飲食料品の消費税率「1%」へ 飲食店の売り上げが減る可能性 メーカーなど“価格転嫁のチャンス”に?
政府は5日午後、来年4月から2年間、飲食料品の消費税率を1%に引き下げる方針を閣議決定しました。外食ではなく、テイクアウトの需要増加が予想されるなか、大手外食チェーンはさっそく新たな戦略に乗り出しています。
■懸念は「消費減税」

お昼ごろ、東京・立川市にあるガストの店内には、昼食を楽しむお客さんの姿がありました。2人が舌鼓をうつのは、マーボー豆腐丼ととんてき丼です。
宅配用のお弁当もあります。ハンバーグに目玉焼きをのせ、ごはんとあわせて食べる、その名もずばり「目玉ハンバーグ弁当」です。できあがった弁当は、すぐにバイクでお客さんのもとへ運ばれます。
ただ、心配ごとは、政府が進める消費減税。
ガスト中日本営業本部 プロモーター・阿部花央里さん
「(消費)税率が変わりますと、お客様から外食に対する目線が、以前よりも厳しいものになるかなと」
現在、店で食事をした場合の消費税は10%、宅配やテイクアウトなら8%ですが、来年4月以降に減税されれば、テイクアウトなどが1%に引き下げられるため、価格差が広がり、店で食事をする人が減ってしまうのではないかと懸念しているのです。
■「逆によい機会ととらえてサービス充実」

こうしたなか、運営会社の「すかいらーく」は対策を急いでいます。
その1つが、宅配とテイクアウト専用メニューの開発。メニューのバリエーションを増やし、今後、増加するテイクアウトの需要をとりこむ狙いです。
さらに、今後、宅配とテイクアウト専門の店舗を各地に展開する予定です。
すかいらーくHD 北義昭常務取締役CFO
「フードデリバリー(宅配)・テイクアウトの専門店化。(減税で)テイクアウト・フードデリバリーを利用していただく機会が増えるので、それを我々は逆によい機会ととらえて、サービスの充実(をはかる)」
■閣議決定も…焦点は野党の賛同

飲食店の売り上げが減る可能性について、批判も上がっています。
国民民主党 玉木代表
「外食離れを促進するような税制を入れて果たしていいのか。閣議決定するということは、これは見切り発車と言わざるを得ない」
政府は5日午後、来年4月から2年間の消費減税方針を閣議決定しました。
今後、秋にも開かれる臨時国会に減税の法案を提出する方針ですが、参議院では少数与党のなか、財源などに懸念を示す野党の賛同を取り付けられるのかが焦点となります。
■減税の効果、実感できる? 「本当に家計負担減るのか」疑問視も

ここからは消費減税について、経済部・財務省担当の児玉夏穂記者が「消費者が減税の効果を本当に実感できるのか」「財源の具体化は進んでいるのか」の2つのポイントで解説します。
――家計の負担はどれくらい軽くなる?
野村総合研究所の試算によりますと、飲食料品の消費税率が8%から1%に引き下げられると、4人家族の場合、年間で6万2528円、家計負担が減るとしています。
ただ、「本当に7%分家計負担が減るのか」と疑問視する声も上がっています。
いま中東情勢を受けた原油価格の高騰などの影響が飲食料品に広がっていて、今後も値上げは続く見通しです。
ABC経済研究所の熊野英生さんによりますと「消費減税の直前の来年3月くらいに値上げを予定している」との食品メーカーの声が実際にあり、そうした値上げの駆け込みのような動きは「今後も増えるのではないか」と話しています。
また、飲食料品を扱う大手スーパーの関係者は、「減税分の7%をそのまま下げるのは難しい」と話しています。
消費減税が値下げ効果というよりも、メーカーや小売りにとって、価格転嫁のチャンスのようになってしまい、実際に私たち消費者が消費減税の恩恵をどこまで実感できるのかは分からない、といった状況です。
■年間5兆円分の穴…財源の具体化は?

消費税は、医療、介護などの社会保障費の主な財源ですが、消費減税によってこの財源に年間5兆円分、穴があくことになります。現状、この5兆円分の具体的な財源は示されていません。
財務省幹部が「財源確保は予算全体で考えないと意味がないから」と話すことにその理由があります。
例えば、他の政策のための財源から、5兆円分持ってきて「財源確保しました」と言っても、それでは他の政策が実施できなくなってしまうことになります。
そうなったときに赤字国債を発行してしまうと、高市総理大臣が「赤字国債に頼らない」としている約束が、予算全体でみると守られていないことになります。
8月末に締め切られる各省庁からの予算要求が出そろって、年末に向けた予算編成作業が進まないと、具体的な財源は出てこないということです。
そうした状況が分かっていながら、消費減税を決めたという状況になっていて、だからこそ、財源をしっかり確保することができるのか、今後の予算編成の過程でしっかり見ていく必要があります。
