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食料消費税を2年間ゼロにする――高市総理が掲げる看板政策を巡り、制度設計や財源確保の議論が続いています。社会保障国民会議では、食料消費税減税や給付付き税額控除などを含めた税制改革が検討されていますが、減税終了後の税率をどのように扱うのか、約10兆円とされる減税財源をどのように確保するのかなど、なお詰めるべき論点は少なくありません。こうした議論を振り返るうえで興味深いのが、16年前、高市氏が野党議員として民主党政権の「子ども手当」政策を追及していた事実です。当時、高市議員は財源や制度設計について政府に質問主意書を提出していました。現在、総理として同様の論点について説明を求められる立場になっています。

民主党政権が導入した「子ども手当」

2009年の衆議院選挙で政権交代を実現した民主党は、マニフェストの柱の一つとして「子ども手当」の創設を掲げました。

これまで支給されていた児童手当に代わり、2010年4月から中学校修了前までの子どもを養育する保護者に現金を支給する制度が始まりました。税制面では、これに伴って所得税や住民税の年少扶養控除が廃止されています。

子ども手当は、2010年3月に成立した「平成22年度における子ども手当の支給に関する法律」に基づく時限立法としてスタートしました。当初は2011年度以降に月額2万6,000円を支給する構想でしたが、財源確保が難航したことから増額は見送られ、実際には月額1万3,000円の支給にとどまりました。

その後、2011年8月に民主・自民・公明の3党が見直しで合意し、制度は2012年3月で終了します。現在の児童手当制度へ移行することになりました。

高市議員が政府に提出した質問主意書

子ども手当を巡り、高市議員は2010年2月1日、「子ども手当に関する質問主意書」(質問第135号)を政府へ提出しています。

質問は全部で7項目に及びましたが、その中心となったのが財源の問題でした。

民主党は、子ども手当を「国民との契約」と位置付け、所得制限を設けずに実施する方針を掲げていました。しかし、当時の連立政権内では考え方が一致していたわけではありませんでした。

亀井静香郵政改革・金融担当大臣は所得制限を設けるべきとの考えを示し、福島瑞穂消費者・少子化担当大臣は支給額を抑え、その分を保育所や学童保育の充実に充てるべきだと主張していました。

制度の具体像や財源を巡って、政権内部でも意見が分かれていたことがうかがえます。

政府答弁は「予算編成過程で検討」

これに対し、政府は質問主意書への答弁書で、「予算編成過程を通じて政府として検討しているところである」と回答しました。

制度設計や財源などについては、今後の検討事項として整理され、具体的な方針は示されませんでした。

当初予定していた月額2万6,000円の支給は実現せず、制度内容も短期間で見直されることになります。

「攻める側」から「説明する側」へ

現在、高市総理が掲げる食料消費税2年間ゼロについても、制度設計や財源を巡る議論が続いています。

社会保障国民会議では、給付付き税額控除との組み合わせも含めた検討が進められていますが、財源の確保や制度終了後の税率の扱いなどについては、今後の議論に委ねられている部分があります。

16年前、高市議員は野党の立場から、民主党政権に対し「財源はどうするのか」「制度設計は十分なのか」と問い掛けました。

そして現在は、総理として自らが打ち出した政策について説明責任を果たす立場にあります。

政策の内容は異なりますが、大規模な給付や減税を実施する際には、財源や制度設計をどのように国民へ説明するかが重要な論点となる点は、16年前も現在も変わりません。

かつて政府に向けた問いは、いま高市総理自身に向けられています。食料消費税減税を巡る議論では、財源や制度の持続性について、どのような説明が示されるのかが今後の焦点となりそうです。

矢内 一好

国際課税研究所

首席研究員