「外国人が税金を逃れている」SNSでは怨嗟の声も…マンションの中国人オーナーが語った「支払いに納得できない」理由
〈「日本人は細かすぎ」マンションの廊下に物を並べ、エントランスでパーティーして大音声…中国人住民とトラブルが起きてしまう“本当の理由”〉から続く
円安を背景とした外国人投資家や資産家たちの不動産「爆買い」。その影響により物件価格は高騰し、マンションの外国人オーナーと住民の間では信じがたい生活上のトラブルが発生している。とりわけ注目されるのは中国人オーナーだ。
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今、全国のマンションで何が起こっているのか。はたして、悪いのは外国から来た彼らだけなのか? 不動産事業プロデューサーとして業界に精通する牧野知弘氏の新刊『「外国人不動産」問題』(祥伝社新書)より、一部を抜粋して紹介する。(全3回の3回目)

画像はイメージ ©koni_film/イメージマート
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固定資産税、相続税を払わない
外国人によるマンション購入が増加することで最近問題となっているのが、税金の滞納です。日本人にとっては当たり前に支払わなければならない税金でも、彼らにとってはそもそも当たり前ではないのです。
中国人は、自国で不動産を所有しても固定資産税がかかりません。固定資産税という概念が存在しないのです。土地は国から賃借するものであって、所有権が認められていないせいもあるのでしょうが、自分の資産に対して課税される経験がそもそもないのです。したがって、支払い通知が来ても意味がわからないうえに、通知書の言語は日本語で読むことができません。
在留者であれば、固定資産税支払いを理解すれば問題はないのですが、非居住者の場合はややこしくなります。通常は日本側にエージェントがいて、固定資産税を含め各種の支払いを代行してくれますが、非居住者が購入する多くのマンションは空き部屋にしたままで、時々日本に遊びに来た時のためのホテル替わりに使っている人も多いため、請求されていることに気づかずに滞納が増えてしまうのです。よく言われるように滞納して知らんぷり、というものではなく、おそらく内容をよく理解していないのです。
これが相続税になると、さらに深刻です。中国には相続税が存在しません。ただ日本の税制では、外国人であっても日本で所有する財産については相続税が課されます。しかし、実際に相続が発生したことを日本側が把握するには限界があります。また相続登記を行なわなければ、財産の移動状況がつかめません。
こうした日本のルールへの理解には、またぞろ言語の壁が立ちはだかります。実際に非居住者だと、現地に問い合わせる手段が限られます。その結果、役所側も探索を放棄してしまうことになります。
固定資産税や相続税といった日本国の税収に大きな割合を占める税金を、外国人が逃れているという事態は、外国人への怨嗟のまなざしとなって、SNS上などで大きな話題になっています。また、こうした状況を憂えて、外国人排除を主張する団体や政党が出現するに至っています。ここで重要なのは、直截的に相手を非難するのではなく、そうなっている原因を突き止め、理解していないのであればこれを説明し、ルールを守るように導くことです。
日本に在留し、しっかりと税金を納めている外国人がほとんどであることも事実です。いたずらに外国人だからという理由で排斥する考えに、私は賛同しません。日本の税制についての理解を進め、無知による無用なトラブルを避ける意味でも、外国人を受け入れるための、特に不動産周りの情報の周知徹底は遅れているように思われます。
管理費、修繕積立金も払わない
これも、あるマンションで中国人所有者を相手に起こった出来事です。彼は在留者で日本で働いていますので、多少日本語も話すことができます。実際にマンションの管理費については、毎月引き落としに応じています。ところが、毎月積み立てる修繕積立金に関しては頑として支払おうとしません。
積み立てない理由を聞くと、彼は
「なぜ積み立てる必要があるかわからない。修繕が発生する都度、請求してくれれば支払う。積み立てることに何か根拠があるのでしょうか」
と言います。
確かに発生の都度、支払ってくれればよさそうにも思えますが、それは彼がずっとこのマンションに住み続けてくれるという但し書き付きとなります。建物の修繕は、定期的に必要な箇所を手当てしていくのが通常です。突発的な修繕も生じますが、年度はじめにある程度予算化して、基本的には予算の範囲内で必要な工事を行なっていくものです。
しかし、こうした発想のない彼にとっては、「必要のない工事までやろうとする。修繕などは実際に不具合が発生すれば、その都度手を入れていけばよいではないか」と考えているようです。
さらに、彼からはこんな質問が来ました。
「ではわかりました。積み立てるとしましょう。仮にワタシがこのマンションの部屋を売却する時は、積み立てた分を返してくれますよね」
積立金の返済には応じられないと答えると、彼は納得してくれません。「自分が積み立てたお金、なぜ返してくれない。使わなかったのでしょう。必要のない金額は返金してほしい」と。
実際には、マンション購入時点で同時に締結する管理組合契約、規約で積み立てた修繕積立金については、売却しても返済について権利の主張はできないことになっています。そのことを伝えて、しぶしぶ納得してもらいましたが、国によって考え方はさまざまなのです。
マンション管理費について、日本人と認識が違う
マンションの管理費についても、認識の違いはあります。中国人に限った話ではありませんが、よく認識で齟齬が発生するのが、所有者が非居住の投資家の場合です。彼らは日本に常時滞在しているわけではなく、日本にはよく旅行でやってきています。中国人にとって、日本旅行はほぼ国内旅行に近い感覚があります。いつもホテルを使うのはもったいないので、マンションを買って、日本に来た時にはホテル代わりに使うのです。また、息子や娘が日本に留学した時のための滞在用にとりあえず買っておく、という人も多いと聞きます。
この場合は、自分の部屋を管理してくれる管理業者が日本に存在し、部屋の管理をしてくれます。管理といっても、郵便受けをチェックする、部屋内の掃除をする、通気通水をする程度のものです。
私も仕事で一度、白金高輪で香港人投資家が所有するタワマンの部屋に案内してもらったことがありますが、日本での管理人と思われる方が、なかを案内してくれました。驚いたのが、オーナーはマンションを購入して以降4年が経つが、まだ一度も日本には来ていないと言っていました。広い寝室には大きなダブルベッドが置いてあり、その上にはブランドものと思われるバッグが放置されています。おそらく4年間、同じ場所にそのままにされているのでしょう。
投資家は当然、現地業者には管理費と称する報酬を支払っています。それなのに、マンション管理費を請求するので、アタマに来るのです。
「ノー。私はすでに管理人を雇っていて、管理費はそいつに払っている。なのに、なぜ別に管理費を払わなければならないのか」
となるのです。
もちろん、管理の内容が異なります。現地管理業者はあくまでもオーナーの部屋を管理しているだけ。マンション管理人はマンション内でのゴミ出し、日々のクレームや問い合わせへの対応、共用部の清掃、警備などを司っているわけですが、彼らから見れば、ゴミ出しなんてゴミ業者がやればよいし、清掃、警備、設備管理は全部プロがいるはず。何で中途半端な知識しかないおじさんが管理人と称しているのか、という程度にしか思っていないのです。
このように、国によって建物管理に対する感覚はかなり異なります。むろん、日本にあっては日本のルールを守っていただかなければ、トラブルの元となります。また相手が知らないことに対して、日本人オーナーや住民が憤りを覚えるのは仕方がない側面もあります。ただ、繰り返しですが、各国人の生活スタイル、価値観は当然異なり、日本の考え方を理解しようにも、言語の壁などでうまくいかないことを、われわれ日本人も理解する必要があるのではないでしょうか。
管理組合における契約や規約の多言語化は必須ですし、管理組合総会における資料の多言語化や通訳の設置など、今後はこうした対応の有無によって、資産価値も変わってくる時代です。外国人を排除した日本人だけの閉ざされた生活空間を作ろうとするのも1つの考え方ですが、まずは互いの溝を埋めるためにできることから始めてみることが肝要なのです。
(牧野 知弘/Webオリジナル(外部転載))
