=LOVE

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 =LOVEにとってMUFGスタジアム(国立競技場)という場所は、夢の先にあった“夢の果て”だ。指原莉乃プロデュースアイドルとして2017年にデビューしてから約9年。決して順風満帆とは言えない、苦難の航路を進んだ先にあったのは、国立競技場という会場に見合うアイドル、=LOVEとしての姿だった。

(関連:【画像】大雨の国立競技場に立つ=LOVE

 6月20日(土)、21日(日)に国立競技場で開催された『=LOVE STADIUM LIVE 「Beyond "KYUN"♡」』。今年4月に行われた横浜スタジアム公演の7万人を大きく上回る、2日間で約13万2千人を動員した。あいにくの雨が降る中での公演となった初日を筆者は現地で取材。東京ドーム公演の開催発表があった2日目(配信で視聴)と合わせて、本記事ではレポートしていきたい。

 開演前、スクリーンには10色のハートのダイヤモンドがついたリボンが映し出されており、幕が上がることでそれが“十人十色”のメンバー=プリンセスへと変わっていく。1曲目を飾ったのは、グループに追い風を吹かせた代表曲「とくべチュ、して」。センターである佐々木舞香の「こくりチュ、して?」というこれ以上のないアレンジに始まり、フェアリーな新衣装、ラベンダーグレージュという新たなヘアカラーとなった野口衣織、ピンク髪に復活した齋藤樹愛羅とファンへのサプライズが続く。

 2日間を通して気づくのは、メンバー一人ひとりがセンターに立つ楽曲が披露されていること。「とくべチュ、して」にはじまり、音嶋莉沙と瀧脇笙古のダブルセンター「木漏れ日メゾフォルテ」、初日のアンコールでのみパフォーマンスしている大場花菜「海とレモンティー」、2日目の山本杏奈センター「笑顔のレシピ」まで。この1年で爆発的に増えた新規ファンに向けたセットリストであることを感じさせながらも、メンバー全員で国立に立つという強い意思が透けて見えた気がした。特に印象深いのは、諸橋沙夏がセンターを務める「モラトリアム」。彼女のペンライトカラーである緑でスタジアムが一色になる光景に、諸橋は思わず感極まってしまう。初日は最後までぐっと堪えていたが、2日目は落ちサビで歌えなくなり、隣にいた野口が諸橋の肩を優しく叩く。じっと見守るメンバーの温かな眼差しに、言葉を交わさなくとも心が通じ合うグループの絆を感じた。

 ライブには、お馴染みのイコラブバンド、そして名門校である京都橘高等学校の吹奏楽部が登場。「Be Selfish」「僕らの制服クリスマス」「ラブソングに襲われる」「Want you!Want you!」の4曲を100人近くの高校生たちとパフォーマンスした。驚くのは、ブラスバンドの音色によって「Be Selfish」がまったく違う聴こえ方になること。〈君のままで生きてほしい/君のパレット/好きな色だけで〉というサビに不思議と“青春”の色が上乗せされ、得も言われぬ感動が込み上げてくる。ちょうど日が沈み切った頃に始まる「僕らの制服クリスマス」に選曲の妙を感じながら、「Want you!Want you!」では髙松瞳が特技のバトントワリングを披露した。マーチングバンド衣装が映える瞬間だ。余談だが、その後ステージサイドの席で笑顔になって=LOVEのライブを楽しむ生徒たちの姿が見え、「僕らの制服クリスマス」の〈大人になって今日この日を思い出すだろう〉という歌詞が彼らに重なった。

 ライブのタイトルにある『Beyond "KYUN"♡』は、デビュー曲「=LOVE」の〈過去最上キュン〉からつけたものだ。そのキュンが詰め込まれたのが、「ドライブ デート 都内」「しゅきぴ」「木漏れ日メゾフォルテ」「仲直りシュークリーム」の4曲を披露したブロック。薬を飲んで動物になってしまった、という流れでメンバーはそれぞれ10匹の動物衣装に変身。一言で言えば、わちゃわちゃ。それがどんどんとエスカレートしていき、様々なアイテムがプラスされた「仲直りシュークリーム」ではやりたい放題状態に。骨付き肉を持ったオオカミの野口、どんぐりを持ったリスの諸橋は悪ノリの最たる例だろう。ただ、9年間を一緒に過ごしてきたメンバー全員の仲の良さがギュッと詰まったブロックであり、それをファンが求めているのも事実。薬が切れる直前、犬の佐々木が「ワンダフルな時間だったわん!」とキュートに締める落ちも見事だ。

 このブロック以外でも初日の「探せ ダイヤモンドリリー」で大谷映美里と大場が突如口付けを交わし、メンバーを含め会場が騒然となったりと、全体的にわちゃわちゃ=キュンが多かった印象。少しベクトルは違うものの、同曲にて音嶋が言った「今日の景色、忘れんとよ?」は横浜スタジアム公演で叶えられなかった指原との約束の言葉だ(6月14日放送『EIGHT-JAM』(テレビ朝日系)より)。その一方で、「劇薬中毒」を筆頭に、齋藤と野口のユニット曲「Queens」といったダーク/クールなグループ像もしっかりと打ち出されている。特に筆者が心掴まれたのは、「Junkies」での諸橋による「ここからはイコラブの時代だ! お前らついてこい!」という力強い宣言。国立競技場という日本一と言える会場に立つ今の彼女たちを否定できるものは誰もいない。

 巨大なムービングステージに、メンバーそれぞれを乗せた天高く伸びていくリフター、アリーナにサイリウムで形作られた「=LOVE」「♡」の文字、本編ラスト「絶対アイドル辞めないで」で打ち上がった無数の花火など、スタジアム会場ならではの演出に目を見張りつつも、初日に降り続けた雨はこの日だけの天然の演出を施していた。筆者も別のアーティストのスタジアムライブで雨に打たれ続けたことがあるため、厳しい環境下であるのは重々承知だが、神秘的な雰囲気を際立たせた佐々木のソロ曲「真夜中マーメイド」が忘れられない。「Oh!Darling」の〈雨でも笑っちゃって〉という歌詞にハッとするとともに、「ナツマトペ」での大谷の「雨で日和ってる奴いねぇよな!」という煽りに触発されるようにして、会場のコールも徐々にヒートアップ。「夏祭り恋慕う」落ちサビの“舞香コール”は、佐々木の歌声をかき消すほどの、まるで約7万人の声の塊。「探せ ダイヤモンドリリー」のコール、雨にも負けないファン一人ひとりの熱量、愛がスタジアムから溢れんばかりだ。

 既報の通り、10月15日(木)、16日(金)にTOYOTA ARENA TOKYOで『=LOVE 9th ANNIVERSARY PREMIUM CONCERT』を開催し、そして2027年1月19日(火)、20日(水)には東京ドームでの単独コンサートがアナウンスされた。=LOVEにとって、東京ドームは目標に掲げ続けてきた夢の舞台。2017年9月5日、デビューシングル『=LOVE』リリース記念イベントの前に開かれたマスコミ向けの囲み取材にて、メンバーと一緒に登壇した指原が今後の目標を問われ、自身のAKB48としてのキャリアを踏まえた上で話したのが「私たちが先輩たちに東京ドームに連れて行ってもらったように、いつかはみんなにも連れて行ってもらいたいです」というコメントだった(※1)。その時のイベント会場は、東京ドームから目と鼻の先にある、ラクーアガーデンステージ。近くに見えて、その距離は果てしなく遠かった。

 リーダーの山本は「全員で掴み取った東京ドームです!」とファンに感謝を告げながら、「ありがとうを伝えたい方がいます! 指原さん! 東京ドーム、一緒に行きましょう!」と会場で見守っている指原に笑顔で呼びかけた。それは、あの日言えなかった指原への9年越しの返答。そして、東京ドームはグループを旅立っていったメンバーとの約束を叶える場所でもある。“夢の果て”である国立競技場を通過点に、=LOVEは満を持して東京ドームという夢の舞台に立つ。「笑顔のレシピ」は東京ドームという夢を明言し、変わらずメンバーを鼓舞してきた大切な楽曲だ。東京ドームは夢のステージではあるが、ゴールではない。それはきっと〈長い人生の1ページ〉。=LOVEにとって新たなスタートを飾る場所だ。

※1 https://realsound.jp/2017/09/post-106436.html

(文=渡辺彰浩)