《W杯に登場》フォロワー1億人・BLACKPINKリサ(29)とは何者? 世界が注目する“納得の理由”「14歳で韓国へ」「毎日12時間の過酷レッスン…」〉から続く

 サッカーワールドカップ、米ロサンゼルスでの開幕式でパフォーマンスを披露した、BLACKPINKのLISA(リサ)。インスタグラムのフォロワー数は1億を超え、アジア人女性の中で世界トップだ。昨年はMVで俳優・坂口健太郎と共演したことが日本でも話題に。ルイ・ヴィトンやブルガリ、資生堂など世界的ブランドのアンバサダーも務めるなど、彼女が支持を集める理由とは?(寄稿:K-POPゆりこ/全2回の2回目)

【画像】BLAKPINKリサ、日本でも話題になった坂口健太郎との“密着ショット”


BLACKPINKのLISA(2025年2月、ドラマ「ホワイト・ロータス」シーズン3のプレミア上映会で) ©AFP=時事

 リサは今や「東南アジアを代表する有名人」であり、母国タイにとっては国家規模の経済と文化を動かすスーパースターである。

タイで目にする広告の多さ

 本名はラリサ・マノバン。タイの東北地方ブリーラムに生まれ、首都バンコクで育った。

 母国における彼女の広告露出量は圧倒的だ。外資系ブランドだけでなく、タイ発のプレミアム・オーラルケアブランド「DENTISETE(デンティス)」のアンバサダーをアンバサダーを複数年にわたって務め、大手携帯通信会社のCMにも出演。都心の巨大デジタルサイネージから地方の店頭パッケージにいたるまで、リサの“微笑み”はタイの日常生活のあらゆる場所に深く根付いている。

 筆者もバンコクへ旅行に行った際、様々な場所でリサの顔に出会った。もちろん、ソウルの街でもBLACKPINKの広告を見かけることはあるが、それ以上の頻度だったのではないかと記憶している。

非・特権階級の出身

 海外の報道やYGエンターテインメント*(YG)の運営サイト「YG LIFE」によると、彼女がタイで熱狂的に支持される理由の一つに「非・特権階級の出身」という点もあるという。
*BLACKPINKを擁する芸能事務所

 タイにおいて法律上の身分制度は100年近く前に廃止されているものの、“ハイソ(ハイソサエティ)”と呼ばれる特権的な上流階級と一般市民との格差はいまだに根深い。したがって経済界、芸能界には“ハイソ”出身者が少なくない。

 リサ自身は著名なスイス人シェフの継父のもとで育ち、比較的裕福な少女時代を過ごしたといわれている。しかし代々の人脈が重視される階級社会において、自らの「実力」だけで世界の頂点へ登り詰めた彼女のサクセスストーリーは、一般市民にとって「誇り」であり「希望」なのではないだろうか。

タイ人としてのアイデンティティ

 さらに特筆すべきは、彼女自身がこの母国での影響力を「ビジネスとしてのブランディング」として消費するのではなく、母国の文化を自らの「アイデンティティ」として深く愛している点だ。ソロデビュー作「LALISA」では本名をタイトルに掲げ、自らプロデューサーに掛け合ってタイ風のサウンドを導入。MVでも伝統衣装やダンスを積極的に取り入れた。

 インタビューでおすすめの場所を聞かれれば、華やかな観光地ではなく「私の故郷、ブリーラム。あそこの立ち食いミートボールは本当に美味しい」と楽しげに語る。自身のルーツへの愛と誇りを忘れない姿勢が、さらなる母国のファンを生んでいる。

 そのリサの想いに応えるように、2026年にタイ国政府観光庁(TAT)が「Amazing Thailand Ambassador(アメージング・タイランド・アンバサダー)」に任命。国家を挙げた“観光大使”としての活動がスタートしている。

「プライベートでの自分は…」

 これほどまでに巨大な富、名声、影響力を手にすれば、人は誰しも自己を見失ってしまいがちだ。しかしリサの魅力は、商業主義の渦中に身を置きながらも、等身大の人間味を保ち続けている点にある。

〈「プライベートでの自分は、他の人と何も変わらない普通の人間です。予定がない日は、大抵遅くまで寝て、散歩に行き、デリバリーでご飯を頼みます。同年代の人たちと同じように、日々の小さな瞬間の幸せを楽しんでいます」〉

 そして、かつての自分と同じように、異国の地で孤独に奮闘する若い世代へ向ける視線も温かい。同じくタイ出身の後輩アーティストが、プレッシャーから涙を流したときも、リサは自らが経験した厳しさをぶつけることなく、寄り添い「練習し続けよう!」と力強く励ましたという。

リサが語っていた“美学”

 彼女が残した言葉の中で、筆者の胸を打った美学がある。ドキュメンタリー映画『BLACKPINK〜ライトアップ・ザ・スカイ〜』(2020年)の中で、彼女は未来についてこう語っていた。

〈「この先、若い世代に取って代わられても構わない。覚えていてくれたら」〉

 音楽シーンの流れは恐るべき速さで移り変わり、続々と新しいスターが誕生する。その自然の摂理を受け入れつつ、「覚えていてくれたら」と微笑む彼女の姿には、“一過性の人気アイドル”を超えた、アーティストとしての気高さを感じた。

 華やかなイメージと、泰然自若としたキャラクターのギャップに、人は惹かれるのかもしれない。時折メディアが報じる断片的なスキャンダルやゴシップ的な視点がいかに“ちっぽけ”なものであるか、彼女の歩みと姿勢を知れば知るほど痛感させられる。

 ワールドカップという世界中が熱狂し、注目する大舞台。しかしリサは誰よりもストイックに磨き上げた圧倒的なパフォーマンスで、そのピッチをまたたく間に自分のステージへと変えた。それは、リサが名実ともに世界の音楽シーンを牽引するグローバルスターであることを改めて証明してみせた瞬間だった。

(K-POPゆりこ)