記事のポイント

パープレキシティはAI検索エンジンの収益をパブリッシャーと共有するモデルを導入。

分配率は最大25%とされるが、条件はパブリッシャーやクエリによって異なる。

現時点で大きな収益源ではないが、成長の可能性が期待されている。



AI技術企業とパブリッシャーの取引が相次ぐなか、AI搭載検索エンジンのパープレキシティ(Perplexity)は、2024年7月に新しいレベニューシェアモデルを導入した。しかし、パープレキシティからの情報と、所属先を明かさないと約束した5人のパブリッシャー幹部との会話からわかったことによると、パープレキシティが広告売上をパブリッシャーに分配する方法は多くの要因に左右されるようだ。

引用数によって収益が変動



パープレキシティがパブリッシャーへのレベニューシェアを計算する方法は以下の通りだ。パープレキシティのプログラムに正式に参加しているパブリッシャーは、そのパブリッシャーのウェブページのいずれかがそのレスポンスのソースとして引用された場合、ユーザーのクエリに対するレスポンスで提供される広告からパープレキシティが得る売上の一定割合を受け取る(パープレキシティの発表によると、これまでに20のパブリッシャーが登録したという)。

しかし、パープレキシティのパブリッシャーパートナーシップ担当責任者ジェシカ・チャン氏は、具体的な数字は上げなかったが、パブリッシャーによって分配率の幅は異なり、最大で10%超になることもあると語る。パブリッシャーの収入は、引用されたリンクの数に応じて増加する。

たとえば、あるクエリに対して2つのページが引用された場合、パブリッシャーは事前に決められた売上分配率の2倍の収入を得ることになる、とパープレキシティの広報担当者は述べる。

広報担当者によれば、パープレキシティではパブリッシャーが受け取ることのできる金額に上限を設定し、それはクエリによって異なるという。分配率の上限はすべてのパブリッシャーとクエリのタイプで標準化されており、パープレキシティは与えられた答えに対して平均4〜8つのソースを引用する、と付け加える。引用されたパブリッシャーのウェブページへのレベニューシェアの合計が上限を超えた場合、パブリッシャーへの支払いは減少する。

売上分配率の上限と契約の柔軟性が明らかに



ウォールストリート・ジャーナル紙は、売上分配率は「最大25%」と報じている。米DIGIDAYの取材に(匿名を条件に)応じた2人のパブリッシャー幹部も、売上分配率の上限が25%であることを認めた。

2人のパブリッシャー幹部がDIGIDAYに語ったところによると、パープレキシティが売上の1%を提供するのを見たことがあるという。ほかの2人のパブリッシャー幹部は、パープレキシティの提示する契約は独占的なものではなく、ほかのAI技術企業ともコンテンツライセンス契約や売上分配契約を結ぶことができると述べた。

パープレキシティは、同社がパブリッシャーに提供している売上の分配率やそのほかの財務状況の具体的な説明を避けた。

成長の可能性と透明性が評価される収益モデル



さらに、5人のパブリッシャー幹部うち2人は、パープレキシティのプログラムからの大きな売上増加はすぐには期待できないが、収益化の仕組みは彼らのビジネスにとって有益になる可能性を秘めており、特に、AI企業がオンラインコンテンツを無料で取り込んでいる時代に、この提案を検討しないことで、コンテンツに対する報酬を得る機会を逃すリスクを負うことになると話す。

パブリッシャー幹部のひとりは、この仕組みを「まれにみる透明性」と呼んだ。

「パープレキシティからのトラフィックを見ると、まだ大きな収益源になるほどの機会はない。しかし、パブリッシャープログラムが成長し、より多くのユーザーがパープレキシティを利用するようになれば、拡大だろうと期待している」と、この幹部は言う。

パブリッシャーにとっての安心感と交渉の余地



別のパブリッシャー幹部は、パープレキシティのレベニューシェアプログラムの仕組みは「珍しいものではない」と語る。

「このモデルが一番わかりやすいと思う。複雑すぎることもない」と別の幹部は言う。彼らは、このレベニューシェアプログラムの構成は、パブリッシャーがAI技術企業との契約に「足を踏み入れる」ことに安心感を覚え、パープレキシティのようなプログラムを使ってみる動機付けになると考えている。

チャン氏は以前DIGIDAYに対して、パープレキシティのプログラムに参加しているパブリッシャーへの分配率はすべて同じだと述べていたが、3人のパブリッシャー幹部はそうした認識ではなかった。取材に応じた幹部のひとりは、より良い契約条件をパープレキシティと交渉しているところだと語った。

長期的なパートナーシップの可能性



パープレキシティはタイム(Time)、デア・シュピーゲル(Der Spiegel)、フォーチュン(Fortune)、アントレプレナー(Entrepreneur)、ザ・テキサス・トリビューン(The Texas Tribune)、ブレイビティ(Blavity)、ギアパトロール(Gear Patrol)、インデペンデント(The Independent)、ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)のようなパブリッシャーとレベニューシェア契約を結んでいる。

「レベニューシェアはとりわけ、パブリッシャープログラムのメリットのひとつだ。それが重要な部分であることに違いはないが、パブリッシャーとのコラボレーションの成功には、我々のAPIを使用することによる直接的、間接的な報酬や、彼らの組織による『パープレキシティ・エンタープライズ・プロ(Perplexity Enterprise Pro)』へのアクセス、そのほかの長期的なパートナーシップの恩恵を得ることも含まれることを申し添えておきたい」とチャン氏は述べた。

[原文:How Perplexity calculates publishers’ share of ad revenue]

Sara Guaglione(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:戸田美子)