マラネロの核にある哲学は失われず フェラーリ 849テスタロッサ・スパイダー(1) 1050psのV8プラグインハイブリッド 剛性はクーペと同等
マラネロの核にある哲学は失っていない
2026年の春、フェラーリはルーチェと名付けられた、5シーターのバッテリーEVを発表した。これは、ブランドファンに限らず、多くの人へ衝撃を与えることになった。歴代で最もフェラーリらしくないモデル、と表現しても過言ではないだろう。
【画像】疾走する壮大なシアター 849テスタロッサ スパイダーとクーペ 速さで迫るヴァルハラとレヴエルトも 全122枚
株式市場は素早く反応し、同社の株価は急落。SNSは、批判的なポストで溢れた。こんな状況に、取締役会は早々の対応を検討したのではないかと察する。

フェラーリ 849テスタロッサ・スパイダー(欧州仕様)
マーケティング主任は突如交代になり、同社としては10年ぶりのMT搭載モデル、12チリンドリ・マヌアーレの限定生産が明かされた。そして、矢継ぎ早に試乗の機会を得たのが、849テスタロッサの「スパイダー」だ。
フェラーリは、電動化という未来へ向かって加速を続けている。それでも、マラネロの核にある哲学は、失われていないと再確認できた。「今でも世界最高峰のスーパーカーを作り続けているのです」という声明が、聞こえてくるようだった。
総合1050psを繰り出すV8プラグインハイブリッド
849テスタロッサは、SF90ストラダーレの後継で、フェラーリの量産モデルにおけるフラッグシップ。そのリトラクタブル・ハードトップ版が、スパイダーだ。
4.0L V8ツインターボエンジンが主体のプラグイン・ハイブリッドは、SF90ストラダーレの進化版。前側には左右のタイヤへ1基ずつ、後ろ側には8速デュアルクラッチATの手前側へ1基の駆動用モーターを実装し、システム総合で1050psを繰り出す。

フェラーリ 849テスタロッサ・スパイダー(欧州仕様)
公道用モデルとしては、フェラーリ史上で2番目に高出力。スペック的には、アストンマーティン・ヴァルハラやランボルギーニ・レヴエルトに並ぶといえる。
0-100km/h加速は2.25秒と、驚異的。史上最速のコンバーチブルであることは、間違いないだろう。お値段も44万ポンド(約9240万円)以上と、最高峰の領域だが。
14秒で開閉するリトラクタブル・ハードトップ
テスタロッサという名前には70年以上の歴史があるが、これまでオープントップ・モデルは量産されてこなかった。レースカーの他、1980年代のモデルでは、充分な対価を提示した特別な顧客の要望へ応えるため、限定的に提供されているが。
対して、849テスタロッサのスパイダーは、クーペから約3万ポンド(約630万円)増し。45km/hまでなら、走行中でも14秒で開閉できるリトラクタブル・ハードトップを背負い、乱気流を防ぐため、電動で昇降するリアガラスが備わる。

フェラーリ 849テスタロッサ・スパイダー(欧州仕様)
荷室への影響はない。そもそもクーペでも、キャビン後方には荷室がなく、フロントに小さな収納があるだけだ。後方の視界も、想像より悪化していない。開いたルーフは、V8ツインターボエンジンの上、リアデッキ内へきれいに収納される。
シャシーは補強されたが、車重は30kgの増加に抑えられ、ねじり剛性はクーペと同等とのこと。シルエットも殆ど変わらないため、空力特性への影響も小さい。キャビンへの風の巻き込みは、最小限に抑えられたそうだ。
SF90から格段にダイナミックになったボディ
スタイリングはSF90から格段にダイナミックになったが、オープントップ化で、その印象は増したと思う。様々な要素が、混在するようにも見えるけれど。
リアには、明らかに高そうなカーボン製ディフューザーが備わる。その手前側には、巨大なパワートレインが鎮座する。バックで駐車する時は、細心の注意が必要だろう。

フェラーリ 849テスタロッサ・スパイダー(欧州仕様)
シートの位置は非常に低く、フロントアクスル辺りまで足を真っ直ぐ伸ばす運転姿勢で、乗降時には身体の柔軟性が求められる。だが、ルーフを開くと少し楽になる。
近年のモデルは、コンバーチブルであることの妥協が極めて小さいと、フェラーリは主張する。そのため、スパイダーを選ぶオーナーは増加傾向にあるとか。849テスタロッサの場合、クーペと半々の割合で売れると予想されている。
走りの印象とスペックは、フェラーリ 849テスタロッサ・スパイダー(2)にて。

