「ブタ呼ばわりされていた」優しかった夫がブラック企業で激変→壮絶DVをするように…8人の子どもを育てる女性(41)が振り返る、地獄のような結婚生活〉から続く

 これまでに三度の結婚、8人の子どもを出産したトレオレル美智子さん(41)。現代では珍しい出産回数もさることながら、初婚の相手からは「ブタ」と呼ばれ、壮絶なDVを受けるなど過酷な経験をしてきた。

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 家に帰ると、トレオレルさんが作った料理を見ては「まずそうだな」と言い放ち、買い物に行った際には「これとこれを買わせてください」と言わせ、妊娠中だった時期にもひどい仕打ちを――彼女は、いかにしてDV夫から逃げ出せたのか。その後に待っていた「さらなる壮絶な経験」とともに話を聞いた。


現在は8人の母となったトレオレル美智子さん(本人インスタグラムより)

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「ブタよりひどい生活」と、弟から助けの手が

――ひどいDVをしてくるような夫から逃げるのも大変な気がします。

トレオレル美智子さん(以下、トレオレル) 弟が助けてくれました。ある日、元夫の私に対する態度を見て「ブタって呼ばれてるけど、ブタよりひどい生活してるよ」と言われました。弟は母から私のことを聞いていて、ぜんぶ知っていたんです。

 それから「必要なものは僕が全部持っていくから、今すぐ実家に帰ろう」と言ってくれて、元夫が仕事に出ている昼間に実家に連れ出してくれました。元夫の両親にこれまでの話をしたら「それは息子が悪い」と私の味方をしてくれて、離婚も思っていたよりスムーズに終えられました。

――2009年に離婚、その後滋賀から東京へ移住されています。シングルマザーで小さなお子さん2人ということを考えると、なかなか思い切った選択だったのでは。

トレオレル 地元は滋賀の中でも田舎の方で、「美智子ちゃん、結局どこの大学行ったの?」「今何しているの?」と道ばたで知り合いに聞かれるのが負担なのもそうですし、何より親に申し訳ないなと感じていたんです。「京大を目指していたのに、無職で2児のシングルマザー」なんて、すごくいいネタじゃないですか。

 だから外を歩く時はいつも帽子を深くかぶって、マスクをして歩いていたんですけど、東京なら他人に噂をされることもないし、女性用ハローワークがあったり職探しをする上でもよさそうだなって。実際に東京に行ってすぐ仕事も見つかって、保育園にも優先して入れてもらえました。

フランス人と再婚→第3子を出産も、幸せにはなれなかった

――東京に移住して、順風満帆な生活だった?

トレオレル でも、だんだん東京での暮らしにも不満が募っていって。周囲に気を遣うのにも疲れていって、しだいに東京どころか「私には日本が合わない」と思うようになっていったんです。閉塞感のある毎日だけど、環境を変えればうまくいくんじゃないかみたいなことを思って……だったらまずは海外の人と話してみようと、子どもが寝た後に交流サイトでいろんな人と英語で話すようになりました。

 そこで、のちに2人目の夫になる男性とも出会いました。

――2人目の旦那さんはフランス人ですよね。

トレオレル 当時の彼は私と同じ25歳で、フランスに住んでいました。嘘みたいな話ですけど、交流し始めて割とすぐ「2週間後に東京に行くから、君と会いたい」と言われたんです。忙しかったので「職場から保育園に行くまでの道で話すだけなら」という条件で、会うことになりました。

 そうしたら意気投合して、ピクニックをしたり、子どもたちも一緒に遊んだりしているうちに、一気に距離が縮まっていきました。とんとん拍子で結婚することになって、フランスにも行くことになりました。

――当時、トレオレルさんのフランス語能力は……。

トレオレル ゼロです(笑)。2人目の夫とは英語で話していたし、子どもたちとは日本語だし。でも、フランスで暮らし始める不安よりも、「フランスに行けば人生が変わる」という希望の方が大きかったです。環境を変えれば、きっとうまくいく。これで人生が大丈夫になる……そう信じていました。

 渡仏したのは2012年で、第3子となる次女も出産しました。でも、まったく「大丈夫」になりませんでした。

異国の地で感じた「絶望」の正体

――2012年に、前夫との子ども2人を連れて、新たに結婚されたフランス人夫と住むために渡仏されました。「フランスに行けば人生が変わる」と思っていたとのことですが、実際にはどうでしたか。

トレオレル うーん、初めはうんざりしていました(笑)。2013年に私にとっては第4・5子となる女の子の双子を出産したんですけど、何かに困って下を向いて黙っていても、日本なら「大丈夫?」と聞いてくれるのに、フランスでは声をかけてもらえない。複数人と話している時に、日本人ならひとりでも外国人がいたらゆっくり話すか英語に切り替えたりするのに、フランス語でガンガン話し続けられたり……。

「フランス人って、なんて気が利かない、冷たい、意地悪な人たちなんだろう」。そう思っていました。

――結婚生活、という点ではどうでしょう。1度目の結婚生活では壮絶なDVを経験されていましたが……。

トレオレル 最初の結婚と一緒で、やっぱり母親は耐えなきゃいけない、尽くす妻こそいい母だと思って、ずっと家事をひとりで頑張っていました。でも、ある日、爆発してしまって。さっき話したようなフランス人全般に対する不満もあって、夫に「もういやだ! 離婚したい! 日本に帰る!」とぶちまけたんです。

トレオレルさんを絶望に追い込んだ「夫の仕打ち」とは?

――旦那さんの反応は……?

トレオレル ものすごく意外だったんですけど、「あぁ、やっと会話ができるようになったね、言ってくれてありがとう」と。要はフランス人って、意見を言わないと何も伝わらないんです。夫からしたら「(家事育児をひとりで)やりたいからやってるんでしょ? やりたくないならやらないよね」と考えていたんだとか。

 例えば何かに「ノー」と言うことは、相手を信頼して、本音を伝えるという意味になるんですよね。確かにフランス人に「コーヒー飲む?」と聞かれてノーと言うと、すごい喜ぶんです(笑)。

 そこから、自分でため込むのではなく言葉にして伝えることの大切さを痛感して、少しずつ実践していきました。夫とも、ぶつかり合いながらコミュニケーションが取れるようになってきました。でも、そのころから彼の別の面が見えてきたんです。

 DV夫との離婚を経て、異国への移住、再婚・出産を経てようやく幸せをつかんだかに見えたトレオレルさんを絶望に追い込んだ出来事や、7人の子どもを抱えシングルマザーとなった日々の記憶などについては、続く記事で紹介しています。あわせてお読みください。

〈7人の子どもを残し「夫が突然いなくなった」…異国の地でいきなりシングルマザー→3度目の結婚→8児の母になった女性(41)が幸せをつかむまで〉へ続く

(綾部 まと)