「いいかげんにしろ、殴るぞ」。ちょっと物騒なこのフレーズを、47都道府県の方言にしてみたら、どうなるのだろうか。

そんなツイートが2019年8月17日に投稿され、話題となっている。

相手を威嚇し、罵倒する言葉は、やはり全国に存在する。だが、その方言は広く知られているとは言い難い。地域によって、いったいどんな違いがあるのだろう?

「殴るぞ」という方言は知っておいた方が良いかもしれない。仮に、威嚇だけ、口だけだとしても、相手がどのくらい怒っているのかを知る上でも、知っておくといいだろう。実際に殴られる前に......。

「やってまるや」と言われても?


47都道府県の「いい加減にしろ、殴るぞ」まとめ

冒頭のツイートの投稿者に出典を聞くと、2013年に三省堂から出版された『方言学入門』という本だという。Jタウンネット編集部はさっそく近所の図書館で取り寄せ、該当するページを開いてみた。

とくに方言が難解だと言われている青森県では

「いーかげんにせ、やってまるや」

となるらしい。これ、実際に聞くと、まったく意味不明だろう。仮に、「やってまるや」と聞き分けることができたとしても、「殴るぞ」と言ってるとはとても思えない。

岩手県では

「えくれにしゃ、こりゃっ、やっつけるじぇ」

こちらも同様だ。「やっつけるじぇ」と言ってるから、やっつけられるかもと想像できたとしても、「殴るぞ」という意味だとは、殴られるまで分からないだろう。

関東甲信越地方では、逆に分かりすぎて恐い場合もある。「殴るぞ」だけで比較してみよう。

「たたんじまうぞっ」(群馬県)
「半ごろしにすっとー」(千葉県)
「ぶさらうぞ」(山梨県)
「ぶっころすれ」(新潟県)

北陸地方も

「かちころすぞ」(富山県、福井県)
「やってまうぞ」(石川県)

「ぶっころすれ」「かちころすぞ」などと聞くと、殴られるだけでなく、殺されるのかと、おびえてしまう。高速道路であおり運転をされた上に、こう言われたら、怖いなんてもんじゃない。

西に行くほど、さらに怖く...

関西でポピュラーなのは、

「いてまうど」(大阪府。兵庫県、和歌山県)

......らしい。おそらく、今あおり運転で注目を集めている容疑者(大阪出身)は、大きな声で「いてまうど」と叫んでいたのかもしれない。しかし、彼の場合は、威嚇だけに留まらず、実際に「いてまった」わけだが......。

広島県になると

「えーかげんにせー、おどりゃー、しごーするぞ」

......となるそうだ。「しごーするぞ」と言われたら、意味はよく分からないが、思わず覚悟を決めてしまうだろう。命だけは助けてくださいと、懇願するしかないかもしれない。

同様に怖いのは、九州だ。

「くらさるーぞ」(福岡県、佐賀県)
「うちころっそー」(長崎県)
「うちころすぞ」(熊本県)
「うったくっぞー」(鹿児島県)

なおツイッターには、「くらさるーぞだと軽い印象。先生とか親が子供を軽くたしなめてる感じですね。 ケンカで強く言うなら、『くらすぞ』になります」というコメントもあった。福岡県で、「くらすぞ」と言われたら、とっとと逃げるにこしたことはない。

なお、上記の資料は前述したように、「方言学入門」(三省堂)から引用したものだ。


方言学入門」(三省堂)

ツイッターには、地元ユーザーから異論も多数寄せられており、議論が巻き起こっている状態だ。興味のある人は、ぜひご一読を。これを機会に、Jタウンネット編集部もじっくり読ませてもらおうと思う。