「転移性肝臓がん」で”入院が必要な検査”はご存じですか?検査と治療法を医師が解説!
転移性肝臓がんの検査法や治療法はどのようなものでしょうか。メディカルドック監修医が転移性肝臓がんについて解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「転移性肝臓がん」を発症すると”目”に現れる症状とは?他の症状も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
岡本 彩那(淀川キリスト教病院)
兵庫医科大学医学部医学科卒業後、沖縄県浦添総合病院にて2年間研修 / 兵庫医科大学救命センターで3年半三次救命に従事、近大病院消化器内科にて勤務 /その後、現在は淀川キリスト教病院消化器内科に勤務 / 専門は消化器内科胆膵分野
「転移性肝臓がん」とは?
肝臓にできるがんにはいくつか種類があります。そのうち、肝臓に元々あった細胞が原因でできたがんを原発性肝がん、他の臓器から転移してきたものを転移性肝がんと言います。
転移性肝がんの性質は、元々発生した場所(原発巣)の性質と同じであり、何処からやってきたかによって治療なども変わります。ここではその「転移性肝がん」について解説していきます。
転移性肝臓がんの検査法
腹部超音波検査(腹部エコー)
お腹の上から機械を当てることによりお腹の中の状態を超音波を利用して描出する検査です。身体の負担もなく、偶発症がほぼない検査であり、健診等でも行われています。転移性肝がんは腹部エコーで特徴的な画像を示すため、どんな腫瘍か確認するのに有用な検査です。消化器内科等で外来で行われ、入院は不要です。
CT検査
CT検査を行うことで肝臓全体を確認し、がんがどのあたりまで、どのぐらいの大きさかなどを客観的に診ることができます。また、どこから移ってきたがんか調べることにも有用です。造影剤という薬を使用し、詳細を評価することも可能です。放射線科等の協力のもと行われ、通常は外来で検査可能です。
MRI検査
磁力を使用することにより体の中を画像化して評価するものです。肝臓の状態を確認することで転移性肝がんがどのあたりまで進んでいるかなどを調べることができます。MRIは強力な磁力を使用しているため、ペースメーカーが入っている人などは受けることができません。通常は外来で実施されます。
内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)
がんがはじめにできた場所としてなり得るのは胃や大腸などの消化管である場合が多いです。そのため、内視鏡で胃や大腸にがんができていないかを確認することがあります。内視鏡検査は消化器内科で行います。
肝生検
どこから移ってきたものかわからない場合、超音波検査下で直接腫瘍に針を刺して組織を調べることがあります。腫瘍自体を調べることによりどこからの転移かを検討を付けるのです。出血などのリスクを伴うため、基本的に消化器内科で入院して行います。多くの病院では2~3日の入院となることが多いでしょう。
転移性肝臓がんの治療法
転移性肝がんの治療は元の発生場所(原発巣)が何処かによって変わります。ここでは転移性肝がんの治療法について解説します。
化学療法(抗がん剤)
基本的に転移性肝がんが見つかった場合、肝臓への転移は「遠隔転移」とされ、進行度はStageⅣ(末期)になります。そのため、多くの場合は手術ができません。その場合、がんに対する治療は抗がん剤の治療(化学療法)となります。内科で行いますが、基本的に外来通院で行います。
外科手術(肝切除)
大腸がんからの転移であった場合、外科手術で取り切ることによって治ることがあります。転移性肝がんが少数・小さいものである場合は切除できることがありますが、全体に散らばっている場合などは切除することができません。手術は外科で行いますが、年齢、体力などにより手術に耐えられるかを慎重に判断します。入院期間は術式によりますが、通常2週間前後を要します。
胆道ドレナージ(内視鏡的・経皮的)
胆管が転移性肝がんで塞がれてしまった場合、細菌感染による胆管炎や肝機能障害を起こすことがあります。この場合、胆管にチューブを入れて胆汁を外に出したり、圧を下げる処置が必要です。消化器内科で内視鏡やレントゲン・エコーを見ながら行います。処置のために入院が必要となり、1週間程度の経過観察が行われます。
緩和ケア
治療の手立てが取れない状態であったり、抗がん剤治療を希望しないという状況もあります。その場合は緩和ケアという選択肢も上がります。自宅やホスピスなど様々な状況がありますが、すぐに入院できない場合もあります。転移性肝がんが見つかった時点で「最期をどう過ごすか」を話しあっておくことも重要です。
「転移性肝臓がん」についてよくある質問
ここまで転移性肝臓がんを紹介しました。ここでは「転移性肝臓がん」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
転移性肝臓がんの末期症状について教えてください。
岡本 彩那(医師)
転移性肝臓がんは他の臓器にできたがん(原発巣)が肝臓に転移してきたものです。転移性肝がんがあるということはイコール他の臓器に末期がんがあるということです。そのため末期症状となると元のがんの症状が出てくることも多いでしょう。元のがん(原発巣)の症状以外では一般的には腹痛、肝機能障害や腹水、意識障害等が当てはまります。
まとめ
転移性肝がんがあるということは他に末期がんが隠れているということです。多くはこの時点で手術等ができず、抗がん剤などの治療しかできないでしょう。ただし、状況によっては手術を含めた治療が見込める場合や抗がん剤ができる場合等があります。健診などで怪しい結果が出る、何か症状が出てくるなどあれば早めに病院受診をするようにしましょう。
「転移性肝臓がん」に関連する病気
「転移性肝臓がん」から医師が考えられる病気は10個以上あります。各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
消化器科の病気
消化器系の原発巣
胃がん
食道がん大腸がん小腸がん胆道がん
膵がん婦人科・乳腺外科の病気
婦人科・乳腺の原発巣
子宮頸がん子宮体がん卵巣がん乳がん呼吸器・泌尿器科の病気
その他の原発巣
肺がん腎細胞がん
転移性肝がんがあるということは、すでに他の場所に進行したがんがいるということになります。つまりがん細胞が体内に広がっているという状況ですが、元のがんや全身状態によっては手術を含めた治療が見込める場合や抗がん剤ができるケースもあるので、専門医と治療方針をよく相談してください。
「転移性肝臓がん」に関連する症状
「転移性肝臓がん」に関連する症状は8個ほどあります。各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
腹痛腹水
肝機能障害
発熱黄疸
意識障害
倦怠感体重減少
肝臓の中には胆管があるため、胆道(胆嚢・胆管)などの異常に伴う症状が出現することがあります。
参考文献
専門医のための消化器病学 第3版 医学書院

