オウム真理教による一連の事件を発生当初から取材してきたジャーナリストの江川紹子さんは、6日の死刑囚7人に対する刑執行について、「教団内のそれぞれのセクションのトップにいた、教祖と近かった人たちをまとめて執行したというような印象がある」と述べた。NHKニュースが報じた。

また「今までは同じ事件に関係した死刑囚は同時に執行するという暗黙のルールがあって、今回も例えば坂本弁護士一家の殺害事件に関わった死刑囚から執行していくのではないかと思っていたが、暗黙のルールを壊して麻原彰晃に近い者から先に執行するという意図がよく分からない。教団が『教祖とともに旅立った』というストーリーを作り、教祖への忠誠心を強めるように信者をあおりたてることに利用しかねないので、懸念している」と指摘した。

今後の教団の動きについては「報復テロが起きることを気にしている人もいるが、教祖が指示したわけでもないのにテロを起こせば宗教的な罪を背負ってしまうことになる。さらに、再び事件を起こせば組織が完全に消滅させられることは分かっているはずなので、組織的にやるということは考えにくい。ただ、跳ね上がりみたいな人物が絶対に出てこないとは限らないので、当局がしばらく監視を強化する必要はあると思う」という見方を示した。

一連の事件の背景については、「オウムが犯罪行為を活発化させていった時代は、バブルが膨らんでしぼんでいく過程と大体一致する。日本全国に札束が飛び交って、価値観がおかしくなっていた時代とも言える。本当の幸せとは何か、金ではなく、もっと違うものを探し求める人たちが、たまたま麻原彰晃の本を手に取り、のめり込んでしまうケースがかなりあった」と指摘した。

そのうえで「多くの若者が生きがいや居場所を探す中でオウム真理教に出会ってしまった。人間関係に悩み、逃げ場を探して行き着いてしまった人もいた。時代を超えて人がカルトに引き寄せられる動機は存在すると思う。オウム事件は大きな区切りを迎えるかもしれないが、過去に変な人たちが起こした変な事件だということで終わらせるのではなく、私たちが巻き込まれないようにするにはどうしたらいいのかしっかりと分析する必要がある」と話した。

死刑執行 江川紹子さん「事件を分析する必要がある」(NHKニュース)