倉田秋(撮影:Noriko NAGANO)

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E-1選手権のメンバー発表の際、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が最も長くコメントしたのは倉田秋だった。

「ブラジル戦、ベルギー戦のときはちょっとしたケガありましたので彼を起用しませんでした。リズムチェンジ、スピードアップができる選手ですので、モダンサッカーで必要とされるそれらを持っています。ボールを持っているとき、持っていないとき、両方で動ける選手です。普段はあまりそう言ったプレーを見せていないかもしれないのですが、ボールを止めてしまったときは有効なプレーにならないと彼に伝えているのですが、それができる選手であり、動いて前に向かっていける選手です」

10月6日のニュージーランド戦で代表初ゴールを挙げると10日のハイチ戦でも先制点を奪った。監督の信頼は一気に増したはずだ。だが、北朝鮮戦では左サイドで窮屈にプレーし、トップ下に移ってからはやっと持ち味の片鱗を見せた。中国戦では2シャドーの位置に入って奮闘したが、ゴールには結びつかなかった。

E-1選手権の最終戦、韓国戦を前に倉田は決意を語った。

「今度の試合で最後やし、ここでちゃんと見せればチャンスは広がると思いますし。左サイドでもトップ下でもこだわらないです。今回1点を取れば、それが大きな1点になると思いますし、印象が全然違ってくると思うので、やっぱり決めたいですね」

では倉田がワールドカップメンバーに入る可能性はどうだろうか。倉田が好きなトップ下だと、ライバルには香川真司らが名を連ねている。香川を意識するのか。

「どうなんですかね。僕は他の選手をライバル視をあまりしないので。人は人だと思ってます。悪い意味だと、人にあまり関心がないというか(笑)。意識したことはないです。人のマネをして越そうとは思わないし、自分の個性をもっと伸ばしたいと思っているだけです。選ぶのは監督だから、自分がやれることをしっかりやります」

韓国戦もまた様々な選手が試されることになる。これまでの日本代表とは違って、急きょ組まれたシステムの中で、選手たちは自分の実力を証明しなければならない。最後のチャンスとなる可能性もある韓国戦で、倉田にはゴールを生む活躍が求められる。

【日本蹴球合同会社/森雅史】