イスラエル北部で、ネアンデルタール人以前の年代に遡る洞窟が見つかった/Emil Aladjem/Israel Antiquities Authority via CNN Newsource

(CNN)イスラエルで考古学者たちが、ネアンデルタール人以前の人類に近い生物が使用していた洞窟を発見した。彼らは最大で約40万年前に現地で暮らしていたとみられる。この時代についてはほとんど知見がなく、当該の洞窟は科学者が調査できる数少ない遺跡の一つとなる。

洞窟はイスラエル北部のフレイディスという町の郊外に位置しており、建設工事の影響を受ける予定だったことから、考古学者たちが調査を行うことになった。

1970年代の研究者たちは当初、この洞窟は約20万年前に使用されていたと考えていた。イスラエル考古学庁の考古学者コビ・バルディ氏は25日、CNNに対しそう語った。

しかし現在、バルディ氏と同僚のロン・シメルミッツ氏は、この洞窟が最大で約40万年前の時点で居住空間として利用されていたことを明らかにした。シメルミッツ氏はハイファ大学考古学准教授を務める。

両氏は握斧(あくふ)、皮なめしに使用する掻器(そうき)、刃物など、火打石製の石器を発見したことから、この年代を特定した。これらは当時この地域に住んでいたネアンデルタール人以前のヒト族に関連するアシューロ・ヤブルーディアン文化に特徴的な遺物だ。

バルディ氏はCNNに対し、この洞窟が従来考えられていたよりもはるかに古いことが判明したのは「大きな驚きだった」と語った。この洞窟は約40万〜25万年前にレバント、すなわち近東地域に居住していたアシューロ・ヤブルーディアン文化の人々によって使用されていたとみられる。

研究チームはまた、ダマジカやガゼルなどの動物の骨も発見した。

これは、大規模なヒト族集団が洞窟で共同生活を送り、野生動物を狩り、火を利用していたことを示唆する。「複雑で豊かな集団生活が営まれていたことを示している」。シメルミッツ氏は6月11日にイスラエル外務省が公表した声明で述べた。

しかし現在までのところ、この時代の洞窟からは重要な人類の遺骨は一つも発見されていない。

シメルミッツ氏は声明で、フレイディスの洞窟について「世界的に見ても類を見ない重要な遺跡だ」と指摘。「このタイムカプセルは、前期旧石器時代末という特異な時代に属している。ネアンデルタール人と現生人類が優勢となり、多くの地域へ広がる直前の時期だ」と説明した。

「この重要な時期に属する遺跡は、イスラエルやより広いレバント地域でもごくわずかしか発見されておらず、そのほとんどは研究目的で立ち入ることができない」と、シメルミッツ氏は付け加えた。

バルディ氏によれば、研究者たちはこの洞窟で大規模な調査を計画している。それにはおそらく数年を要するとみられる。

「これらの洞窟の発掘における我々の最大の願いは、おそらくヒト族の化石を見つけることになるだろう」(バルディ氏)

「理解を一変させる」

英サウサンプトン大学の旧石器時代考古学講師アルマンド・ファルクッチ氏はCNNに対し、この発見は、これまであまり注目されてこなかった人類史の一時期についての理解を深めるものだと語った。同氏は今回の研究には関与していない、

「この時代(およそ40万年前から20万年前)は、アフリカとユーラシアの双方において、行動様式や技術が大きく変化した時期に当たる。そこには景観の中で洞窟が中心的な場所として集中的かつ繰り返し利用されるようになったことも含まれる」と、同氏は24日にCNNに語った。

また「この遺跡で火が集中的に使用されていたことを示す証拠は特に重要だ」とファルクッチ氏は強調。「まさにこの時期、そしてまさにこの種の遺跡において、火を習慣的かつ制御して使用していたことが考古学的に確認できるようになる。これは人類の進化における行動上の大きな転換点を示している」と付け加えた。

また、英スコットランドのエディンバラ大学で先史学・考古学年代測定の教授を務め、考古学部門の責任者でもあるカトリオナ・ピカード氏は、この研究成果について「初期のヒト族の物質文化や生活様式に関する貴重な知見をもたらしており、その意味でこの遺跡はレバント地域の前期旧石器時代に対する私たちの理解を一変させる可能性を秘めている」と語った。同氏は今回の研究には関与していない。