山本千尋、ファンからも熱望された『キングダム』“羌かい”は「私の全てが詰め込まれた役」
◆アクションは感情の究極 羌かいが戦場にいる理由を感じてもらえる“巫舞”に
――多くのファンが、舞台版の続編があるなら山本さんに羌かいを演じてほしいと思っていたと思います。どんな思いで羌かい役に挑まれていますか?
山本:『キングダム』はどの現場も、長期間の練習と並々ならぬ熱量であふれていて、それを肌で感じてこれたからこそ、「舞台でも絶対に羌かいを演じたい!」と強く思うことができました。舞台は失敗が許されず、生で観てもらうというプレッシャーがありますが、だからこそ、そこで戦いたいなと。羌かいという役は、中国武術の選手を辞めてこの世界に入った私の全てが詰め込まれた役なので、この思いを観客の皆さまにお届けできる絶好のチャンスだなと感じています。
――10年前と現在、作品や羌かいの見え方に違いはありますか?
山本:そうですね。連載10周年実写特別動画の頃はまだ20歳で、今振り返ると子どもの延長みたいな感じで(笑)。そんな私もついに今年、30代に突入します。周りの方々から「30代すごく楽しいよ」と言われていたのですが、はやくもそれを肌で感じているんです。若い頃は頑張ろうと意気込むものの、心に余裕がなかった。でも、今はすべてのことを楽しく思えるし、周りの頑張る姿にも幸せを感じられるんですね。それってすごく『キングダム』の世界に共通するなと思っていて。昔の羌かいだったら全部自分だけでどうにかしようとしていたと思うけれど、信と出会い仲間を得ていく。そんな羌かいを、今の自分が演じることで、10年前とはまた違う表現で羌かいを演じられる気がしています。
――実際に稽古が進んでいくなかで、新たに見えてきた羌かい像や課題はありますか?
山本:10年前は動きのみで、セリフがなかったんですよね。だから、戦っていない姿を演じるのは大きな課題だなと思います。殺陣に関しても、長年やってきた中国武術のようで、やっぱりちょっと違うので、いつもの自分の中国武術にはならないようにしたいです。舞台はやり直しが利かないので、しっかり練習しないといけないなと感じています。
――羌かいとしての表現では、どんな部分を大事にされていますか?
山本:各キャラクターの深い部分をきれいに描いてくださっている脚本で、羌かいも感情を表現するシーンがしっかりあります。アクションって、感情の究極だと思っていて。羌かいが戦場にいる理由を感じてもらえる“巫舞”(※羌かいの出身部族・蚩尤(しゆう)に伝わる剣舞)にしていきたいです。彼女が言葉にせず内側に溜めたエネルギーを、自分の中に持ち続けて演じたいなと思っています。
◆Wキャストの三浦宏規&高野洸、タイプの違う“信”との芝居が新鮮
――羌かいと深く関わる信役は三浦宏規さんと高野洸さんのWキャストですね。
山本:Wキャストの舞台が初めてなんですが、「こんなに楽しいんだ!」と。(三浦)宏規くんの信と、(高野)洸くんの信は全然違うタイプの信で、やっぱり受け取るものも違ってくるんです。そういうのを感じると、改めてお芝居って自分だけで演じるものじゃないんだなというのを実感しています。
――お二人の信の違いをどう感じていますか?
山本:洸くんの信はまっすぐ意思が強くて、漫画の信と同じ顔をする瞬間があるんです。それだけ、洸くん自身の真面目さと芯の強さが出ているのかなと。応援したくなる主人公という印象です。宏規くんの信は、クラスの中心人物のような、みんながついていきたくなるカリスマ性があって、すごく頼もしい主人公。同時に愉快でチャーミングな信だと感じています。羌かいとしては、洸くんの信とは共に戦うイメージ、宏規くんの信は心を開きたくなる信だなというのが、稽古で見えてきているところです。
――舞台上で羌かいがどう舞うのか、とても楽しみにしています。最後に、意気込みと読者へのメッセージをお願いします。
山本:『キングダム』という作品を通じて私を知ってくださった方が本当に多くて、こんなに長い期間、私に羌かいを演じてほしいと言ってくださる方がいて。舞台でも羌かい役を、とお話をいただくという、10年前には想像していなかったことが、皆さんのお言葉のおかげで実現しました。皆さんの期待と作品を裏切らないよう、1つ1つ丁寧に演じていきますので、ぜひ劇場で楽しんでいただければと思います。
今後作品がどういった形で広がっていくかはわかりませんが、いつでも羌かいとして舞台に立てるよう、この先も体をキープできるよう頑張っていきます!
(取材・文・写真:双海しお)
舞台『キングダムII-継承-』は、8月9日〜9月13日東京・東京建物Brillia HALL、9月21日〜29日大阪・新歌舞伎座、10月6日〜13日福岡・博多座にて上演。
※羌かいの「かい」は「やまいだれに鬼」が正式表記

