映画独自解説家である守鍬刈雄が、「ロングウォークを試写で観た」と題した動画を公開した。動画では、スティーヴン・キングの幻の処女作と呼ばれる映画『ロングウォーク』について、執筆の背景や現代にも通じる深いテーマを解説している。

守鍬はまず、本作がキングの大学時代に初めて書かれた別名義の小説であり、デビュー作『キャリー』の前に書き上げられた「本当の処女作」であると紹介。技術や商業的な戦略を練る前の「若きキングの思想がむき出しになっている」と指摘する。権力への不信や極限状態の人間心理、なぜ人は理不尽なルールに従ってしまうのかという、後のキング作品で繰り返されるテーマがすでに詰まっている点に言及した。

また、本作と世界観が似ている『ランニング・マン』とともに「リチャード・バックマン」というペンネームで発表された背景も解説。キング名義での出版過多を防ぐ目的と、名前なしで売れるかを実験する狙いがあったというエピソードを披露した。

物語については、100人の男たちがひたすら歩き続け、規定速度を下回ると失格になり、最後に残った1人が勝者となる驚くほどシンプルな設定だと説明。この半世紀以上前に書かれた設定が、終わりのない競争や評価され続ける現代のSNS社会と重なる「現代的」なテーマを持っていると語った。

最後に守鍬は、本作には怪物や幽霊が登場しないものの、キング作品の中でトップクラスに不気味で後味が悪いと評価。「キングという作家の原点を見てみたいという人には、かなり面白い一本になる」と述べ、ファン必見の作品であると締めくくった。