すべての車両を撮影して警察の手配車両リストと照会している

 Nシステムというのは、高速道路や国道、幹線道路、その他に設置されている警察の監視カメラのこと。Nシステムというのは通称で、このカメラの下を通過するクルマのフロントナンバープレートを自動で無差別に撮影記録する「自動車ナンバー自動読取装置」というのがその正体だ。

 撮影されたデータは、ホストコンピュータに送られ、警察の手配車両リストと自動的に照会する仕組み。手配車両の追跡や、盗難車のチェック、車検切れ車の摘発など、逃走中の容疑者を速やかに検挙したりするための犯罪捜査、事件解決を目的として1987年から導入されている。

 警察庁が約1500カ所、都道府県が約200カ所設置していて、全国ではおよそ1700のNシステムがそこを通過するクルマに対し、目を光らせている。

 自動速度取締装置、いわゆる「オービス」に似ているが、オービスは制限速度を超過しているクルマしか撮影しないのに対し、Nシステムは走行しているすべての車両を撮影するという違いがある。

速度違反は取り締まらないが注意は必要

 しかも、ナンバープレートだけではなく、ボディ形状、カラー、運転者や同乗者まで撮影されていて、逃走中の容疑者や犯罪に使われたクルマの照合、盗難車の発見などには効果的だが、すべてのクルマを撮影するため、プライバシーの侵害という問題も……。

 ただし、Nシステムで撮影されたデータをもとに、速度違反が問われることはないので、他に法を犯している人以外は、カメラがあることを気にする必要はない。

 ちなみにオービスはカメラの手前に予告看板等があるが、Nシステムには予告はない。

 また速度違反の検挙には使われないことになっているNシステムだが、Nシステムの下を法定速度以上のスピードで元気よく駆け抜けていくと、その先に白バイやパトカーが待機している場合もあるので油断は禁物(Nシステムのモニターを見ている人は、必ずいるはず)。

 すでに2017年の「東名あおり運転事故」などの重大事件の犯人検挙に、Nシステムが役立ったという実績はたくさんあるが、いつもどこかで監視カメラで見張られている社会になっているのもひとつの事実で、ある種の安心と引き換えに、やましいことがなくてもカメラで撮影されるのはなんだかいい気がしないのだが……。

 おそらく今後ますますこうしたシステムは増えていくだろうが、ドライバーとしては、カメラの有無にかかわらず、ルールとマナーを守って、安全運転で走り続けることが肝心だ。