「お皿洗って」と言われた時に「めんどくさい」という夫が感じる理由は?損得勘定よりも…
「引っ越しがめんどくさい」、「新しい環境がめんどくさい」など、様々な場面でめんどくさいと感じる、やらなければと分かっていても最初の一歩が重くて動けない…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。精神科医であるゆうきゆう先生は「『めんどくさい』という感情を否定する必要はありません。その感情をうまく使う方法があるからです」と語ります。そこで今回はゆうき先生の著書『めんどくさいは、あっていい。「めんどくさい」を活かす究極の方法』より一部を抜粋してお届けします。
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料理や家事をするのがめんどくさい
「料理や家事がめんどくさい」という気持ちも、実は勉強や恋愛とほぼ同じです。多くの人は「ただやりたくないだけでしょ」と思いがちですが、実際はさまざまな要因が絡み合っているんです。
●無意識下にひそむ三つのパターン
まず一つ目のパターン。
「自分が家事や料理をした結果、能力が低いと判断されるのが怖い」という心理です。
特に料理というのは、完成品がそのまま「実力」として評価されますよね。味が微妙だったら「料理ヘタなんだね」。盛りつけが不器用だったら「センスがない」「不器用」。このストレートな評価が怖いわけです。
また女性の場合、まだまだ社会的に「家事が得意であるべき」という価値観を押しつけられやすい部分もあります。
だからこそ、そこを試される場に立つのが本気で怖い。
結果として、脳はこう言います。
「……うん、やめておこう。めんどくさいし」
「家事能力という価値を評価されるのが怖い」が「めんどくさい」にすり替わるわけです。
二つ目、三つ目のパターン
そして二つ目のパターンは、
「やったことがなさすぎて、未知の領域に足を踏み入れるのが怖い」。
経験がなければ、当然スキルもありません。スキルがなければ失敗率も高い。
失敗すれば評価が下がる……その未来予測が一瞬で立ち上がるんです。
料理したことのない男性が突然、「今日の夕飯作って」と言われたら、めんどくさいのは当然です。同じように、赤ちゃんのおむつ替えも、洗濯も、アイロンがけも、洗い物も、やったことがなければ全部「ラスボス」に見えます。
人間は、経験ゼロの領域には本能的にブレーキがかかるので、
「めんどくさい」
「無理」となるわけです。
さらに三つ目のパターン。
これが意外と強く影響します。
「家事をやるということは、相手に『使われる立場』になるのでは?」という恐れです。人間関係の上下関係に敏感な人ほど、こうした「役割を押しつけられる未来」を無意識に予測します。
たとえば妻に、
「お皿洗って」
と言われたとき、夫がめんどくさいと感じる背景には、
「今日洗ったら、明日も頼まれるのでは?」
「これ俺の担当になるのでは?」
「なんか使われる側にならない?」
という「未来の労力の増加」まで一瞬で計算する脳があります。
損得勘定というよりも「自分の立場が下になるのが怖い」という自我の防衛があるんですね。
実際、人によっては、
「やったら最後、便利屋扱いされる……」
という思考を持ってしまうこともあります。その恐れが「めんどくさい」に変換されて表に出てくるわけです。
一人暮らしで家事が「めんどくさい」理由
ただ、誰かに評価されることのない一人暮らしの方も、料理や家事を「めんどくさい」と思うことはありますよね。
それはなぜなのか。

(写真提供:Photo AC)
まずあげられる理由は「純粋にエネルギーが残っていない」ということです。一人暮らしの家事は、誰にも分担できません。
・献立を考える
・買い物をする
・作る
・片づける
すべてを、一人で引き受ける必要があります。しかも、仕事や人づき合いで疲れたあとにです。体力はもちろん、判断力もかなり消耗していますよね。
そんな状態で「何を作るか」「どう家事を進めるか」を考えるのは、思っている以上に負担が大きいものです。
結果、料理そのものよりも「考えること」がめんどくさくなります。
ただの怠けではない
また、一人暮らしは「やらなくても困らない」が成立するというのも理由の一つにあります。家族やパートナーと暮らしていれば、料理や家事は「やらないと誰かが困る」行動になります。でも、一人暮らしでは違います。
・外食してもいい
・コンビニで買って済ませてもいい
・いっそ食べなくてもいい
・洗い物が明日でも誰にも怒られない
自分が我慢したり、負担すればいいだけなので、やらなくてもほかの人への影響はゼロということになります。
まとめると、料理や家事がめんどくさいと感じるときは、このような要因が複雑に絡み合っています。
・失敗して能力を否定されるのが怖い
・やったことがなさすぎるため、未知の領域への恐怖がある
・やることで役割を押しつけられ、支配される未来への恐怖がある
・エネルギー不足
・(一人暮らしの場合)やらなくても他人に迷惑がかからない
いずれもただの怠けではなく、「自分という存在を守ろうとする心理」が発動している結果なんです。
※本稿は、『めんどくさいは、あっていい。「めんどくさい」を活かす究極の方法』(清流出版)の一部を再編集したものです。

