オンラインの購入体験をいかにスムーズにできるのか? ショッピングアシストアプリ「 PLUG 」が示す最終地点

記事のポイントショッピングアシストアプリ「PLUG」は、Safariの拡張機能として最安値やキャッシュバック情報を提示し、消費者の購買を支援している。「PLUG」によるキャッシュバック機能は、ブランドが商品価値を守りつつ売上増加の実現することに貢献している。今後、「PLUGショッピング」や「PLUGインシュアランス」など多機能化し、ECの購買体験を革新していく見通し。
テクノロジーの進歩・変革により、消費者の購買行動は日々変化している。多様な選択肢に手軽にアクセスできるからこそ、消費者は膨大な情報のなかから最適な購入方法を自ら探し、手間をかけて選択しなければならない。そんな現在の購買体験に革新をもたらしたのが、株式会社STRACTが開発・提供するショッピングアシストアプリの「PLUG」だ。「PLUG」は、iPhoneのSafariブラウザで拡張機能として動作し、オンラインショッピング中に最安値やキャッシュバックの情報を自動で提示。つまり、消費者の手間を一切かけない最適な購買体験の実現をしている。今回はSTRACTの代表取締役社長である伊藤輝氏に、「PLUG」が果たす役割と今後の展望について聞いた。◆ ◆ ◆
「PLUG」の仕組みとEC市場における価値
DIGIDAY編集部(以下、DD):多様な購買の選択肢があるいま、オンラインショッピングでの最安値を即時に表示してくれる「PLUG」は、消費者にとって大きなメリットを感じます。一方で、EC事業者やブランド企業などの販売事業者にとって、どのような利点があるでしょうか?伊藤輝(以下、伊藤):ユーザーが購入を迷っている段階で価格比較やキャッシュバックを提示し、購入を促せる点が販売事業者にとっての利点と言えます。「PLUG」経由でCVRが飛躍的に向上したという実績も出ており、現在は国内で1500社以上のECサイトと提携しています。一般的にECは物販のイメージが強いですが、我々の売上(手数料)の約半分は「サービス系EC」から生まれています。具体的には、旅行や航空券の予約、クレジットカードの申し込み、中古車販売など。物販にとどまらず、あらゆる「オンライン取引」を支援できることが特徴です。DD:非常に幅広いジャンルをカバーしているんですね。伊藤:はい。簡単にいえば「Googleに広告を出している企業は、すべてPLUGの顧客になりうる」ということです。PLUGは、単なる価格比較ツールではなく、購買行動を最適化するインフラとして機能しています。従来の価格比較サイトは最安値を一覧表示するだけでしたが、PLUGは「ユーザーに最適なオファーを提案する」ことに重点を置き、よりパーソナライズされた購買体験の実現を目指しています。DD:キャッシュバック機能とは、どのようなものでしょうか?伊藤:PLUGはクレジットカードのポイント還元と同じく、ECサイトの取引を補助する立場です。そのため、PLUGを介せば企業が制約を受けるキャッシュバック施策も実施可能になります。つまり、景品表示法の適用を受けないんです。PLUGを活用することで、ユーザーにも企業にも理想的な価格設定が可能になることも強みです。今後のEC市場では、ブランド単体での販売戦略には限界があります。ユーザーに直接リーチする手段として、PLUGのようなエージェント型サービスを活用することが重要だと考えています。たとえば、ブランドが直接値下げを行うと、市場全体の価格競争を激化させて、ブランド価値を損なうリスクがあります。しかし、PLUGのキャッシュバックなら、ユーザーにお得感を提供しつつ、ブランドの価格戦略を維持できます。DD:ブランドの価格戦略を守りながら売上を伸ばせるということですね。PLUGと提携しているブランドのなかで、具体的な成功事例はありますか?
ブランドの売上を2.5倍上げる
伊藤: はい。大手アパレルブランドでは、PLUG経由でCVRが2.5倍に向上しました。これは、そのまま売上も2.5倍に増えることを意味しています。また、旅行系ECサイトでも大きな効果が出ています。PLUGを導入して流通額が下がるということはほぼなく、基本的に売上は上昇する傾向にありますね。DD:ブランド事業者にとっても大きなメリットがあるんですね。伊藤:はい。ただ、現時点でPLUGの月間アクティブユーザーは60万人程度です。つまり、日本には約6000万人のiPhoneユーザー(safariユーザー)がいますが、まだ市場全体の1%しかカバーできていません。まずはiPhoneユーザーを優先し、確実にシェアを広げてから自然に購買の起点となることを狙っています。最終的にはChrome、Firefox・Microsoft Edgeなどにも対応予定です。DD:オンライン上での最安値を即時に提示できるというのが一番の強みかと思いますが、粗悪品や偽物が表示されるリスクもあるのではないでしょうか?伊藤:その点も、PLUGはカバーしています。PLUGは独自のフィルタリングシステムを導入して、怪しい商品が表示されないよう管理を徹底しています。また、海外ECサイトの信頼性を疑うユーザーも多くいますが、PLUGがキャッシュバックを提供することで、「PLUGが提携しているなら安心できる」と認識してもらえる仕組みを構築しているんです。DD: フィルタリングとは、具体的にどのような作業でしょうか?伊藤:現状では、提携ECサイトを1社ずつ手動でチェックし、運営体制や商品の品質を確認しています。将来的には、AIによる自動フィルタリングを強化し、不正取引や詐欺サイトの検出精度を向上させたいと考えています。ポストCookie時代の新たなマーケティング戦略
DD:PLUGを使うことで、悪質なサイトで購入してしまうことを防げるのですね。一方で近年、プライバシー規制が強まっています。PLUGはどのように対応していますか?伊藤:PLUGは従来の仕組みとは異なり、ユーザー自身がデータを管理するツールです。ユーザーの許諾を得たうえで、ファーストパーティデータを収集し、パーソナライズされたオファーを提供しています。つまり、サードパーティーのCookieに依存せず、ユーザーのブラウザ内で機能する新しいマーケティングソリューションといえます。DD:ユーザーのプライバシーを守りながら、効果的なマーケティングを実現できるのは大きな強みですね。伊藤: はい。従来のアドネットワークではDSPなどを介して行動データが共有されていましたが、PLUGはその仕組みを採用していません。また、我々はユーザーの信頼を最優先するためデータは暗号化し、不要な情報は収集しない「ホワイトリスト方式」を採用しています。DD: ユーザーとの信頼関係が重要ということですね。PLUGの一番の強みは「最安値の提示」ですが、今後、価格比較以外の別の比較要素も取り入れる予定はありますか?伊藤: 基本的に、PLUGは価格比較で勝負します。主観的な「おすすめ商品」などを打ち出すことはしません。消費者にとってもっとも公平な判断基準は「価格」だからです。ただし、価格のほかに「配送の速さ」や「ポイント還元率」などは、比較対象になるかもしれません。また、AIを活用したユーザーレビューの集約や商品評価の可視化も検討の余地はあるかもしれません。ただ、PLUGは「公平な価格比較」に特化して、消費者がもっとも合理的に判断できるようサポートする立場を徹底したいと考えています。
