、周囲に確認する機会も失われてしまう。
こうした条件が重なると、普段なら気づける違和感にも気づきにくくなる。
「リモートワークの普及で、近くの人にすぐ確認しづらくなったことも影響しています。さらに、株主総会や決算期など、本人に確認を取りにくいタイミングを狙ってくるケースも少なくありません」
周囲の目が届きにくい環境で、上層部からの強い指示を受ける。そんな状況に置かれれば、普段は慎重な人でも判断を誤ってしまう可能性があるわけだ。

「念のため確認します」と言える空気も、職場を守る大事な仕組みと言える
■その指示、いつもの手順ですか?
では、こうした巧妙な手口から身を守るには、どうすればいいのか。
ディープフェイク技術によって、偽のCFOがウェブ会議に登場し、社員をだました海外の事例も報告されている。もはや、メールの文面や見た目だけで本物かどうかを見極めるのは難しい。
「社長らしい文面は、今では簡単に偽造できます。だからこそ、内容だけで判断しないことが大原則です。見るべきポイントは、その指示が『通常のフローから外れていないか』です」
「今回は例外だから」「後で正式に処理する」といった言葉があっても、そのまま受け入れるのは危険だ。普段と違う手順を求められた時点で、一度冷静に考えてみる必要がある。
「最も確実なのは、日常業務で利用している社内の電話や普段使っている社内チャットなど、必ず『別経路』で本人確認をすることです。相手がプライベートの電話番号や別チャットを提示してきても、自分があらかじめ知っている正規の連絡先で確認することが重要です。たとえ理不尽に怒られる可能性があっても、まずはひと息ついて、焦らず確認する心構えが大切です」

【図解】返信前に確認したい「ニセ社長メール」対策一覧
セキュリティ対策というと、専用ツールやシステムの話を思い浮かべがちだ。もちろんそれも大切だが、最後に踏みとどまれるかどうかは、現場で働く一人ひとりの判断にかかっている。
少しでも違和感があれば、怒られるかもしれないと思っても、正規のルートで確認する。そのひと手間が、結果的に会社を守ることにつながるのだ。
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※本記事内のイメージ画像(図解)は、生成AIで作成しています。
【図解】返信前に確認したい「ニセ社長メール」対策一覧
しかし、そのメールやチャットは、本当に本人からの指示なのだろうか。実は今、社長や役員になりすまして社員をだます「ニセ社長メール」の手口が巧妙化している。
以前のスパムメールは、不自然な日本語や怪しいURLで見破れるものも多かった。だが最近は、実際の業務連絡と見分けがつきにくい自然な文面で送られてくるケースもあるという。では、忙しい仕事中に届く“それっぽい指示”を、どのように見抜けばいいのか。

■“社長らしい文面”ほど疑うべき理由
スパムメールと聞くと、不自然な日本語や、怪しいURLが貼られたメールを思い浮かべる人は多いだろう。
しかし、最近の手口はそれほど単純ではない。ITリテラシーに自信がある人ほど、「自分は見抜ける」と思いがちだが、その感覚のままだと危ないという。
「昔の偽社長メールは、不自然な日本語で送金を促すなど、精度の低いものを大量に送る手口が中心でした。ところが今は、生成AIの発展によって、実際の業務メールに紛れても違和感のない文面に進化しています」(藤居さん、以下同じ)
攻撃者は、企業HPやSNSから情報を集める。たとえば、社長が社外イベントに出席していることを把握したうえで、「今、電話に出られないから、チャットで至急対応してほしい」といった、状況に合った自然な口実を作ってくるという。
「最近は、セキュリティ製品に検知されにくいよう、添付ファイルやURLを一切入れないメールもあります。いきなり送金を求めるのではなく、まずは返信させたり、別のチャットツールへ誘導したりしながら、段階的に信じ込ませていくのが特徴です」
もはや、文面の不自然さや怪しいリンクの有無だけで見抜ける時代ではない。だからこそ、「普通の業務連絡に見えるメール」ほど、一度立ち止まって確認することが必要になっている。

■権威・焦り・秘密が、人の判断を狂わせる
どれだけセキュリティ対策を強化しても、最後に判断して操作するのは人間だ。そのため最近のサイバー攻撃は、システムの弱点を突くものだけでなく、人の心理につけ込む手口へと広がっている。
「今は、いかにシステムを破るかではなく、どう人を動かすかに攻撃の軸が移っています。騙される理由は、大きく分けて『権威』『焦り』『秘匿性』の3つです」
一例を挙げると、社長や外部の弁護士を名乗られると相手の指示を疑いにくくなる。そこに「至急対応してほしい」と急かされ、「この件は内密に」と言われると、周囲に確認する機会も失われてしまう。
こうした条件が重なると、普段なら気づける違和感にも気づきにくくなる。
「リモートワークの普及で、近くの人にすぐ確認しづらくなったことも影響しています。さらに、株主総会や決算期など、本人に確認を取りにくいタイミングを狙ってくるケースも少なくありません」
周囲の目が届きにくい環境で、上層部からの強い指示を受ける。そんな状況に置かれれば、普段は慎重な人でも判断を誤ってしまう可能性があるわけだ。

■その指示、いつもの手順ですか?
では、こうした巧妙な手口から身を守るには、どうすればいいのか。
ディープフェイク技術によって、偽のCFOがウェブ会議に登場し、社員をだました海外の事例も報告されている。もはや、メールの文面や見た目だけで本物かどうかを見極めるのは難しい。
「社長らしい文面は、今では簡単に偽造できます。だからこそ、内容だけで判断しないことが大原則です。見るべきポイントは、その指示が『通常のフローから外れていないか』です」
「今回は例外だから」「後で正式に処理する」といった言葉があっても、そのまま受け入れるのは危険だ。普段と違う手順を求められた時点で、一度冷静に考えてみる必要がある。
「最も確実なのは、日常業務で利用している社内の電話や普段使っている社内チャットなど、必ず『別経路』で本人確認をすることです。相手がプライベートの電話番号や別チャットを提示してきても、自分があらかじめ知っている正規の連絡先で確認することが重要です。たとえ理不尽に怒られる可能性があっても、まずはひと息ついて、焦らず確認する心構えが大切です」

セキュリティ対策というと、専用ツールやシステムの話を思い浮かべがちだ。もちろんそれも大切だが、最後に踏みとどまれるかどうかは、現場で働く一人ひとりの判断にかかっている。
少しでも違和感があれば、怒られるかもしれないと思っても、正規のルートで確認する。そのひと手間が、結果的に会社を守ることにつながるのだ。
※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。
※本記事内のイメージ画像(図解)は、生成AIで作成しています。
