コンビニオーナーが休憩時間を勝手に水増し、残業は「定時上がり」に書き換え 年収250万、副店長の嘆き

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「あなただけ残業を許したら、他の人もやるようになります」

地方にある大手コンビニのFC店で副店長を務める男性・野村さん(仮名)は、経営者からそう冷たく言い放たれた。年収は約250万円。現在は月に30〜40時間のサービス残業をこなしながら店舗を支えている。

ここ数年、最低賃金は毎年のように上昇し、2025年には全ての都道府県で1000円を超えた。しかし野村さんが働く店舗では、最低賃金が上がるたびに労働時間を改ざんされ、賃金が抑えられているという。編集部は野村さんに取材し、現場の実態を聞いた。(文:篠原みつき)

「オーナーが休憩時間をプラスして打刻を修正するんです」

野村さんの店舗で不穏な空気が漂い始めたのは、店内の監視カメラ体制が強化された数年前だ。

「勤怠システム上の休憩時間が勝手に水増しされるようになりました。オーナーが打刻時間をプラスして修正するんです」

つまり労働時間の記録が不当にカットされ始めたのだ。留学生スタッフのレジトラブル対応で残業をした際も、勤務記録は無情にも「定時上がり」に書き換えられていた。

こうした不当なシステム操作を訴えようにも、証拠を残すことすら困難だという。

「勤怠情報の印刷は不可です。事務所に監視カメラがあり、シフトを管理しているバックヤードの端末の画面をスマホで撮影するもの難しいです」

そのため野村さんは、店舗の端末で自分の勤務時間を確認して個人スマホの勤怠アプリに記録している。なお、店舗の端末ではオーナーが勤務時間を改ざんしたら文字色が変わるので一目でわかるという。

「意見すればシフト削減」妻が支配する報復人事

実質的な労務管理を握っているのは、オーナーの妻だ。

「奥さんは現場の実態を分かっていません。人件費だけを見て、自分のやり方に意見するスタッフのシフトを容赦なく削ります。『これでは休憩できない』と伝えただけで、報復の削減対象になるんです」

野村さんも「最低賃金が上がるタイミングで8時間契約が勝手に7時間に減らされ、めちゃくちゃです」と訴える。

一方で、妻の「お気に入り」であるスタッフはシフトを削られないそう。時給も上がったため、役職ナシにもかかわらず、副店長の野村さんを上回るという理不尽な事態も起きている。

野村さんや、同じく雇われの店長には数千円程度の役職手当しかつかず、基本給は最低賃金のままだ。さらに酷いことには、妻自身が両替ミスで違算を出した時すら、店長を疑い自腹を切らせようとした事もあるという。

「本部は動けない」通報を踏みとどまる理由

そんな職場環境を改善すべく、本部のスーパーバイザーに相談を持ちかけたこともあった。しかし、待っていたのは大きな失望だった。

「相談内容がシフトの事になると『オーナーに相談してみてください』と言われました。加盟店内の問題には関わりたくないという表情で……。『労働契約は加盟店と結んでいるから本部は動けない』と突き放されたんです。本部に相談したことが伝わると、オーナーからは『なぜウチに言わないのか』と責められました」

オーナー夫妻に相談できないからこそ、本部に頼ったことも理解されなかったのだ。野村さんの手元には、労働基準監督署に提出できるだけの証拠がすでに揃っている。しかし、現時点で通報には踏み切れていない。

「私がいなくなれば会計業務などが滞り、店が回りません。自身の収入が途絶える不安にもありますが、労基署に通報してオーナーから損害賠償で訴えられたり、報復されたりするのが怖いんです」

本部には見放され、経営者の横暴に耐える日々。報復への恐怖から行動を起こせない葛藤のなか、野村さんは今日も勤怠記録をノートに刻み続けている。

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