記事のポイントSTORESは店舗向けITサービスをパッケージ化し、月額0円〜の新料金プランで提供することを発表した。新プランはコスト削減と導入のしやすさで店舗のDXを後押しするのが狙い。現在の厳しい経営環境に対し、情熱ある事業者の挑戦を支援したいと同社の佐藤裕介社長は話す。
小売・飲食・サービス業を中心とした実店舗向けにプロダクトを提供するSTORESは3月27日、東京・恵比寿の本社で新たな料金プランの発表会を開催した。これまでネットショップ、キャッシュレス決済、POSレジなどを個別契約で提供していた同社だが、新プランではそれらをパッケージ化し、一括で導入できるようにした。店舗のDXを考えるうえで、「どのITサービスを導入すべきか分からない」といった悩みを解消するのが狙いだが、最大の特徴は、月額コストを大幅に抑えられる点にある。新たに用意されたのは、月額0円で始められる「フリープラン」(クレジットカード決済手数料2.48%)と、月額3300円でより低手数料を実現する「スタンダードプラン」(同1.98%)の2つだ。現在、個別にサービスを契約している既存ユーザーにもパッケージ契約への移行を推奨する予定で、代表取締役社長の佐藤裕介氏は、「厳しい市場環境が続くからこそ、できる限り当社のサービスの便益を享受してほしい」と述べる。また、「我々は中小企業に特化したプロダクトを提供する会社として、月額料金についても圧倒的な安さを追求した」と話す。他社プランの多くが月額2〜3万円程度であることを踏まえ、競争力のある価格設定となっている。

画像提供=STORES

店舗経営のハードルは依然として高い

店舗運営を取り巻く現状は、いっそう厳しさを増している。東京商工リサーチの調査によると、2024年の休廃業や倒産件数は年間6万件に達し、2020年のコロナ禍を上回っている。加えて、店じまい時の黒字率は最低を記録し、赤字率も過去最悪を記録した。「本来、廃業する際は『継承先がない』などの理由で黒字でクローズしていくのがシェアとしては高かった。ただ、昨今のデータを見る限り、中小事業者の経営環境はコロナ禍を経ても厳しい状況であるのは間違いない」と佐藤社長は現状を分析する。人手不足、売上減少、消費者行動の変化――こうした課題が複雑に絡み合い、店舗オーナーの負担は増すばかりだ。オンラインシフト、人件費や原価の高騰、そして集客の難しさも、重くのしかかる。

情熱を生み出すのはテクノロジーではなく、人の力

佐藤社長はこうした状況を鑑み、「積極的な投資で勝負の年としたい」と述べたうえで、次のように訴えた。「事業を運営・管理するという領域は、テクノロジーの力を使って5〜10年のうちに一定程度、誰でも対応できる領域になっていく。ただ、事業をスタートする気持ちや生活者に何かを提供したいという情熱はテクノロジーではなく、人間が生み出すもの。そうした情熱を店舗運営のスキルによって維持できない、成長できないといった状況を、我々のプロダクトで回避したい」。「STORESの提供するITサービスのなかで、現状の市場の状況に対してとりわけ注目すべきものは何か?」というDigiday Japanの問いに対し、佐藤社長は「決済サービス」を名指しし、「実店舗の決済の部分は現在変動が大きい。新プランではクレジットカード手数料をデフォルト3.24%から1.98%まで引き下げた。これまで手数料の高さがネックになっていた事業者にも、導入のハードルを下げることができるはず」と述べた。文・写真/島田涼平