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北海道江別市で2024年10月、当時20歳の男子大学生が男女6人から集団暴行を受けて死亡した事件で、当時17歳の少年が強盗致死などの罪に問われている裁判で、検察は7月27日、懲役30年を求刑しました。

報道によると、検察側は「主体的に暴行を加えた責任は極めて重い」とした上で、懲役30年を求刑。これに対し弁護側は、ほかの共犯者による心理的影響が大きく、主犯格とはいえないとして、懲役20年が上限であると主張したとされています。判決は8月7日に予定されています。

SNS上では、凄惨な暴行によって被害者が死亡した事件について、30年という求刑も罪として軽いのではないか、「なぜ死刑にならないのか」という声も上がっています。これ以上の刑を求めることはできなかったのでしょうか。解説します。

● なぜ検察は無期を求刑しなかったのか

強盗致死罪の法定刑は、死刑か無期しかありません(刑法240条後段)。

ただ、少年法では、罪を行ったときに18歳未満だった人に死刑は科せず、死刑で処断すべき場合は無期刑にすると定められています(少年法51条1項)。

この場合であれば、少年に対しても無期刑を下すことは可能です。

しかし、無期刑の場合は、そこからさらに一段下がって、有期刑になることがあります。

少年事件で、無期刑が有期刑に「落ちる」パターンは、大きく2つ考えられます。

1つは少年法51条2項です。罪を行ったときに18歳未満なら、無期にすべき場合でも有期刑を選ぶことができ、その刑は10年以上20年以下とされています。

私見ですが、弁護側の「最長でも20年」は、おそらくこのことを主張しているように思われます。

もう1つは、刑法上の酌量減軽です。犯行に至る情状を考えて刑を軽くする仕組みで(刑法66条)、無期刑を減軽すると7年以上30年以下になります(刑法68条2号、14条1項)。

これも私見ですが、検察の30年は、このことを主張しているように思われます。

●検察は最大限重い罪を求めた

それにしても、「20年以下」と定めた少年法51条2項があるのに、なぜ30年を求刑できるのでしょうか。

ややこしいですが、51条2項が使えるのは、条文上「無期刑をもつて処断(しょだん)すべきとき」、つまり、法律を当てはめた結論が無期刑となる場合に限られます。

裁判所が酌量減軽をすれば、その結論は「7年以上30年以下の有期刑」に変わります。もう「無期刑で処断すべきとき」にあたらないことになるため、51条2項は適用されず、20年の上限にかからない、と考えられます。

なお、少年への有期刑には、上限15年の「不定期刑」という別の枠もあります(少年法52条)。

しかし2021年成立の少年法改正で、この規定は、判決のときに18歳・19歳である「特定少年」には適用されないことになりました(少年法67条4項)。

今回の被告は判決時19歳と報じられており、この枠もかかりません。

今回の被告は、罪を行ったのは17歳ですが、判決時19歳と報じられています。

言い渡す刑を抑制する少年法の規定はなく、「7年以上30年以下」という刑法の枠がそのまま働く、と考えられます。

検察官の30年の求刑は、この上限の30年を根拠にしていると考えられます。

●弁護側の反論が認められる可能性は?

もっとも、これには強い反論があります。

少年法51条2項が上限を20年と区切ったのは、少年は環境などにより変わりうるので(「可塑性」(かそせい)と言います)、長すぎる刑は立ち直りを妨げるという考え方によります。

無期にすべき重い事案ですら20年なのに、別の道を通れば30年というのは均衡を失する。このように主張する論者もいます。

罪を行ったときに18歳未満で、判決のときには特定少年。今回のようなケースで、20年を超える刑が言い渡された例は、私が探したところでは確認できませんでした。8月7日の判決が注目されます。

小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)