筋肉をつけたり維持することは健康の土台です。でも筋肉は使わなければ衰え、鍛えなければもっと衰えます。筋トレの重要性はわかっているけれど続けられないという方でも「たった7秒で良い」と言われれば、やってみる価値はあるのではないでしょうか。「7秒筋トレ」についてご紹介しましょう。

筋力を維持することの重要性

加齢に伴って消費カロリーは落ちていきます。カロリー消費が落ちることで基礎代謝も落ちてきます。若いころと同じ量の食事なのに太るのはこの基礎代謝が落ちるせいなのです。筋力を維持することで基礎代謝を落とさずに維持することができます。つまり食べる量を加齢とともに減らさなくても大丈夫な体づくりです。それだけではありません。代謝が良いということは疲労回復や免疫力も高いということ。筋肉こそ健康の土台と言えるのです。他にも筋肉には以下のような報告があります。

◎運動をしない状態が続くと、筋肉中のミトコンドリア数が減ることが分かっています。ミトコンドリアが衰えると新しい細胞を作り出すことやエネルギーを作り出す力が弱くなり、さらに傷ついた細胞の修復がうまくできなくなったりします。筋力を維持すことはミトコンドリアの数を維持し老化のスピードを抑える効果があると言われています。

◎スウェーデンのカロリンスカ研究所の研究では鍛えられた筋肉にはストレスなどで生じるアミノ酸の一種キヌレニンを解毒する酵素が活性化されることを報告しています。キヌレニンはうつ病などの原因物質とされているものです。運動、筋肉、精神疾患の関係についてはいろいろな報告がありますが、運動することが精神疾患の予防になることは間違いなさそうです。

◎筋力を維持または上げることで、体温を上げ、免疫力・代謝をアップ、骨粗鬆症の予防、心臓病や高血圧の予防、認知症の予防、糖尿病の予防や改善につながることも報告されています。ただし筋肉は使ったり鍛えたりしなければ衰える一方です。

超カンタンな筋力アップの「アイソメトリックス」

「アイソメトリックス」とはストレッチ運動のように筋肉を伸縮させずにその場で力をこめるだけの簡単な運動です。腕相撲をイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。旧西ドイツでマックスプランク研究所のミューラー博士とヘッティンガー博士は「1日に一回6秒間、最大筋力の3分の2の力でアイソメトリックスをすれば筋力は毎週5%ずつ向上する」という実験結果を発表しました。その後、世界中での追試験を経て現在は「1日に一回7秒間、最大筋力の60%の力でアイソメトリックスをすれば毎週4%ずつ筋力は向上する」という定説に落ち着いているようです。

超短時間かつ超簡単な「アイソメトリックス」を取り入れみましょう。

1.腕の筋力アップ。両腕でガッツポーズをつくり7秒間、約6割程度の力を込めます。イメージとしては全力に近い感じでいいです。呼吸は止めずに腕の筋力に集中する感じです。

2.胸の筋力アップ。両手を合わせてお祈りのポーズで、肘を上げ気味にして、両手を6割の力で真ん中に押し合います。これも7秒間、約6割程度の力を込めます。呼吸は止めずに胸の筋力に集中します。

3.腹筋のアップ。腹筋に力を込めて約6割程度の力で7秒間キープ。

4.背中の筋力アップ。両腕を後ろに回して腰の辺りで重ねます。肩甲骨の辺りを意識して7秒間、約6割程度の力を込めます。

5.足の筋力アップ。椅子に座ったまま、両手を交差させて、膝の内側を外に向かって押します。足はそれに逆らうように膝を内側に向けて力を込めます。約6割程度の力で7秒間キープ。

バリエーションは色々ありますが、概ね上のような簡単な運動です。スキマ時間にも簡単に出来るこの運動習慣では2か月ほどでかなりの筋力アップが自覚できるようです。今年は運動不足の人もスポーツジムに通う必要のないこの手軽な運動を取り入れてこっそり筋肉を育ててみましょう。


writer:Masami