ウクライナのゼレンスキー大統領が「ロシア国内のドローン攻撃にStarlinkを利用させてほしい」とトランプ大統領に要求

2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は記事作成時点でも続いており、2026年7月下旬に行われたウクライナ各地への爆撃では、少なくとも15人が死亡する事態となっています。そんな中、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は7月28日にアメリカのドナルド・トランプ大統領と会談した際に、「衛星インターネットのStarlinkをロシア国内のドローン攻撃に使えるようにしてほしい」と要求していたと報じられました。
https://www.theatlantic.com/national-security/2026/07/zelensky-asked-trump-for-a-favor-from-elon-musk/688122/
7月28日にアメリカのホワイトハウスで行われたゼレンスキー大統領とトランプ大統領の会談では、パトリオットミサイル迎撃システムのウクライナへの供与と、戦争終結に向けた外交努力の再開について協議が行われたとされています。
海外メディアのThe Atlanticの報道によると、ゼレンスキー大統領はこの会談で「ロシア国内でのドローン攻撃の誘導にStarlinkを使う許可」を、Starlinkを展開するSpaceXのイーロン・マスクCEOから得るように要請したとのこと。匿名を条件に証言した複数の当局者も、ゼレンスキー大統領の要請が事実であったことを認めました。
マスク氏はウクライナ国内のインターネット環境をサポートするため、ロシアによる侵攻が始まってすぐにStarlinkをウクライナで使用可能にしました。一方、マスク氏はStarlinkを軍事目的で使用することに消極的な姿勢を示しており、爆弾を積んだウクライナの無人潜水艦がロシアの軍艦に攻撃を仕掛けることを阻止するために、クリミア海岸周辺のStarlinkのネットワークを停止するよう命じていたこともわかっています。
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Starlinkはロシア国内での使用が制限されているため、ロシア国内の攻撃を目的としたウクライナの長距離ドローンは、AI搭載のナビゲーションツールといった信頼性の低い方法で標的を識別しています。この方法でも、ロシアの石油精製所や倉庫などの大規模インフラ施設を攻撃することは可能です。しかしウクライナ軍は、ロシアがウクライナ各地を爆撃するために使う弾道ミサイル部隊など、より小型で移動性の高い標的を攻撃するために、Starlinkを使ったより精密な誘導システムを利用したいと考えているとのこと。
ゼレンスキー大統領は今回のアメリカ訪問中にこの議題について話し合うため、マスク氏との会談を求めたそうですが、マスク氏はこれを断ったと報じられています。ホワイトハウスで会談したトランプ大統領は、要請について検討すると述べたものの、具体的にいつマスク氏とこの件について話し合うのか、いつ決定を下すのかといった具体的な回答は控えたそうです。
トランプ大統領はロシアとウクライナの戦争を早期終結させたいと考えており、解決に時間がかかっている今の状況にいらだちを募らせています。ある当局者によると、トランプ大統領の判断は「それが戦争終結を早めるのかどうか」に大きく左右されるとみられ、Starlinkの使用によってロシアが交渉による解決を進めると判断できれば、ゼレンスキー大統領の要求を受け入れるかもしれないとのこと。しかし、Starlinkの利用許可が事態を悪化させるとみれば、要求を拒否する可能性があります。
ゼレンスキー大統領は、2026〜2027年の冬にロシアがミサイルでウクライナの電力網や暖房システムを攻撃してくる可能性があり、これに対抗する必要があるとトランプ大統領に強調したとのこと。ウクライナはアメリカにパトリオット迎撃ミサイル300発の供与を要求していましたが、アメリカはイランとの戦争で迎撃ミサイルの備蓄のうち約3分の2を使っており、759発しか残っていないと推定されています。
トランプ大統領は7月初めのゼレンスキー大統領との会談で、パトリオット迎撃ミサイルの供与を拒否する代わりに、独自の迎撃ミサイルを製造するライセンスを与えると約束しました。しかし、ウクライナがこれを大量生産できるようになるには数年かかる見込みであり、ゼレンスキー大統領はこの問題を解決する案としてStarlinkの利用許可を求めたそうです。

ロシアを攻撃するための軍事ドローンを製造しているウクライナ企業Fire Pointは、Starlinkを使わないさまざまな誘導システムを使用しています。しかし同社の共同創業者であるデニス・シュティラーマン氏は、Starlinkを搭載したドローンはロシアの弾道ミサイルの脅威を無力化する上で、パトリオット迎撃ミサイルよりもはるかに効果的であると主張。「これは打ち出される矢を撃ち落とすのではなく、射手の方を攻撃するのです」と述べました。
ウクライナはすでに自国領内でStarlink対応ドローンを使用しており、ロシアとの前線地帯に数十kmの無人地帯「キルゾーン」を設けています。このキルゾーンにロシア軍が進軍してきた場合、Starlink搭載ドローンがすぐさま攻撃できるというわけです。
仮にStarlinkをロシア領内でも利用可能になれば、ウクライナはこのキルゾーンを最大500kmまで拡大できるとのこと。シュティラーマン氏は、「もしロシアが攻撃範囲を拡大すれば、必要であればキルゾーンをシベリアまで拡大するでしょう。私たちの技術はそれを可能にします」とコメントしました。
The Atlanticは、ウクライナでマスク氏やSpaceXと最も強い関係を築いてきたのは、ミハイロ・フェドロフ前国防相だったと指摘。しかし、フェドロフ氏は7月中旬に更迭されてしまったことから、ウクライナはマスク氏との主要な窓口を失った状態だとのことです。
なお、SpaceXは通信キャリアへの参入を狙っていることも報じられています。
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