プロ3年目の今季は徳島でプレーする藤尾。11節・岩手戦ではハットトリックを達成するなど、貴重な得点源として奮闘中だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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[J2リーグ第16節]横浜FC 2−1 徳島/5月15日/ニッパツ三ツ沢球技場

 U−18年代から期待されながら、プロ入り後に思うような活躍を見せられないストライカーは少なくない。なぜ、そうなってしまうのか。理由の一つとして、最も勝負に直結するゴールを奪うポジションで、力のある助っ人FWが重宝されやすい傾向にあるからだ。そうなると、高卒の若手FWは継続して出場機会を得ることが難しくなる。

 若手FWにとって、成長のために必要な要素は出場機会と自信だろう。その意味では、パリ五輪世代のエース候補のひとり、藤尾翔太はある意味、順調な歩みを見せていると言える。

 セレッソ大阪の育成組織出身である藤尾は、高校2年生だった2018年にC大阪U−23でJ3デビューを飾る。トップ昇格を果たした2020年はJ1デビュー戦でゴールを決めたが、出場機会をほとんど得られなかった。活躍の場はU−23チームで、J3で26試合に出場した。

 翌シーズンも同様にトップチームでは思うように出番を得られず、6月にJ2の水戸ホーリーホックに育成型期限付き移籍。そこで22試合に出場して8ゴールを奪った。

 迎えたプロ3年目の今季は徳島での武者修行を選んだ。16節が終わった時点で14試合に出場して5得点。3月下旬にU−21日本代表の一員としてドバイカップに参戦していた時期(6〜7節)以外はピッチに立ち、11節のいわてグルージャ盛岡戦ではハットトリックを達成した。
 
 徳島の重要戦力として奮闘中だ。パリ五輪世代では細谷真大(柏レイソル)と藤尾以外で、所属クラブでレギュラーの座を掴んでいる者はおらず、チームのトップスコアラーでもある藤尾にかかる期待は決して小さくない。

 ゴール前の競り合いや裏への抜け出しを得意とする藤尾。得点パターンで“自分の形”を作りつつあるが、早い段階から継続して出場機会を得たからこそ今がある。「試合に出続けるのは僕の中で一番大事にしている」とは藤尾の言葉。ピッチに立つことでしか得られない経験値が、成長のエネルギーになっている。

 ハットトリックを記録した岩手戦では、PK、ヘディング、こぼれ球を押し込むなど、多彩なパターンでネットを揺らした。ゴール前のポジショニングや得点に対する嗅覚は、試合の中で感覚を養えたからこそ研ぎ澄まされたのだろう。

「クロスへの入り方やスペースの見つけ方は以前より上手くなった」と本人も胸を張る。
 
 ただ、成果が現われている一方で、昨季から抱えている課題は改善の最中だ。徳島移籍を決断した理由は、ポゼッションを重視するチームで、ボールの引き出し方やファーストタッチを磨きたかったからだが、まだまだレベルアップの途上だ。

 5月15日に行なわれた横浜FC戦ではボールが入らず、前線で孤立。結果を出せないまま69分に交代となった。もちろん試合展開の影響もあったが、難しいシチュエーションでもパスを引き出せるようにしたい。

 ファーストタッチに関しても徐々に良くなってきているが、向上の余地はある。ドバイカップでは「シュートする時のファーストタッチが1テンポほど遅かった」と分析していた。シュートに持ち込む前のトラップのスキルをいかに高められるかがポイントだ。
 
 U−21代表は6月にウズベキスタンで開催されるU−23アジアカップに参戦する。メンバー入りを狙う藤尾だが、リーグではハットトリックを達成した岩手戦以降は5試合無得点と、アピールにつながる結果を出せていない。

「他のFWもいるので結果を残さないとメンバーに食い込めない。結果を残して、ライバルに負けないようにしたい」

 課題と向き合いながら成長を続けるストライカーは、さらなる飛躍を期して邁進中だ。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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