呉鮭魚善さんの国民身分証=本人提供

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(台北中央社)回転寿司チェーン「スシロー」の台湾法人が氏名に「鮭魚」(サケ)が付く人の食事代を無料にするキャンペーンを打ち出したのをきっかけに改名する人が相次ぎ、台湾で大きな話題になっている。徐国勇内政部長(内務相)は19日、「鮭魚」の名を持つ人が騒動前から台湾全土に10人いたことを明らかにした。

台湾スシローはサーモンフェアの実施に合わせ、17、18日の2日間、氏名に「鮭魚」が付く人の食事代金を1テーブル無料にするキャンペーンを実施。各県市の戸政事務所(戸籍業務を担当する役所)には実施が発表された15日以降、改名を希望する人が相次いで訪れた。一部の人は職員の説得によって改名を諦めたが、「郭鮭魚丼飯」や「鮭魚之夢」などユニークな名前に変更した人もいたという。北部・新北市では「鮭魚」を含む36文字の名前に変える人も現れ、台湾一長い名前の記録を更新した。

台湾では原則的に1人3回まで改名が認められる。台北市政府民政局によれば、1回の改名にかかる手数料は国民身分証の更新料と戸口名簿(戸籍資料)の変更料を合わせて80台湾元(約306円)。内政部(内務省)は国民に対し、慎重に考えて改名するよう求めていた。

与党・民進党の林楚茵立法委員(国会議員)は19 日の立法院(国会)質問で、「不適切、長過ぎる、あるいは特殊な理由」での改名申請を認める姓名条例の条文や改名にかかる手数料の低さを問題視し、法律の抜け穴となるのではないかと疑問を呈した。

徐氏は、氏名が適切か不適切かは個人の主観によって認定するとした司法院大法官会議(憲法法廷)の解釈を紹介し、戸政事務所の職員は声掛けを行うことしかできないと説明した。その上で、台湾には騒動前から「鮭魚」の名を持つ人がいたことを明らかにした。

(王揚宇/編集:名切千絵)