避難所の冷房設置率13.4%…被災者の熱中症対策と医療費免除を求め、医師団体が緊急要望書
熊本県によると、最大震度7を観測した令和8年熊本地震により、7月30日午前7時30分の公式発表時点で17人の死亡が確認されている。
被災地では、過酷な暑さのなか約1万人が避難所などで生活を続けている。開業医や歯科医でつくる全国保険医団体連合会(保団連)は7月30日、高市早苗首相と上野賢一郎厚労省に対し、被災者の医療費窓口負担の免除や避難所の熱中症対策を国に求める緊急要望書を提出。
国に対し、被災者の命・健康を守るための対応を求めた。
避難所の冷房設置率は13.4%要望書がまず問題視するのは、真夏の避難所を襲う熱中症のリスクだ。
同要望書によると、熊本県で避難所となる体育館などの冷房設置率は13.4%にとどまり、全国平均を下回るという。
冷房のない空間で高齢者らが長期間過ごせば、体調の悪化は避けられない。保団連は、冷房設備のある避難所の確保などの熱中症対策を「被災者の健康確保、震災関連死防止のためにも最優先で取り組むべき課題」と位置づけた。
高市首相は7月29日の非常災害対策本部会議で、クーラーや電源車などを避難所に送る“プッシュ型支援”を進めていると説明。「熱中症対策を含めて良好な避難所環境の確保」に全力で当たるよう各省庁に求めた。
これを受け、経済産業省は、地震による被災地の避難所での熱中症を防ぐため、簡易型クーラー約3000台を支援する方針を固めたという報道もある。
文科省も また、小泉進次郎防衛相も同日、被災者の熱中症対策として避難所などで使うクーラーおよそ300台を、航空自衛隊の輸送機で被災地へ運んだことを明らかにしている。
要請書では避難所の冷房以外にも、仮設トイレや栄養のある食事の提供に加え、男女別トイレやオストメイト(人工肛門・人工膀胱を使う人)対応トイレの設置、生理用品の確保など、ジェンダーの視点に立った整備の実現を列挙。手洗いの励行やマスク・消毒液の常備といった感染症対策の徹底も要請している。
医療費「無料化」の要望、過去には前例もまた、要望書で保団連が求めたのが、被災者の経済的負担を直接軽くする措置だ。
要望書では、特例措置によって医療費の一部負担金(窓口負担)と、入院時の食事・生活療養費の一部負担金を免除し、医療費を実質無料にするよう国に要請。
あわせて、国民健康保険料や後期高齢者医療制度、社会保険の保険料についても免除を求めており、介護保険の保険料・利用料や、障害福祉サービスの利用料の免除も盛り込まれた。
こうした窓口負担の免除には前例がある。2024年の能登半島地震では、住家の全半壊などの要件に当たる国民健康保険の加入者について、医療機関や薬局での窓口の一部負担金が免除された。
なお、今回の地震にあわせ厚労省では、マイナ保険証や資格確認書等を紛失した人、家に残したまま避難した人も、氏名、生年月日、連絡先などを医療機関窓口で伝えればそのまま受診できる旨をすでに通知している。

