記事のポイント
セフォラはNIQとの提携で、米加市場の消費者行動をより深く把握しようとしている。
提携により、マス・ドラッグストア・新興チャネルを含むベンチマークが可能となり、戦略最適化が進む。
美容業界は成長中だが、消費者心理の変化や新規参入に対応する柔軟な戦略が求められている。


LVMH傘下の大手小売店であるセフォラ(Sephora)は、すでにビューティーアイテムを購入する何百万人もの顧客を綿密に分析している。しかし同社は、2025年6月に発表されたニールセンIQ(NielsenIQ、NIQ)との新たなデータ共有パートナーシップによって、美容分野の消費者に関するインサイトをさらに深めることになった。

「このパートナーシップにより、美容分野の測定の精度と深度をさらに高めることができる」と、NIQの美容・医薬品・OTC担当シニアバイスプレジデントであるジャクリーン・フラム・ストークス氏は述べた。

「いうまでもなく、セフォラはファーストパーティデータの収集に非常に長けており、消費者への理解も深い。今回の提携を通じて、セフォラは美容トレンドが小売業界全体にどう広がっているかについて、より多くの情報を得られるようになる」。

米加市場を対象としたデータ共有の仕組み



インサイトは米国とカナダの美容市場を対象としており、両社は互いのデータを共有する。セフォラはNIQのデータを受け取り、NIQはセフォラのデータを週次レポートの形式で受け取る。NIQはこれらのデータを集約し、美容市場に関する包括的な分析を作成してクライアントに提供する。

フラム・ストークス氏によれば、この提携は消費者インテリジェンス企業であるNIQにとって、美容市場の理解をさらに深めるための重要な一歩であるという。

フラム・ストークス氏は「数年前、NIQは美容分野、特にプレミアムビューティー分野への注力を決定した」と語る。

「市場カバレッジを広げるだけでなく、セフォラのようなプレミアムビューティー小売企業に価値を提供すべく、業界全体と継続的に対話を重ねてきた」。

激化する市場と変化する消費者行動



美容小売業界は、ここ数年でますます複雑化し、競争も一層激しさを増している。マスマーケットでは、アルタビューティー(Ulta Beauty)が第1四半期の好調を受けて、2025年の通期見通しを上方修正した。

プレステージマーケットでは、カサンドラ・グレー氏が9月にファーフェッチ(Farfetch)から買い戻したラグジュアリー小売店のバイオレットグレー(Violet Grey)の再建に取り組んでいる。

また6月には、D2C小売のクインス(Quince)が、オーガスティナス・バダー(Augustinus Bader)やアイリーン・フォルテ(Irene Forte)といったブランドが参加する美容マーケットプレイスの立ち上げを発表した。

「高級ビューティーアイテムを限られた小売店で購入する時代は終わった。いまの消費者は、マスチャネル、ドラッグストア、プレミアムチャネル、そしてオルタナティブチャネルを自由に行き来しながら買い物をしている」と、フラム・ストークス氏は語る。

市場の成長と回復力、そして今後の課題



「今回のパートナーシップを通じて、セフォラは美容市場全体のベンチマークを取得できるようになる。マス、ドラッグストア、専門店、オンライン、さらにはTikTokショップのような新興チャネルまで、あらゆる領域が含まれる。これにより、商品構成やマーケティング戦略、ブランド提携、さらにはセフォラブランドによる自社商品の開発に至るまで、より情報に基づいた意思決定が可能になる」。

美容業界は全体として着実な成長を続けており、特にフレグランスなどのカテゴリーは堅調だ。しかし、決して盤石というわけではない。

フラム・ストークス氏は、食品スーパーのトレーダー・ジョーズ(Trader Joe's)のように、美容領域への参入を進める異業種の小売業者がプライベートブランドの強化に乗り出している状況に言及し、プレミアム製品の利用者が価格の安い製品にどのように移行するかに注目しているという。

「ここ数カ月で、消費者心理は歴史的な低水準にまで落ち込んでいる。それゆえに、どの程度の価格帯まで消費者が乗り換える可能性があるのか、それが美容カテゴリや製品セグメントにどんな影響を及ぼすかに注目している」と同氏は語る。

「美容業界は必ずしも完全に回復力があるとはいえないが、ほかのカテゴリーと比べれば格段に強い回復力を備えている。消費者は気分によって購入を決めることが多く、リピートや補充といった購買も活発であるため、業界全体が魅力的であり、NIQのソリューションとの親和性も非常に高い」。

[原文:Beauty & Wellness Briefing: Sephora is about to have a lot more insight into customer data]

Emily Jensen(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:藏西隆介)