還付金詐欺、ニセ警察、ロマンス詐欺…85歳の母が4度も騙されて600万円被害。それでも「350万円」を取り戻せた理由
◆還付金詐欺からロマンス詐欺まで母が次々と詐欺師の餌食に
ある会合で記者が知り合ったのは、関東地方に住む、佐藤直子さん(仮名・49歳)。聞けば、詐欺被害で600万円以上詐取されたという。
高齢の親を持つSPA!世代にとって、他人事ではない。40〜50代の子世代にとって、佐藤さんの経験が教訓になるのではないか。そう考えたSPA!は、彼女に取材を依頼。「私の経験が今後の被害防止に役立つなら」と快諾してくれた。
◆還付金詐欺に遭って450万円失った
「母は現在、85歳です。最初の被害は2年前、いわゆる還付金詐欺でした。役所の職員を名乗る男から電話があり、暗証番号を聞き出されたのです。電話が繋がっている最中に“担当者”が自宅を訪ねてきて、母は銀行カード3枚すべてを渡してしまいました。直後、焦った母から『詐欺だったかも』と連絡が入ったんです」
佐藤さんはすぐに110番通報し、母の家へ警察官を呼んだ。事情聴取を受ける傍ら、口座を停止するために奔走したが、最初の壁にぶつかる。
「支店の電話が混み合ってまったく繋がらないんです。焦る私に、警察官は『ATMで記帳して残高を確認してほしい』と言いました。慌てて向かいましたが、すでに遅かった。お金が抜かれた後でした」
しかし、ATMに設置されている受話器から連絡すると、口座を止めることができた。わずか1時間ほどの間に、1日の引き出し・振込限度額の合計450万円が奪われた。
だが、悪夢はこれで終わらない。わずか3か月後、2回目の事件が起きた。
今度の犯人は「居住地の管轄警察署」を名乗って、母に接触してきたと言う。
「『あなたの口座が犯罪に使われている』という有名なやつでした。一度、詐欺に騙されたので、リストが裏で回っていたんでしょうね。母は自宅に来たニセ警察官に通帳とカードを渡してしまったんです。新設した口座を含め2口座から120万円が奪われました。ただ、この時も直後に私に連絡があったので、スピーディな対応が取れました」
最初の詐欺に遭った後、佐藤さんは母の口座の引き出し限度額を10万円に設定したが、振込限度額は50万円にしていた。そのため、前回より被害額は少なかったものの、100万円以上も騙し取られてしまった。
「この時は、自動録音機能付きの電話機にしていて、門扉にも防犯カメラを設置していたので、この映像が証拠となり、約半年後、犯人グループは逮捕されました。警察官から『玄関の内側にも防犯カメラを設置しておくと、さらにいい』と言われました」
不幸中の幸いだったのは、この2回の詐欺被害では、いずれも事件発生から2〜3時間程度という短時間で金融機関に連絡ができたため「被害回復分配金制度」が適用されたことだ。
同制度は「振り込め詐欺救済法」に基づき、被害者がお金を取り戻すことができる仕組みだ。犯罪者の口座にお金が残っていれば、金融機関を通じて、犯罪被害金の返還を受けることができる。
「まず、警察の被害届の受理番号をメモして金融機関に行き、申請書を提出します。認知症のある母に説明して、本人に書類を書かせるのは骨が折れました。本来は暗証番号を自ら犯人に教えてしまうと制度を利用できないそうなのですが、初回は銀行側にも不手際があったので、特例的に認められました。2回目は新しく作った地銀の口座で、こちらはスムーズにいきました。結果として、奪われた570万円のうち、約350万円を取り戻すことができました」
