破竹の8連勝でJ2首位。水戸の躍進に加入内定の立教大MF嵯峨康太も刺激「僕があのチームの中に入ったら…」
イギリス人の父と日本人の母を持つ嵯峨は、屈強なフィジカルと精度抜群の左足のキックが持ち味。インテリジェンスにあふれ、戦況を見ながら自分の立ち位置を細かく修正し、シンプルにプレーするところと時間を作るところなど、的確な状況判断を駆使して攻撃のリズムを作っていくプレーメーカーであることも特長だ。
会話をしていても頭脳明晰なことが分かる。横浜F・マリノスプライマリーから三菱養和SC巣鴨ジュニアユース、ユースでキャリアを歩んでいくなか、父親とは英語メインで会話しており、その英語力を活かして高校は自宅から近い川崎市立橘高校の国際科に進学。語学力と国際感覚も磨いていった。
大学は文武両道を継続しながら、大卒プロになるために「環境が良かったし、スタッフや先輩をはじめ、この人たちの中で過ごしたら人としても成長できると思いました」と立教大に進学する。
1年生からメキメキと頭角を現すと、ちょうど1年前のアミノバイタルカップで嵯峨は大きく躍動した。中盤の底でスペースを埋める動きと攻撃の中継となるプレーで、エースストライカーの庄司朗(栃木)をはじめとしたアタッカー陣を活性化させると、ラウンド32で1部の桐蔭横浜大を撃破。続くラウンド16で1部の東京国際大に惜敗したが、この時のパフォーマンスが水戸のスカウトの目に留まり、大会後に練習参加。そこでもハイパフォーマンスを見せたことで、獲得オファーが届いた。
「まだ3年生だったので(正式オファーは)驚きましたし、本当にありがたいお話だなと思いました。じっくりと考える選択肢もありましたが、水戸の西村(卓朗)GMから直々に選手としての評価や育成プラン、クラブのビジョンなどを熱く語っていただいて心に響きました。それに僕は自分の進路のためにサッカーをすることを求めていなかったので、進路を早く決めたうえで、1人の人間として自分が成長するための時間をより多く取りたいと思ったので決めました」
「人生を変えた大会」(嵯峨)となったアミノバイタルカップから1年。結果は昨年を超えることはできなかったが、1年前と比べて着実に成長を遂げていることは間違いない。
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それは彼自身だけではなく、水戸も同じで、現在クラブ史上初となる破竹の8連勝でJ2の首位に立っている。そのことに話を向けると、嵯峨はシーズン前からこの躍進をある程度、予想していたという。
「今年のキャンプを含めて、水戸の練習に参加して感じたのは、チームとして落とし込もうとしていること、練習の質が非常に高いということでした。森直樹監督は相手によってサッカーを変化させる柔軟性を持ちつつも、チームとしての基準の部分は絶対にぶらさないという強い意志を感じました。
だからこそ、こうして今のサッカーの内容や結果を見ても、『やっぱりトップクラスの練習なんだ』と実感しています。もちろん僕は去年在籍していたわけではないので、あくまで練習参加の感触や試合を見た時の感想になってしまうのですが、今は相手の変化にきちんと対応しながら、『自分たちはこれをやれば間違いない』という自信を着実に積み上げてきている印象です」
当然、チームが好調ということは、自分が置かれる競争のレベルも上がり、より厳しいポジション争いが待っていることを示す。
「もちろん、それは覚悟しています。僕があのチームの中に入ったら、監督や周りから求められていることをきちんとやったうえで、自分のところで1つ時間を作ることや、オープンな展開になりがちなのを自分が起点となってチャンスを作ることなど、自分の持ち味を発揮するイメージを常に持ちながら水戸の試合を見たり、立教大での日々の練習に打ち込んだりしています」
戦術的柔軟性、思考的柔軟性を持ちながらも、自分がやるべきことをぶらさない。自分の信念と水戸のチームコンセプトを共鳴させている嵯峨康太は、これからもよりそのインテリジェンスを磨き上げ、立教大にとっても、水戸にとっても重要な存在になっていくだろう。
取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)
