老後のお金の話をすると、どうしても「平均」という数字に目が向きがちだ。50代の平均貯金額は一見それなりの水準に見えるが、不動産投資アドバイザーの木村洸士氏はその数字に強く警鐘を鳴らす。少数の富裕層が引き上げているだけで、実態を示す中央値はその数字よりも大幅に低く、多くの人が老後資金の不足という現実に直面しているというのだ。さらに、60代になっても中央値は依然として低水準にとどまり、老後2,000万円問題が絵空事ではないことを数字が物語っている。
 
物価高が続き、退職金も下落傾向にある今、現金を持ち続けることがかえってリスクになる時代が来ている。新NISAに関心を持つ人も増えているが、木村氏はその効果が出るまでに必要な時間と、その間の生活への負荷についても冷静に言及する。貯蓄から投資へのシフトが叫ばれる中で、何が本当に有効な手段なのかという問いは、50代にとって極めて切実だ。
 
木村氏が提示するのは、自宅購入とは異なる発想に基づく不動産活用だ。かつては「自宅を老後に売る」という考え方が通用していたが、不動産市場の変容によってその前提は崩れている。では、何を買い、どう運用するのか。その考え方の軸となるのが、自宅需要と賃貸需要の違いだという。
 
重要なのは、一発逆転を狙わないことだと木村氏は繰り返す。年収や貯金の状況に応じた入口があり、小ぶりな案件から積み上げていく道筋が存在する。54歳・貯金500万円という想定で組み立てたシミュレーションでは、数年かけて複数の物件を保有するに至り、10年後には老後2,000万円問題をはるかに上回る資産規模に到達できるという結論が示されている。ただし、そこに至る各ステップの判断基準や、融資を引き出す金融機関の選び方など、具体的な手順は動画の中で丁寧に語られている。
 
木村氏が長年の指導で見てきた受講者の中には、56歳からスタートして60歳前後に月80万円規模の利益を達成した人や、60歳前後で年間1,000万円の利益を実現した人もいる。「年齢を理由に融資が出ない」と言われた場合でも、金融機関を変えることで状況が変わる事例がある、という現実は、50代が描くロードマップの可能性を静かに広げる。

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