ZenFone 6がフリップカメラで獲得した3つのメリットとオリジナリティとは?

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「ZenFone 6」は、ASUS JAPANが発売したSIMフリースマートフォン「ZenFone」シリーズの最新モデルである。

スペックから2019年夏モデルのハイエンドに分類される。
CPU(チップセット)は、
ゲームに最適なパフォーマンスを発揮するQualcomm Snapdragon 855を採用。
RAM(メインメモリー)は、6GBと8GBを搭載。
内蔵ストレージは、大容量な128GBと256GBを搭載。

なお、ASUS 30周年を記念した「ZenFone 6 Edition 30」モデルも発売となった。
こちらはRAMが12GB、内蔵ストレージが512GBとスペック的にはパソコンレベルで、まさに記念モデルと言える製品である。

前モデルのZenFone 5は、
「AIカメラ」や「オールスクリーンディスプレイ」をコンセプトとし、ミドルクラスからハイエンドまで取りそろえることでコストパフォーマンスの高さと価値を提供することで、ニーズに応える製品群であった。


しかしながら、製品訴求のポイントでもある“全画面化”をするにあたって、画面上部に大きな切り欠きがある“ノッチ付きディスプレイ”を採用することとなり、良くも悪くも他社製品との差別化を十分にはかることができなかったという印象だ。

最新のZenFone 6では、
カメラ機能やオールスクリーンディスプレイのコンセプトはZenFone 5から継承しつつ、“ノッチなしディスプレイ”にするために独自のアイデアを盛り込んだ進化型である。

そもそも、
なぜスマートフォンは大画面化するのか?
なぜノッチが必要なのか?
・大画面化することで文字の読みやすくなる。
・地図などの情報も見やすくなる。
・動画やゲームなどリッチなコンテンツにおいて大画面によって没入感が増す。
このような利用者にとってダイレクトに体感できるメリットがあるからだ。

ところが、
大画面化すれば片手では持ちにくくなる
7インチを超えると、もうスマートフォンではなくタブレットの分類
こうした常に持ち歩き、使うハンドヘルドな機器としての存在意味を揺るがす状況を生み出している。

そこで、横幅70〜80mmと、
片手でも持ちやすいサイズに収まる大画面化ということを模索してきた。

一つは、
画面両サイドのベゼル部分を細くする狭額縁化により画面のサイズアップ。

もう一つは、
画面縦横比16:9の横幅を変えず、18:9など縦方向を引き延ばすことで大画面化する。

こうした大画面化の究極形がいわゆる「全画面化」である。

ただこの全画面化でも問題が発生する。それが


・指紋センサー
・インカメラ
・近接センサー
・スピーカー
これら重要なパーツの配置だ。

指紋センサーは前面から背面に移動させることで解決することは可能だ。
その後、前面から背面に追いやられた指紋センサーは、後にデバイスの進化によって画面内指紋センサー搭載スマートフォンにおいて、前面に復活を果たしている。

しかしスマートフォンの用途において自撮りなどに使われる重要なインカメラは、その場所から動かすことはできないため、ディスプレイデバイスの進化でそれを避けるように「切り欠き」を入れることで対応した。
「切り欠き」部分には、前述したインカメラのほかに、通話時に顔が近付いたことを検知する近接センサーやスピーカーがあるのだが、この中の近接センサーとスピーカーは小型化することで、上部ベゼルに配置可能となった。

そして残ったインカメラは、
・インカメラのユニットの小型化で切り欠きを小型化する
・画面の端に丸い穴をあけたようなピンホール型ノッチ
これらに収束しつつある。

ところがこれで解決とならず、開発を終わらせないのが技術者のすごいところだ。



ノッチをなくす一つの方法として、ASUSが考えたのが背面にあるアウトカメラを180度動かしてインカメラにするというアイデアとアプローチだ。見方を変えれば、前面にあったインカメラを背面に動かしたとも言える。
ASUSは、これを「フリップカメラ」と呼んでいる。


フリップカメラを搭載したZenFone 6には、
前面にインカメラがなく、切り欠きがないオールスクリーンディスプレイを実現した。

こうしてZenFone 6は、3つのメリットを生み出した。
1つめのメリット


アウトカメラとインカメラが“同じ”画質で撮影できる。
通常、アウトカメラには高画素イメージセンサーや、大きなイメージセンサー、F値が小さい明るいレンズ、光学式手ブレ補正を搭載した高性能なものを採用する。
一方、インカメラには500〜800万画素程度のイメージセンサーやF値が少し暗いレンズなど、アウトカメラより性能が劣るカメラを搭載するモデルが多い。

ZenFone 6はアウトカメラがそのままインカメラになることで、アウトとインカメラどちらでも同じ高画質で全ての静止画の撮影機能が使えるだけではなく、同じ条件での動画撮影も可能となったのである。

2つ目のメリット


背面のアウトカメラが前面に起き上がる動作を一つの機能としたことである。
インカメラの切り替えボタンを押せば、自動でカメラが起き上がってインカメラとして機能する。
実は、この起き上がる動作を、本体側面のボリュームキーの「+」「−」でユーザーが調整できる。
例えば90度起き上がったとところで止ることもできるのだ。
これならスマートフォンの画面を見ながら上空の撮影や、画面を上から見下ろしながら、ローポジションでペットや赤ちゃんの撮影も楽にできる。

さらに、パノラマ撮影ではカメラが自動で180度動き、手動で行うパノラマ撮影よりはるかに繋ぎ目が綺麗なパノラマ写真が楽しめる。スマートフォン単体でこれだけ綺麗なパノラマ写真を撮れるのは、ZenFone 6以外にはないだろう。

3つ目のメリット


ノッチがないこと。
自撮りを全くしないユーザーにとって画面上部の切り欠きは、ただのデメリットであったことは間違いない。インカメラをなくして、オールスクリーンディスプレイにしたことで、こうしたユーザーにとって“気持ち的”なメリットになるわけである。

もちろん、デメリットがないわけではない。
一番懸念されることが、カメラ部分が動くと言うことだ。
可動部分が増えたことによるメカニカルな故障への懸念である。


発表会では約10万回の動作を確認しているとのことで、1日28回の開閉なら5年、仮に1日100回、自撮りをしたとしても2年半以上は正常に動作する計算だ。
ちなみに多くの人が、1日100回も自撮りはしない。
そう思うかも知れないが、ロック解除を顔認証に設定した場合はロック解除のたびにインカメラとして使用される。それを含めれば、妥当な検証での数字である。

いまのところ、カメラの画質を犠牲にして極限までカメラを小型化しノッチをなくすというメーカーはないが、アウトカメラの画質のまま撮影できるというメリットをもつZenFone 6のアプローチはユーザーニーズにマッチしていると感じる。
執筆  mi2_303