ホーム広島戦は0−1の敗戦。またも今季初勝利を逃した湘南だが、選手たちは最後までチームとして繋がる意志を攻守に示した。(C)J.LEAGUE

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[J1リーグ第6節]湘南 0−1 広島/4月2日/レモンガススタジアム平塚

 長い笛が、必死にゴールを目指していた選手たちの動きを止めた。勝負の終わりを知り、ピッチに視線を落とす者、しばし呆然と佇む者、あるいは天を仰ぐ者。

 今季リーグ戦初勝利の歓喜に沸く相手とは対照的に、忸怩たる想いがそれぞれの顔に浮かぶ。ホームに広島を迎えた今節、湘南は0−1で敗れ、開幕から6試合未勝利となった。

 一戦を前に8人もの選手が新型コロナウイルス感染症の陽性判定を受けた影響は否めないだろう。負傷離脱もあり、台所事情は厳しい。だがそれでも、彼らはチームとして繋がる意志を攻守に示した。

 ミスからピンチを招けば身を挺してシュートを阻み、かたや前半終盤には素早く攻撃に転じて古林将太のクロスに鈴木章斗が走り込み、後半立ち上がりにはワンタッチを絡めながらリズムよくパスを繋いでゴールに迫るなど、幾度か決定機を生み出しもした。

 しかし、60分だった。右サイドを突破した藤井智也のクロスに大外から走り込んだ満田誠が合わせ、広島が鮮やかに先制点を仕留めた。湘南もその後、攻め立てたがゴールには届かなかった。

 昨季途中より指揮を引き継ぎ、チームを残留へと導いた山口智監督は、5位以内を今季の目標に掲げている。明確に示した数字に指揮官の覚悟がにじむ。それは、リーグ最多の16引き分けを記した昨季からの飛躍、ひいてはJ1に定着しつつある一方で、例年残留争いを演じてきた過去からの脱却を期してのことだろう。
 
 高い目標を打ち出した指揮官の、選手に求めるものは緻密だ。個々の特徴と、これまでクラブとして培ってきたアグレッシブな守備のベースを活かしながら、攻守にイニシアチブを握るサッカーを志向する。

 そのためには、相手に対して優位性を保てるポジショニングと選手間の適切な距離が欠かせない。ボールへの強いアプローチと連動する周囲に対する配慮、相手選手とスペースの管理など、守備ではバランスも大切だ。

 そうしてボールを奪えば前向きに出力を傾ける。すべてはゴールのためにあり、だからこそチーム全体が攻守に繋がることが肝となる。
 
 しかし、刻々と状況が変化し、瞬時に判断が求められる試合の中で、ピッチ上の11人が同じ絵を共有することは、一朝一夕にはいかないだろう。第2節・鳥栖戦のように前後半で内容の良し悪しがはっきり分かれた試合もあれば、第3節・浦和戦のように前から圧力がかからず相手に自由を与えてしまった敗北もある。

 一方で、彼らは常に反省を次に活かしてきた。第4節・京都戦では球際や走力など戦いのベースを見つめ直し、続く鹿島戦では日々育む組織的な繋がりを改めて意識して、実際、連動した守備から素早く攻撃に転じてリーグ戦では今季初となる先制点を奪いもした。
 
 もちろん、シビアに結果を追求する彼らが内容に甘んじるべくもないが、試合を重ねるごとに進化が萌している事実は見逃せない。始動から皆で粛々と続ける取り組みをさらに深め、ひとたび会得することができれば、自分たちの戦いの揺るがぬ土台となろう。

 今季のスローガン「Believe〜新湘南へ〜」を思う。明確な目標を抱き、日々切磋琢磨する彼らの挑戦は始まったばかりだ。今はまだ求める結果に届いてはいないが、覚悟を持って取り組む指揮官のもと、信じて続ける先に新たな道は開けるに違いない。

取材・文●隈元大吾

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