「新しいSiriが登場する」--華やかな演出に沸いたAppleの発表。だがその舞台裏で、ビッグテックの主従が静かに入れ替わっていたとしたら、どう感じるだろうか。手元のスマートフォンで毎日触れている機能の"脳"が、実は別の会社に握られているという見立てがある。
 
実業家のマイキー佐野氏は、自身のYouTubeチャンネルで、この構図を経営学の視点から解き明かしている。表向き、AppleはプライバシーとオンデバイスAIを前面に押し出す。だが佐野氏は、開発から学習、そして実行に至る本当のインフラがどこにあるのかを問い直し、AppleとGoogleの力関係がすでに逆転していると読む。軽い処理は手元で片づく一方、重いタスクはどこへ運ばれ、誰の設備の上で動いているのか。そこに視点を据えると、発表の華やかさとは別の景色が見えてくる。
 
その論拠として佐野氏が持ち出すのは、企業同士の交渉力を左右する経営学の考え方だ。組織はどれも自己完結できず、必ず外部の資源に頼る。ならば、決定的な資源を握る側と、それを借りる側では、どちらが立場を強くするのか。他社に真似されにくく、代わりが利かない資源ほど、持ち手の発言力は増していく。ひと昔前まで、両社の関係はむしろAppleが主導権を握る側だった。それが今、なぜ立場が入れ替わりつつあるのか。しかも一度組み上がった仕組みは、簡単には別の土台へ移せない。この移りにくさこそが、交渉の場で静かに効いてくると佐野氏は説く。
 
さらに興味深いのは、Appleが「他のAIも自由に選べる」とオープンな姿勢を見せる、その見せ方そのものへの読み解きだ。柔軟に映る選択肢の裏で、利用者が何も指示しなければ、処理は結局どこへ流れ着くのか。そしてなぜAppleは、あえてこの構造を選んだのか。佐野氏はここに、ある規制の網を巡る計算が潜んでいると指摘し、表に並ぶ選択肢は化粧にすぎないとまで言い切る。
 
表面の発表だけを追えば見えてこない、インフラという土台の奪い合い。派手なアップデートの陰で、誰が本当の主導権を手にしたのか。その答えの輪郭が、静かに描かれている。

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現在はアカデミズム関係者・経営者・投資家・学生が参加するビジネススクールも運営