『THE LAST OF US』アビー役ケイトリン・デヴァー独占インタビュー 「悪役は俳優の夢」
大人気ゲームを原作に、2023年にドラマシリーズ化された『THE LAST OF US』。その待望のシーズン2が4月からU-NEXTで配信中だ。今シーズンで描かれるのは、前シーズンのラストから5年後。エリー(ベラ・ラムジー)とジョエル(ペドロ・パスカル)など人気キャラクターのほか、彼らが定住したジャクソンの仲間たち、そして新たな脅威となる新キャラクターも登場し、大きな話題となっている。
参考:『THE LAST OF US』クレイグ・メイジン×ニール・ドラックマンが語る裏側 S2はどうなる?
シーズン2では原作ゲーム2作目『The Last of Us Part II』のストーリーに則って、エリーの新たな旅と戦いが描かれる。なかでも注目を集めているのは、エリーを突き動かす要因となるアビーというキャラクターだ。原作ゲームで悪役として登場したアビーは、ある行動によってユーザーのヘイトを集めることになった。リアルサウンド映画部では、そんなアビーを演じるケイトリン・デヴァーにインタビュー。原作ゲームと役づくりの関係や、アビーを演じるうえでの思いなどについて話を聞いた。
■『THE LAST OF US』ほど思い入れのあるゲームはない
まずアビー役にキャスティングされたときの感想を尋ねると、「すごく驚いたし、ワクワクしました」とデヴァーは語る。「クレイグ(・メイジン)とニール(・ドラックマン)が私を信頼して『THE LAST OF US』の世界でこんなに重要な役を与えてくれたことは、とてもラッキーだったと思います」。また原作ゲームにも特別な思いがあるようで、「(ゲームの)『The Last of Us』は長い間、私の人生の大切な一部になっていたので、言い過ぎかもしれないけれど、このプロジェクトに私が参加するのは時間の問題だったとも思っています。本当に現実離れしています」とその驚きと感動を明らかにした。
デヴァーと原作ゲームのつながりは、父親との思い出が関係しているようだ。「私はゲーマーではないけれど、父が大のゲーム好きで。たしか16歳のとき、父と一緒に1作目の『The Last of Us』を最後までプレイしました。そのとき初めてゲームをちゃんとプレイしたんです」と言う。「『The Last of Us』ほど思い入れのあるゲームはありません。パワフルなストーリーテリングと物語に、テレビや映画に仕事をしている俳優として、すぐに夢中になりました。まるで映画を観ているような感覚で」。そのときの感動が彼女のなかに強く印象に残っているようだ。
では、原作ゲームをプレイしたことは、アビーの役づくりにどのように役に立っているのだろうか。デヴァーはドラマ全体への理解について「このプロジェクトに参加する事前の準備として、ゲームをプレイする以上にふさわしいものはないと思います」と語る。「想像力を目一杯使うのもクールだし、自分がこれから飛び込もうとしているのがどんな世界観で、どんな見た目なのか知ることができるのも良いところです。作品をより深く理解するのにとても役立ちました。大まかにどんなものか知ることで、ドラマの方も似たようなエンディングになることは想像できます」。またアビーの役づくりについても、「ゲームをプレイしたことは、私のバージョンの本当のアビーを形作るのに、良い出発点を与えてくれました」と言う。しかしゲーム自体は難易度が高かったようで「2作目も少しプレイしたんですが、最後まではできませんでした。私はゲームが上手くないので、何度も死んだりして」と笑った。「半分くらいまで進んだころには、すでにクレイグやニールとドラマの話をしていて、ゲームよりもドラマの脚本に集中することになって、それもとても良かったです」。
■悪役を演じるのは俳優にとって夢のようなこと
先述のとおり、アビーはゲームに登場した際にヘイトを集めたキャラクターだ。そんなアビーを演じることに困難はあったのだろうか。そんな質問に「アビーのようなキャラクターを演じることは大きな挑戦です」とやはり容易なことではないと答えてくれた。「彼女がしたことは許されませんが、彼女がどんな人間なのか、私はその核となる部分を見つけなければいけませんでした」。
また、こうした役への理解を深めることは、精神的に負荷のかかるものだとも語る。「なにが彼女にあの決断をさせたのか、彼女の強烈な怒りの根源はなんなのか、そうしたことを考えるのは感情的にとてもヘビーで大変でした。それは精神面に有害になりかねないし、闇を抱えて悲しみのなかに身を置くキャラクターを演じるのは、いろいろな意味で挑戦です」。一方で、複雑な内面を抱える役を演じることに俳優としてのやりがいも感じたようだ。「こういう役は俳優にとって夢のような役柄ですから。彼女の核となるもの、彼女が経験してきたこと、彼女の望みはなんなのか。アビーの瞳の奥にあるものは、このシーズンでは、はっきりとは見えないかもしれません。それによく考えてみると、アビーはこの世界のほかのキャラクターとそれほど違わないことにも気づきます。だからこの役を演じることは、とてもワクワクする経験でした」。
撮影現場での様子を尋ねると、「素晴らしい人たちに囲まれて仕事ができたことは、とても楽しかったです。みんな新しい風を吹き込んでくれるような人たちでした」と振り返る。「ベラ(・ラムジー)やペドロ(・パルカル)、ファイヤーフライのチームのメンバーはとても歓迎してくれて、そういった意味でも楽しかったです。自分と同世代の俳優たちと共演して、お互いを知ることができたのも、ペドロとの共演もとても楽しみました」。また、「これは絶対に言及しておかないといけない」と言いながら、「(第2話のエピソード監督)マーク(・マイロッド)と仕事をするのは本当に楽しかったです。彼とはたくさん話しをしました。本当に素晴らしい人です」と語った。プロデューサーのメイジンについては、「クレイグは本当に天才で、毎日彼から学ぶことができたのは最高の経験でした」としている。
一方で、第2話で非常に印象的だった雪山でのシーンは「本当に大変でした」と言う。「雪のなかで演技をしたことはなかったし、人生でもあんなに雪に囲まれたことはありませんでした。雪のなかを走ったり、暖かくするために照明を焚きつづけたり、すごく大変でした」と振り返ったうえで、「本当に寒かったですが、その価値はありましたね。映像では信じられないほど効果的でしたから」と語った。
■『THE LAST OF US』今後の展開は?
インタビューを実施した時点ではドラマは3話まで配信されていたが、アビーの物語はそれほど進んでいなかった。そこで今後の展開について質問したところ、少し戸惑いながら次のように答えてくれた。「そうですね……。今シーズンのことをあまりしゃべるすぎるとネタバレになってしまうのですが、今後のことは実際私も知らないんです。まったくわかりません」。そしてシーズン3の製作が公式に発表されたことに触れ、「クレイグと話していてはっきりわかるのは、彼はこのシリーズをすべての意味で大きくしたいと考えていることです。よりエモーショナルに、より効果的に、より大きな規模で、すべてにおいて大きくしたいと。シーズン1よりもレベルアップしたものを目指しています。私自身も第2話を観て、間違いなくこれまで観たテレビのなかで、最高にクールなエピソードの1つだと思いました。そんな作品に関わることができて夢のようです。ネタバレなしで言うと、今後もレベルアップしていくということですね」と語ってくれた。
原作ゲームに則りながら、ますますレベルアップしている『THE LAST OF US』。デヴァー自身も「毎週どんなことが起きるのか、ハラハラしながら観ています」と語るとおり、原作ゲームを知っていても新たな要素も加わり、さらに見ごたえのあるドラマが展開される。大ヒットドラマのシーズン2、そして新キャラクターであるアビーの活躍からも目が離せない。
(取材・文=瀧川かおり)

