SNSで「おハゲ美容師」として発信している、あまもあみさん。Instagramではフォロワー数2万人超を誇り、インフルエンサーとしても活動している。

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 あみさんは約1万人に1人が発症すると言われる「先天性乏毛症(せんてんせいぼうもうしょう)」という病気の影響で、生まれつき髪が少ない。

 幼少期には容姿を揶揄され、小学校ではいじめ被害にも遭ったという。それでも笑顔を絶やさなかった彼女が、抱え続けた苦悩とは――。(全4回の1回目/2回目に続く)


あまもあみさん ©深野未季/文藝春秋

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「もうこんな髪いらない!」と全部バリカンで剃ったことも

――あみさんは「先天性乏毛症」という病気を患っているのですよね。

あまもあみさん(以下、あみ) 生まれつき髪の毛が薄くて伸びにくくて、まばらに生えています。昔は濃い部分をハサミで切って整えていたんですけど、最近、SNSで「バリカン使ってみたら?」と言われて。

 今はバリカンを使って、1cmくらい残すようにして剃っています。このちょろちょろした毛も、キューピーちゃんみたいにふわふわで、可愛いかなと思って(笑)。

 実家にいた頃に一度だけ、衝動的に全部剃ってしまったことがあるんです。「もうこんな髪いらない!」と思って。でも、いざ剃ってみたら、自分の見た目がすごく怖くなってしまって。

 普段は何も言わない家族も、驚いたような、心配するような視線を向けてきて、「これはちょっと違ったな」と。

――まばらに生えているのは髪の毛だけなのですか?

あみ 私の場合は、まつげや眉毛もすごく薄くて少ないので、メイクでカバーしています。

 あと、体毛も薄くて少ないので、脱毛いらずなんですよ。腕の毛は半年に1回、自分で剃るくらいの濃さですね。脇の毛は1年に1回くらい、1本だけぴょんって生えるので、それを処理しています。

――生まれたときの髪の毛は、どのような状態だったのでしょうか。

あみ 私が写真で見た限り、今より断然、毛量があって。当時はくるくるした癖毛でした。でも、やっぱり頭皮は透けていましたね。

――生まれたときのほうが、髪の毛が多かったんですね。

あみ 成長して頭が大きくなるにつれて、どんどん頭皮が透けていったんです。髪の毛が茶色っぽく細くなって、パッと見るだけで「あ、髪が薄い」とわかる感じでしたね。

 しかも、全然伸びないんですよね。私の場合、抜けるという感じではなくて、知らない間に途中で切れちゃうんです。

母親に「私の髪は何なの?」と気持ちをぶつけたことも…

――病院に行ったりしたのですか?

あみ 両親は、病院をたくさん回ってくれたみたいなんです。私が女の子だから、髪の毛を何とかしてあげたいと思って。でも、いろいろな検査や治療をしたけど、何も変わらなくて。

 しかも診断名もわからず、という状況でした。「先天性乏毛症」という診断名がついたのは1年くらい前で、本当に最近なんですよ。当時はデータが少なくて、お医者さんもわからなかったのかもしれません。

――診断名がわからないと不安ですよね。

あみ どうしたらいいのか、わからなかったと思います。両親としては、とにかく幼稚園に上がる前になんとかしてあげたい、という思いがあったみたいで。病院に通って、電気を当てる治療をしたり、薬もいろいろ使っていたそうです。

 でも、私には当時の記憶が一切ないんですよ。そのことを母に話したら、「辛かったから、しんどかったから、記憶から消えているのかもね。良かったね」と言われました。

――ご両親としても、どうにかしてあげたいという思いがあったのでしょうね。

あみ 20歳くらいのとき、それまでずっと我慢してきた気持ちがあふれてしまって、「なんで私ばっかりウィッグでお金もかかるし、嫌な思いをしなきゃいけないの」「私の髪は何なの?」「なんで私だけなの?」と、母にぶつけたことがありました。

 そしたら母から、「なんとかしてあげたくて、どれだけお金を使ったと思ってるの」と言われて。

「私、この人たちと違うな」幼稚園に入ってから周囲の視線を意識し始めた

――ご両親も辛い思いをされていたんですね。

あみ 以前、私の昔の写真を見ていたら、写真の横に「美容室に連れて行ったら男の子のように短くされてしまった、少しショック」と書かれた母のメモ書きがあって。きっと少しじゃなく、かなりショックだったんだろうなと思います。

 私の髪の毛のために、病院だけでなく美容院にも連れて行ってくれて、今は感謝しています。

――ご自身の髪の毛が周りの子と違うな、と意識し始めたのはいつ頃からですか。

あみ 幼稚園に入ってからですね。周りの子がリボンやヘアゴムをつけてすごく可愛い髪型をしているのを見て、「私、この人たちと違うな」と思いましたし、女の子たちからの視線も気にしてしまって。

親戚、同級生、教師からの心ない言葉

――容姿のことで、周りの人から何か言われることはありましたか?

あみ 小学生のとき、親戚のおばさんから「ひじき食べろ、わかめ食べろ」「黒い粉を頭に振った方がいい」「生理が来たら生えてくるんじゃない?」とか、いろいろ言われました。

「カツラはかぶらないの?」と言われたこともあって。最悪ですよね。会うたびに頭のことを言ってくるから、その人が家に来ても会わないようにしてました。

 5年くらい前に祖母が亡くなってお葬式に行ったときにも、「あの子、誰だったっけ」「あの頭の子だよ」って話してるのが聞こえてきて。無視しましたけど、「まだそんなこと言ってるのか」と思って本当に嫌な気持ちになりました。

――学校で何か言われるようなことは?

あみ 小学校のとき、ロングヘアの可愛い女の子が、綺麗な髪を撫でながら「頭が涼しくていいね」と言ってきました。

 小学校高学年のときには、クラスの男子2人が、なぜか急に私の髪の毛のことをバカにし始めて。最初に1人が言い始めて、もう1人はかばってくれていたのに、途中から一緒になって私を攻撃し始めたんです。授業中に、私のことを「ハゲ」と揶揄する替え歌を歌われたこともあります。

――先生は止めなかったのですか?

あみ 先生は、笑いながら「もう、やめなさい」と軽く注意するだけでした。あの先生のことは、一生許さないです。

――それはひどいですね。

あみ ほかにも、先生の言葉で忘れられない出来事があって。小2のときの先生に、「あんた、頑張って生きるんやで」と涙ながらに言われたことがあるんです。それも傷つきました。私が死ぬわけでもないのに。

――そういった辛い出来事を、ご両親に相談することはありましたか。

あみ 一切しなかったです。やっぱり心配かけちゃうかなと思って。「学校どう?」って聞かれても、適当にへらへら笑って流していました。

 家に帰れば、そこは私の素でいられる場所ですし、家族はみんな私の味方だと思えたので、外での辛いことは言わないようにしていたんです。

モジモジして暗いと攻撃されやすいから「とにかく笑顔で」

――友だちに相談することは?

あみ 友だちにも言えなかったですね。そのせいか、何でも溜め込んでしまう性格になってしまって。今でも、仕事のストレスなどをあまり人に話すことができません。

――当時、溜め込んだ気持ちをどのように発散していたのですか。

あみ 部屋で1人で泣くか、部活に打ち込むか、ですね。小学校からずっとバドミントンをやっていて。家族の次に、部活が自分の居場所だったんです。

 スポーツをやっていると、自分の容姿を気にする暇がないというか。そのなかで「元気で強い子」のように振る舞っていれば、周りも攻撃してこないだろうと思って、気張ってやっていました。

――意識的に明るく振る舞っていた?

あみ そうですね。モジモジして暗いと、攻撃されやすいじゃないですか。でも明るくニコニコしていたら、周りも「この子、素敵だな」って思ってくれるかもしれない。

 小学生のときからずっと、とにかく笑顔でいるようにしてました。そのクセが今も抜けなくて、「いつもヘラヘラしてる」ってよく言われます。

「頭皮の透け具合が丸分かりになる」写真が大嫌いだった

――容姿のことで、人付き合いに悩んだことは?

あみ 昔は、女の子に苦手意識がありました。羨ましかったし、自分とはわかりあえない、違う生き物のように感じていましたね。

 CMで女性を見るだけでもストレスがすごかったんです。シャンプーのCMで女性が髪をかきあげたりしているのを見ると、「見たくない」って目を背けてました。

――お母様のことが苦手だった時期もあるそうですね。

あみ 10代後半の頃ですね。母は身だしなみを綺麗にしていて、私に「髪型どうするのがいいと思う?」と何気なく聞いてくることがあって。それを「うざい」と思ってました。私はやりたくても、できないから。思春期だったのもあって、理不尽な怒りを抱いてました。

 あと、子どもの頃は写真も苦手でした。一番嫌だったかもしれません。写真を撮ると、頭皮の透け具合が丸分かりなんですよね。

――現実を突きつけられるというか。

あみ そうですね。写真を見たときの、あのショックさといったら……。みんな髪が黒々としているのに、私だけ薄いから、すぐに見つけられるんです。卒業アルバムとかも、いかに透けないかを考えていろいろやりましたけど、どれだけ髪をかき集めても透けるんですよ。

 昔の写真を見られるようになったのは、本当に最近です。それまでは受け入れられなくて、見るのも嫌でしたね。

撮影=深野未季/文藝春秋

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(「文春オンライン」編集部)