こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した渦巻銀河「M66(Messier 66)」。しし座の方向、地球から約3500万光年先にあります。


【▲ ハッブル(Hubble)宇宙望遠鏡が観測した渦巻銀河「M66(Messier 66)」(Credit: NASA, ESA and the Hubble Heritage (STScI/AURA)-ESA/Hubble Collaboration. Acknowledgement: Davide De Martin and Robert Gendler)】

画面いっぱいに広がるのは、青やピンクに彩られた星々とガスの輝き、そして入り組んだ暗い塵(ダスト)の帯です。整った螺旋を描くのではなく、歪んだように非対称な渦巻腕(渦状腕)は、銀河どうしが重力を及ぼし合ってきた歴史を物語っています。


影響し合う三つ子の銀河

M66は、近くにある別の銀河「M65(Messier 65)」や「NGC 3628」とともに、「しし座の三つ子銀河(Leo Triplet)」と呼ばれる相互作用銀河のグループを形成しています。3つの中でM66は最も大きな銀河で、直径は天の川銀河と同程度の約10万光年にも及びます。


ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によると、一般的な渦巻銀河は中心部から対称的に渦巻腕が伸びた規則正しい形をしているものの、M66の渦巻腕は非対称に伸びていて、銀河の中心核もずれているように見えます。かつてはM66も整った姿をしていたものの、近隣の2つの銀河との間で重力を介した相互作用が起きたことで、現在のように歪んだ姿になったと考えられています。


“星のゆりかご”と若き星団の輝き

この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡の「ACS(掃天観測用高性能カメラ)」で取得したデータを使って作成されました。


渦巻腕に沿って連なる暗い塵の帯(ダストレーン)、その近くで特に目立つピンク色の輝きは、若い星が放つ紫外線によって電離した水素が赤い光を放つ電離水素領域(HII領域)を示しています。この場所は新たな星を生み出す星形成領域であり、“星のゆりかご”と言える領域です。


一方、青く点在しているのは、星形成領域で誕生した星々が集まった星団です。これらの星団は、銀河が長い年月をかけてどのように進化してきたかの歴史を紐解くうえで、重要な手がかりとなります。


星のライフサイクルを学ぶ手がかり

M66では2016年に発見された「SN 2016cok」をはじめ、1989年以降合計4つの超新星が観測されています。SN 2016cokは寿命の短い大質量星が起こすタイプの超新星の一種(IIP型)であり、星形成活動の活発さを物語る現象のひとつでもあります。


また、ハッブル宇宙望遠鏡だけでなく、チリのアルマ望遠鏡(ALMA)やVLT(超大型望遠鏡)なども参加する国際観測プロジェクト「PHANGS」によって、M66をはじめとする近傍の銀河において、星形成を促すガスの詳細な分布が明らかになってきています。このように、18世紀から知られるM66は現在でも継続的に観測が行われており、星の誕生と死のライフサイクルを私たちに教えてくれています。


冒頭の画像はESA/Hubbleから2010年4月8日付で公開されたもので、ESAのハッブル宇宙望遠鏡公式Xアカウントが2026年7月23日に改めて紹介しています。


 


文/ソラノサキ 編集/sorae編集部


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