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ハードな走りにも慣れた様子

次に、広大なテストコースを横切り、ハンドリングとラックへ向かう。そこは、アルピーヌがルノー・グループの高性能車ブランドとなる何年も前に、ルノー・スポールの試乗やデモンストレーションでかすかに筆者の記憶に残っている場所だ。そこで、ルノー・スポール復活の噂について恒例の質問を投げかけてみると、飾り気のない否定的な答えが返ってきた。

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「ルノーは数年前にそこから手を引くことを決めました。その方針を変えるつもりはありません」


ルノー5ターボ3Eのプロトタイプとフランソワ・プロヴォストCEO(中央)、筆者(右)    AUTOCAR

さて、プロヴォスト氏はここで、ルノー・グループと競合車の比較・評価を6回ほど行う。まず、彼はルノーのテストドライバーの1人と共に、超高性能な青いルノー『5ターボ3E』のプロトタイプに乗り込む。最初のコーナーで激しく振り回されるのを目撃していただけに、そこから降りてきた時の彼の落ち着きには驚かされた。

次に彼が乗り込んだのはヒョンデ・アイオニック5 N。こちらはもっと大型で比較対象とは言い難いが、スポーティなEVとしては最も近い存在である。彼は、内燃機関のスポーティなエンジン音を再現している点に感心し、ターボ3Eでも同様の取り組みを検討すべきかと考える。誰かがそれをメモに書き留める。

ステアバイワイヤをレクサスと比較

次はステアバイワイヤ技術の評価だ。ラファールに実験的に搭載されたシステムで、プロヴォスト氏はこれをEVのレクサスRZと比較して試す。ラファールでは少し操作に慣れが必要だった。彼が望むほどの重厚感はないが、ステアリングのブレが少ないことや、狭い場所での機敏な動きは彼の関心を引いた。

プロヴォスト氏は、特に小型車におけるステアバイワイヤの費用対効果について議論を主導するが、それでもいずれ普及するだろうという意見には同意を示す。同席しているのは、ルノー・グループのエンジニアリング責任者であり、明らかにステアバイワイヤの熱心な支持者であるフィリップ・ブリュネ氏だ。


ルノー・トラフィックEテック    ルノー

ブリュネ氏は、一度慣れれば従来のシステムが「扱いにくい」と感じるようになる、と指摘する。そして、量産仕様まで開発が進んだレクサスでのプロヴォスト氏自身の体験が、その主張を裏付ける。このセッションの価値は明らかだ。今後、バイワイヤのコストが議論される場において、CEOはメリットを明確に実感できるだろう。

テストは続く。わたし達はルノーの新型商用EV『トラフィックEテック』を、同セグメントで好調な販売実績を誇るフォードEトランジット・カスタムと比較試乗した。まったく新しい車両と、古くから定評のあるライバルとの乗り比べだ。

両車とも、現代のバンで求められる乗用車のような運転のしやすさという点では共通している。しかし、ルノーが1世代先を行っているという事実は、すぐに明らかになる。

曖昧な合意形成は許さない

さて、昼食の時間だ。コース横のミーティングルームで出される、フランス流のサンドイッチをいただく。上質なフィンガーフードが振る舞われ、会話を楽しみつつ消化にも配慮した十分な時間が設けられている。プロヴォスト氏は、現在の過渡期における自動車業界の、あまり注目されない諸問題について語る(「今の時代、ブルーカラーの人材を見つけるのは難しい」とのこと)。

続いて彼は、CEOとしての意思決定の難しさについて語った。


ルノー・トゥインゴ

「決断すること自体に難しさはありません。とはいえ、最初の考えとは異なる決断を下すこともあります。わたしは合意形成を重視しますが、曖昧な合意は決して許しません。社員には『自分のクルマの方が優れている。その理由は明確だ』と言ってもらいたいのです」

再び移動する。まずは最近発売されたルノー『トゥインゴ』を視察し、続いて『スプリング』の後継となるダチアの新型車をプレビューした。トゥインゴの洗練された魅力を損なうことなく、見栄えが良く、完全にダチアらしい仕上がりになっていることに感心した。現時点では詳細を明かせないが、ダチアらしいギミックが盛り込まれている点も印象的だった。

温厚で親しみやすい大企業のCEO

次に、韓国で販売されている大型クロスオーバーのルノー『フィランテ』と、堂々とした佇まいのヒョンデ・サンタフェで比較試乗を行う。フィランテの後部座席が驚くほど広々としていること、サンタフェのインテリアにはあまり感銘を受けなかったこと以外、特に目新しい発見はなかった。

最後に、2台のMG車を取り上げる。MG ZSハイブリッドはあらゆる面で優秀だが、ダチア・ビッグスターほどの魅力には程遠いという点で意見が一致する。一方、MG HSプラグインハイブリッドについては、プロヴォスト氏は「大きな脅威」と評した。


ルノー・フィランテ    ルノー

実用的で手頃な価格であるだけでなく、ルノーが常に得意としてきたような、エモーショナルな魅力を備えているからだ。ルノー・グループの主要エンジニアの1人であるヴィットリオ・ダリエンツォ氏は、『シンビオズ』と『オーストラル』との比較調査を任されている。

気がつけば午後3時だ。プロヴォスト氏は明るく親しみやすい挨拶で別れを告げた。彼はパリのオフィスへ直行し、仕事を続ける。彼は賢明で、一緒にいて楽しい相手だった。そんな多国籍企業のCEOが、いったい何人いるだろうか?

彼が電話で威圧的に怒鳴ったり、社内の火消しに奔走したりする場面は一度もなかった。学び、指導し、決断するためにここに来ており、筆者は力強い印象を受けた。彼はまさにこの仕事にふさわしい人物のようだ。

取材したのはこんな場所でした

現地に到着する前、筆者は多くの人からこう言い聞かされていた。プロヴォスト氏と一日の大半を過ごす予定だった極秘のオーブヴォワ試験場は、少なくともフランス人の感覚では「辺鄙な場所」にあると。

オーストラリアの田舎出身の筆者にとっては、少し大げさに思えた。というのも、そこは美しいノルマンディーの農地に囲まれ、四方を森に抱かれた600万平方メートルの広大な土地だからだ。ただ、オーブヴォワは確かに辺鄙な場所にある。近くの町ガイヨンからルノー・テクニカルセンターへと続く細い田舎道は、他のどこにも繋がっていない一本道だからだ。


フランス北部ノルマンディーにあるオーブヴォワの試験場

しかし、いざ到着すると、活気に満ちていることが一目瞭然だ。駐車場を見れば、数百人が働く職場であることがわかる。彼らは皆、市場に出る前に、ルノー・グループの全モデルの開発、テスト、量産化の承認を得るという重責を担っている。

数十のワークショップやオフィスがあり、多くの連絡路が張り巡らされ、あらゆる種類の路面を備えた約60kmのテストコースもある。43のテストセル、18の腐食試験センター、さらには2つの風洞さえ備えている。

ここぞまさにルノーの真の心臓部と言えるだろう。開設から46年にわたり磨き上げられてきた、ここで働く人々の誇りと情熱が、肌で感じられる。トップとの初対面に、これ以上の場所があるだろうか?