Microsoft Officeは不要か? 互換性が向上した「KINGSOFT Office 2016」の賢い活用法とは

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キングソフトのKINGSOFT Officeは、Microsoft Officeの互換製品として有名だ。そのキングソフトから最新版「KINGSOFT Office 2016」がリリースされた。

機能はMicrosoft Officeにかなり近いのに値段は安い。Microsoft Officeを100%代替できるわけではないが、使い方によってはとても有効な製品だ。

●docx、xlsx、pptxの新ファイル形式に完全対応して互換性アップ
2月25日にキングソフトから、Microsoft Officeの互換オフィスソフト「KINGSOFT Office 2016」が発売された。ワープロの「Writer」、表計算ソフトの「Spreadsheets」、プレゼンソフトの「Presentation」の3本から構成され、フォントが同梱されたバージョンやマクロのVBAに対応したバージョンなどが提供される。

最大の特徴は、Microsoft Office 2007以降のファイル形式である「docx」「xlsx」「pptx」の読込・保存に完全対応したことだ。

1つ前の製品である「KINGSOFT Office 2013」は、Excelの「xlsx」だけしか対応していなかったので、ようやくすべての新しい形式のファイルを安心して利用できるようになった。もちろん、旧形式の「doc」「xls」「ppt」形式も扱える。

「見た目」「機能」「操作性」は、あいかわらずMicrosoft Officeをよく研究している。まったく同じではないが、特殊な機能を使わない一般的な作業なら、違和感なく利用できるだろう。

ファイルの互換性が高いのも特徴だ。
実際に、Microsoft Office用の複雑なレイアウトのテンプレートを読み込んでみたが、そのまま正確に表示された。

特に今回のバージョンでは、表計算ソフト(Spreadsheets)のグラフ機能が強化されている。
グラフの種類は本家より少ないが、作成方法やグラフのデザインはExcel 2016とほぼ同じだ。表計算ソフトのグラフ機能はワープロ(Writer)とプレゼンソフト(Presentation)でも使われるため、グラフ機能全体が底上げされたことになる。

そのほかにも、新しいテーマやスタイルの追加、スポイト機能、WriterのPDF閲覧、Spreadsheetsのテーブル機能など、実用性の高い機能強化が行われている。


ワープロのWriter。テーマが追加されて、PDFファイルの閲覧も可能になった。



表計算ソフトのSpreadsheets。データ分析に便利なテーブル機能が追加されたのはうれしい。



プレゼンソフトのPresentation。閲覧表示機能、配付資料とノートのマスタ機能などが追加されている



Spreadsheetsでグラフを作成した。Excel 2016と同様の操作でグラフを作成できる。



リボンを消して、サポートが終了したOffice 2003の同じ形式のメニューも利用できる。


●本家の約1/6の価格でPC/Android/iOSで利用可能
「KINGSOFT Office 2016」の魅力は、何といっても価格の安さだ。
マイクロソフトのOfficeはクラウド版やプレインストール版などがあって単純比較はできないが、たとえば、
Word/Excel/Outlook/PowerPoint/OneNoteの入った
・「Microsoft Office Home and Business 2016」(ダウンロード版)は、
アマゾンの価格は、29,252円。
・「KINGSOFT Office 2016スタンダード」の価格は、
5,479円
と、その価格差は、なんと約1/6だ。
この値段でMicrosoft Offcieは2台のPC、KINGSOFT Officeは1台のPCにインストールできる。

なお、KINGSOFT Officeの場合、一度購入すると、シリアルキーを保有している限り新しいバージョンを利用できて、1つのライセンスでPC/Android/iOSの各デバイスでも利用可能となっている(Android/iOS用のアプリが提供されている)。

●低価格とシンプルなライセンスが魅力、企業は本家と組み合わせて利用するのが賢い使い方か

本家のMicrosoft Officeは、いま、クラウド化へと大きく舵を切っている。
パッケージ版やプレインストール版も引き続き提供されるが、今後、マイクロソフトが力を入れていくのは、間違いなくクラウド版のOffice 365だ。

その弊害か、いま、Officeのライセンス形態は複雑でわかりにくくなっている。
一方、「KINGSOFT Office 2016」のライセンスはシンプルでわかりやすい。
しかも低価格だ。これは、大きな魅力になるだろう。

オフィス製品としての実力は十分だと思う。個人でパーソナルな文書を作成・印刷する使い方ならまったく問題ないだろう。

ただし、企業が利用する場合は注意が必要だ。Microsoft Officeのファイルは、ビジネスのデファクトスタンダードだから、「KINGSOFT Office 2016」のファイルでデータをやりとりすることは、まず考えられない点だ。

やはり、Microsoft Office(ラインセンス)はビジネスでは不可欠だ。
ただし、全社員にMicrosoft Officeを用意するのはコストがかさむのも事実だ。

そこで「KINGSOFT Office 2016」の出番だ。
外部とのファイルのやりとりが不要だったり、印刷物を作ったりといった社内作業が目的なら、十分役に立つからだ。

Microsoft Officeを置き換えるのではなく、Microsoft Officeと組み合わせて利用するのが、「KINGSOFT Office 2016」のうまい活用法だと思う。

なお、下記のサイトでは、30日間無料で利用できる体験版をダウンロードできる。興味のある方は試してみよう。

KINGSOFT Office 2016



井上健語(フリーランスライター)