問題となった動画。吉野容疑者は、容疑をおおむね認める一方で、「注ぎ口に直接、口は当たっていない」と供述しているという

 大手回転寿司チェーン「くら寿司 名古屋栄店」で、レーン上に流れる寿司を手で掴み、醤油差しをじかに口につける様子を撮影、SNSに投稿したとして、威力業務妨害容疑で3月8日に逮捕された吉野凌雅(りょうが)容疑者。彼のほかに、未成年の女子を含む2人が逮捕された。

「2023年になって相次ぐ“迷惑動画投稿”で、初の逮捕者が出ました。事件があったのは2月3日。動画で迷惑行為を把握した『くら寿司』は、悪質な営業妨害だとして、翌日に被害届を提出しました。事件化したことで慌てたのか、吉野容疑者らは9日に新たな動画を投稿。『寿司を乱暴に扱ってすみません』などと頭を下げていました」(社会部記者)

 吉野容疑者は、少年少女のたまり場となっている、新宿「トー横」や名古屋「ドン横」、大阪「グリ下」を行き来していたという。2022年7月ごろ、トー横で吉野容疑者と知り合ったという少年は、本誌取材にこう語っている。

「『トー横の王』と呼ばれた、ハウルさんの名前を聞きつけて歌舞伎町に来た、よくいるトー横キッズのひとりで、正直、存在感はぜんぜんありませんでした。よく『ヒモになりたい』と話していましたね。『複数の女の子とつき合って、援助交際をしてもらい、そのカネで暮らすのが夢だ』と」

 さらに、吉野容疑者は一発逆転を狙い、“迷惑系YouTuber”としてSNSで名を広めて金を稼ごうとしていたと、知人の少年が明かしている。逮捕の原因となったくら寿司での動画も、その活動の一環だったようだ。3月14日の「NEWSポストセブン」では、今回の動画について、親しい友人には「へずまと違ってお金も払っているし、しょうゆ差しも直接口にしていない」と、法的には問題ないと話していたと報じられた。

 SNSでは、吉野容疑者の身勝手な論理に、怒りの声が続出している。

《その場しのぎの言い訳に過ぎない。きちっと裁きを受けるべき。》

《直接口にしているかどうか、金を払ってるとかで罪にならないと思っているならただのバカでしょ》

《こんな理屈が罷り通ると云う頭が何にも置いて度し難い。そして、本人は悪いことをしたとは思っていない。》

「吉野容疑者の動画が投稿されたのは、回転寿司チェーン店『スシロー』で、男子高校生が醤油の差し口や未使用の湯呑みを舐め回す動画が拡散された後のことです。話題の動画に便乗した程度の気持ちだったのでしょうが、店舗側はクレーム電話の対応に追われ、清掃作業も発生しています。また全店でAIカメラを導入するなど、多大なコストが発生することになりました」(前出・社会部記者)

 くら寿司側は《今回の逮捕をきっかけに、こうした、お客さまとの信頼関係に基づく仕組みを、根底から揺るがす迷惑行為が「犯罪」であるということが、広く世の中に認知され、今後、模倣犯がなくなることを切に願います》と、公式サイトを通じてコメントしている。

 今後、高額な損害賠償請求が待ち受ける可能性も指摘されている。軽い気持ちで投稿した動画が、どのような結果を招くのか、少しでも想像することはできなかったのだろうか。