休校明けの学校は環境が激変(2020年6月、時事)

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 筆者は子どもの偏食や小食に悩む保護者の相談に乗ったり、園や学校など向けに給食指導についての研修を行ったりしています。保護者からは、子どもの食についてのさまざまな相談が届きますが、特に最近は、ようやく園や学校での給食が再開されたことで、「給食が食べられない」という相談が急増しています。

 久々の給食再開で子どもが食べられない場合、保護者はどのように対応するとよいか解説します。

長期休暇明けは大きな緊張感

 先日、「小学3年生の息子が朝から、給食が不安で泣いたり、吐き気や息苦しさから、1人で学校に行けなかったりする日があります」という相談が届きました。

 この子の場合、「食べることで気持ち悪くなるのが怖い」という「嘔吐(おうと)恐怖」が原因のようです。しかも、その心理状況を担任の先生になかなか理解してもらえず、食べられないと「また残している」と責められ、給食への不安がさらに大きくなっているようでした。

 このようなことは、決して珍しいことではありません。今のような「長期の休み明け」のタイミングは、子どもにとって緊張感が大きく、食べられないことが多いのです。具体的には、新年度のスタートや新学期のスタート、ゴールデンウイークなどの長期休み明けすぐ、または、今回のような久々の給食時には、特に多くなります。

 しかも、特に今は、新型コロナの影響によって、給食の様式が変化しているところも多いです。具体的には、クラスメートと席の間隔を空けたり、無駄なおしゃべりを控えるようにしたり、接触回数を減らすために「量が多ければ最初に減らしてもいい」というルールをやめたりする動きがあります。

 文部科学省が発行している『食に関する指導の手引き』の中では、何度も「給食時間は児童生徒が友達や担任などと和やかで楽しく会食する時間です」と書かれています。「食事の量、食べる速度、嗜好(しこう)などについて個別に把握し、指導の必要がある場合は、少しずつ根気よく改善に向けた対応や指導が大切」としており、「給食を残さず食べられることが大切です」などとは書かれていません。

 しかし、現在は、より「食べることだけに集中する」ような形へと変化している学校が多そうです。「緊急時だから仕方がない」ということも、もちろんありますが、それにより「食べられるようになること」への大きなプレッシャーが掛からないよう、先生は注意が必要です。

 では、子どもが休み明けで給食が食べられなくなった場合、保護者はどのように対処すればよいのでしょうか。まず、一番大切なことは、焦らずに“無理をさせないこと”です。具体的には、子どもの不安をしっかり受け止めて「不安なんだね」としっかりと話を聞くようにしましょう。

 そして、無理な指導が行われないよう、担任の先生や学校に対して、事前に「(今のようなタイミングでは特に)給食をなかなか食べられないことが多いが、時間がたてば安心して食べられるようになる」と事前にお伝えしておくことも大切になります。筆者がおすすめしているのが「わが子の食の説明書」を作って担任の先生にお渡しすることです。

 例えば、「うちの子は“無理しないでね”と言われると安心して食べられることが多く、“全部食べなさい!”とプレッシャーをかけられると、食べること自体がおっくうになり、食べられなくなってしまうみたいです」というように、子どもの食について文章で説明するのです。このような内容をプリント1枚にまとめて、先生にお渡しすることをおすすめしています。

 そうすると、先生も「この子にはこう声を掛けたらよいのか、こう対応をしたらよいのか」と理解することができ、指導に対する迷いが軽減されることになります。先生からは保護者に、家庭の食事についてなかなか聞きづらいので、保護者からこのような形で働きかけるとスムーズです。子どもの食が進むよう、協力しながら一緒に取り組んでいきたいという姿勢を見せることがベストなのです。

 特に今の時期は、子どもが給食を食べられないからといって、無理をさせないことを大切にしてほしいと思います。