障害者が能力や適性を生かして働ける環境をさらに広げるための改正だ(kouta / PIXTA)※写真はイメージ

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7月1日から、障害者の法定雇用率が現行の2.5%から2.7%へと引き上げられる。

あわせて障害者雇用義務の対象となる企業の範囲も拡大され、現在は常用労働者が40人以上の企業が対象であるところ、7月1日からは37.5人以上の企業にまで対象が広がることになる。

これらの見直しは、2023年に改正された施行令に基づき進められている、段階的な制度改正の一環にあたる。

障害者の就労機会拡大へ
厚労省作成「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」から

「障害者の雇用の促進等に関する法律」は、障害の有無にかかわらず、希望や能力に応じて働くことができる「共生社会」の実現を目的とする法律だ。2023年に同法の施行令(※)が改正され、その内容が段階的に施行されてきた。

※法律で定められた枠組みに従って、具体的な内容や施行時期を定める政令のこと

今回の施行分は、一連の見直しの最終段階に当たる。

近年では障害者の就労機会の拡大が進んでいる一方、依然として法定雇用率(※)を達成できていない企業もある。今回の見直しには、障害者が能力や適性を生かして働ける環境をさらに広げるとともに、人手不足が深刻化する中で多様な人材の活躍を後押しする狙いがある。

※一定規模以上の事業主に、一定割合以上の障害者雇用を義務づける基準

また、法定雇用率の引き上げに伴い、対象企業には毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークへ報告する義務が課されるほか、障害者雇用推進者の選任に努めることも求められている。

引き上げは段階的に進められており、2024年4月には2.3%から2.5%へ、今回の見直しでは2.7%へと引き上げられる。

障害者雇用義務の対象となる企業の範囲も、2024年4月には常用労働者43.5人以上から40人以上へと拡大され、今回の見直しでは37.5人以上の企業まで裾野が広がる。

なお、法定雇用率を達成できていない場合、常用労働者数が100人を超える事業主は、法定雇用障害者数に不足する人数に応じて「障害者雇用納付金」を納めなければならない。不足1人当たりの納付金額は月額5万円となっている。

2026年度分の障害者雇用納付金については(申告期間は2027年4月1日から5月17日までの間)、6月以前については2.5%、7月以降については2.7%で算定することになる。

2023年・2024年に雇用率の算定方法を見直し

障害者雇用促進法施行令に基づく見直しは、今回の法定雇用率の引き上げや対象企業の拡大にとどまらず、これまでも段階的に実施されてきた。

2023年4月には、障害者雇用率の計算方法について見直しが行われ、精神障害者については、週20時間以上30時間未満で働く場合、雇入れからの期間等に関係なく1人として算定される特例が継続されることとなった。

また2024年4月からは週10時間以上20時間未満で働く重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者について、雇用率上「0.5人」として算定できるようになっている。

障害特性や就労実態に応じた柔軟な働き方を雇用率算定の対象とすることで、短時間勤務から就労を始める人の雇用機会を広げることを目的とした変更だ。

2025年には「除外率」も見直し

併せて見直されたのが「除外率制度」だ。同制度は、業務の性質上、障害者の就業が難しいとされてきた業種について、雇用率算定の際に一定割合を控除できる仕組みである。2025年4月には各業種の除外率が一律10%引き下げられた。

例として、2025年以降、建設業や道路貨物運送業などでは10%、医療業や高等教育機関では20%、幼稚園や認定こども園では50%の除外率が適用されている。

除外率の引き下げにより、法定雇用率を計算する際に控除できる割合が縮小され、企業によってはそれまでより多くの障害者を雇用する必要が生じることになった。これにより、除外率が適用される業種でも、従来以上に障害者雇用の確保が求められるようになった。

企業向け支援策も拡充

法定雇用率の引き上げや算定方法の見直しに伴い、障害者雇用を進める企業への支援策も強化されてきた。

2024年4月からは「障害者雇用相談援助事業」がスタートし、事業主は専門事業者から原則無料で雇用管理に関する助言や支援を受けられるようになった。また一部の助成金が拡充・新設され、職場定着支援や職場環境整備、人材育成などに対する支援が強化されている。

今回の見直しを受け、各企業には自社の雇用状況をあらためて確認し、採用や職場環境の整備を含めた対応を進めることが求められそうだ。