「ヒトの尿からも美味しいビールが生まれます」とデンマークのビールメーカー(出典:http://uproxx.com)

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少し前には米サンディエゴのある地ビールメーカーが、長年の干ばつとの闘いの一環として市の支援を受けながら下水を生まれ変わらせペールエールを作っていることを明らかにし、ビール党を驚かせていた。このたびの話題はデンマークのコペンハーゲンから飛びこんできた。ビールはおいしい天然水と清潔な原材料から作られる、そう思っていた方にはショッキングな話題かもしれない。

『ピスナー/ Pisner』と名付けられたそのビール。「ヒトの尿を使ったビールの評判は上々ですよ」と謳い、人々を驚かせているのはコペンハーゲンにある「Norrebro Bryghus」というブリュワリーである。しかしヒトの尿をろ過した黄色い液体がグラスの中で泡立つというものではないので、そこはご安心頂きたい。CEOのHenrik Vangさんは「原材料をすべてオーガニックにとこだわった結果、ヒトの尿を肥料として使用することを決定した」と話している。

大麦の麦芽を入手し、仕込み、発酵、熟成というおなじみのプロセス。その大麦を育てる肥料にヒトの尿を使うというもので、従来のビールは工場生産の肥料を使用し、オーガニックビールを謳うライバルメーカーでも動物性肥料を使用。ここに差をつけたいとしてNorrebro Bryghusは新たなる試みに出た。「ヒトはビールを飲んではトイレに行く。それが有機肥料となってまたビールが作られる。この時代に大きく求められている“リサイクル”の精神にも貢献できるのです」とVangさんは誇らしげだ。

気になるのはビールの醸造に使用した尿の入手先である。Vangさんは「ヨーロッパで最大の音楽フェスの仮設トイレからです」と説明。排泄物を50,000リットル(約13,000ガロン)引き取ったといい、それを大麦畑へ。その結果6万本のビールが作られたそうだ。相当な悪臭でありながらヒトの排泄物は最高の肥料である。そのプロセスを担当する従業員たちの苦労を察し、ありがたく味わってみるのも良さそうだ。

出典:http://uproxx.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)