惨敗に終わった東アジア選手権対韓国戦の翌日、岡田監督が犬飼会長に呼び出されての面談が行われた。中で何があったのかはわからないけど、結局岡田監督の続投が宣言された。
韓国戦が終わってから、メディアとファンによる岡田バッシングが高まりを見せ、呼び出し面談が終わる前までは、解任もあるか、という期待感にも似た空気があったね。ここまでひっ迫した状態になったのは岡田監督就任後初めてだ。
今さら言っても仕方がないが、それにしてもタイミングが遅すぎる。大手メディアは手の平を返したようにバッシングを始め、ファンもブーイングをし出したけれど、これまでの過程の中でもそうすべきタイミングはあった。
なんだか、ここへきて急に僕の仲間が増えた感じだよ。

いずれにしろ、岡田監督の続投は決まった。明らかにドイツW杯時よりレベルが低く、固定メンバーによる結果の出ない試合を繰り返してきたチームではあるが、最高責任者である会長はそう決めたんだ。
ならば、会長にはその責任を取るという態度を見せてもらいたいね。フランスW杯の時を思い出してほしい。故長沼健元サッカー協会会長は、コーチから急遽昇格させた岡田監督をフォローし、W杯後には敗戦の責任を取って本当に辞めたじゃないか。長沼さんの覚悟があったからこそ、岡田監督は戦えたのだ。
肝の据わった本来のリーダーシップだ。果たして今の会長にそれはあるのかな。

韓国戦後の面談は、犬飼会長、岡田監督、原強化委員長の三者で行われた。本来の体制図でいえば、監督の上にいるのは強化委員長で、その上に会長がいるのだけど、前任者の流れを受けているのか、とにかく前へ出てくるのは会長だ。試合後のコメントも恒例になっているが、普通は原さんの声がまず先に出てくるはずだよ。
そう考えると、原さんの位置づけは何だろう。いざというときに責任を取らされるだけの、防波堤にされているのかもしれないね。
「世界を驚かす覚悟はあるか?」と煽る前に、会長が自らの進退をかける覚悟を持つ方が先じゃないか?

それから最後にひとつ、犬飼会長は、協会への抗議電話の件数が200件と聞かされ、「たった200件?」と答えたというが、確かにそれほど堪えていないのだろう。昔は生卵も飛んだし、空港で水がかけられたなんてこともあった。何かを変えるには、今のブーイングはまだかわいい。もっともっと声を上げるべきだ。(了)
セルジオ越後

セルジオ越後(せるじおえちご)

サッカー解説でお馴染みのセルジオ氏による辛口コラム。