Image: Spotify

本人かどうかじゃなく、人間かどうかの認証バッジ。時代が変わった。

音楽ストリーミングサービスのSpotifyが、アーティストの認証制度をスタートさせることになりました。

同社は4月30日、Spotifyのポリシーを守り、安定したリスナー層を持ち、「プラットフォーム内外で明確に識別可能なアーティストとしての存在感」を備えたアーティストに"Verified by Spotify(Spotifyにより認証済み)"のバッジを付与すると発表しました。

同社は、今回の取り組みで、Spotifyにとってはちょっとした悩みの種で、リスナーにとっては大きな悩みの種になっている「AI生成音楽」に立ち向かおうとしています。

The Velvet Sundown騒動で火がついたAI生成音楽批判

AIによる音楽の低品質化は、昨年大きな話題になりました。100万回再生を稼いだThe Velvet Sundownが丸ごとAIに生成されていたことが発覚した一件で、SNSには本物と区別できなかったファンの強い反発と気まずさが入り交じった声があふれましたが、同様の事例は後を絶ちません。

音楽ストリーミングサービスのDeezer(ディーザー)が昨年末に実施した調査によると、圧倒的多数の人が、AI生成音楽と人間が作曲・演奏した楽曲を聴き分けられないことが判明しました。

同じ調査では、賛成か反対かに関係なく、リスナーの80%がAI生成音楽への明確なラベル表示を望んでいることも明らかになっています。

約束を守ったSpotify

今回の動きは、Spotifyがかつて掲げた約束を行動に移したものです。昨年のThe Velvet Sundown騒動の直後、同社は「音楽クレジットにおけるAI情報開示に関する新たな業界のスタンダード」づくりを支援すると表明していました。

4月30日のニュースリリースのなかで、Spotifyは「AI時代において、私たちが聴く音楽がリアルだと信頼できるかどうかは、これまで以上に重要です」と述べています。

後追い感はあるものの、前進は前進

ただ、業界の競合他社に比べると、Spotifyは遅れをとってる感が否めません。Deezerは最近、毎日アップロードされる楽曲の44%がAI生成によるものと公表し、数カ月前からAI生成音楽にタグ付けを行なっています。

Apple Musicも3月からAI生成音楽への任意のラベル付けを開始しましたが、ラベルを表示するかどうかは配信事業者の判断に委ねられているため、効果は不透明です。

薄緑色のチェックマークアイコンと、"Verified by Spotify"のバッジは、今後数週間かけて段階的に導入される予定とのこと。

Spotifyは、認証バッジの導入開始後、リスナーが積極的に検索するアーティストの99%以上を確認する目標を掲げています。

なので、お気に入りの超ニッチなアーティストに認証バッジが付いていなくても、必ずしもそのアーティストがAIを使っているというわけではないようです。

一部のサービスがAI生成音楽の禁止を選択する一方で、今回のSpotifyの取り組みは、Spotifyがある程度AI生成音楽を受け入れる可能性を示唆しています。明確にノーと言っていないということは、イエスとみなしていいんでしょうね。

Spotifyによると、当初は「主にAI生成またはAIキャラクターとして活動しているように見えるプロフィール」はバッジの対象外としていますが、将来的に方針が変わる可能性もあるそうで、次のように説明しています。

こんにちの音楽シーンにおいて、アーティストの本物らしさという概念は複雑であり、急速に変化しています。私たちは今後も、時間をかけてアプローチを改善してまいります。

AIアーティストが共同出資して、AIアーティストとAI生成楽曲オンリーのストリーミングサービスをつくればいいのに。

Source: Spotify, The Guardian, Rolling Stone, The Verge(1, 2), The Hollywood Reporter

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