賭けて楽勝と思いきや、じつは奥が深い「コインの表と裏、どっちが出るか」問題…「サルにでもわかる」はずなのに、実際にやってみると、なぜか計算が合わない…納得のワケ

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「勝負」を支配する〈数の法則〉がある!

ギャンブルの勝ち負けは「運の良し悪し」に左右されるイメージがありますが、じつは確率・統計の知識に基づく「期待値的に正しい」賭け方があります。

胴元はなぜ、「必ず儲かる」のか? パチンコ店はなぜ、たまった玉を「いったん換金しろ」と言うのか? 「本命」と「大穴」、どちらで勝負すべきか? 「必勝戦術」のあるゲームとないゲームはどう違うのか?……

そんな素朴な疑問から、世に蔓延する「必勝法」のウソをあばき、「数学的な裏づけに基づく賭け方」を伝授する話題沸騰の書『ギャンブルのからくり 確率・統計であばく「必勝法」のウソ』(講談社ブルーバックス)が登場します。

ブルーバックス・ウェブサイトでは、この書から興味深いトピックの数々をご紹介していきます。今回は、簡単な問題を例に、ちょっとした状況設定で意外に難しくなる確率論の特徴を実感してみましょう。

*本記事は、『ギャンブルのからくり 確率・統計であばく「必勝法」のウソ』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。

じつは、確率論は難しいんです

世の中にゴマンと存在する確率論的な問題のいくつかは、のちに説明することになるように、専門家ですら間違ったり結論が出せなかったりすることがある。

本稿ではまず、確率論で間違いやすい設問がどんなもので、そしてそれらは「なぜ」間違ってしまうのか、ということを考える。さまざまな種類の設問を例題形式で出題するので、とりあえず頭の体操をしてみる感覚でチャレンジしてみてほしい。

例題 3枚のコイン

3枚のコインがある。1枚は「両面とも黒(●●)」のコイン、1枚は「両面とも白(○○)」のコイン、そして残り1枚は「一方の面が黒で、もう一方が白(●○)」のコインである。表と裏の区別はつかないものとする。

いま、この3枚のコインを袋の中に入れ、よく振って混ぜ、 反対側の面の色が見えないように1枚を取り出して机の上に置いたところ、その見えている面の色は「黒(●)」であった。

さて、このコインの裏が同じく「黒(●)」である確率はどれくらいか。

確率は50%! それ、ホント…?

このコインは、少なくとも「両面とも白(○○)」のコインではない。「両面とも黒(●●)」か、「黒と白(●○)」のどちらかである。

したがって、裏面は「黒」も「白」も同様にありうる。よって裏が黒である確率は50%である。

「バカにするな」と思っていますか、「こんな猿にでもわかる問題を出すな」と。

ところが、実際に20回くらいやってみると、解答によれば半々で出現するはずの「白」が、明らかに少なめに出現するのを発見することだろう。

先ほどの「50%」というのは実はウソで、本当の正解は「66.67%(3分の2)」なのである(すんません)。

正解が66.67%になる理由

正解が66.67%になる理由を述べよう。

まず、袋の中には「6つの面」が存在し、どの面も選ばれる可能性は6分の1である。取り出した机の上のコインの見えている面(●)は、その6つの面のうちの3通りのどれかである。

黒面の3通りのうち、その裏面が「白(○)」のケースは1通りだけであり、したがって残り2通りのケース(3分の2)は、その裏面は同じく黒となる。

この問題をわかりやすく理解するには、机の上に出る可能性のある6つの面に「イ」〜「ヘ」の符号をつけることである。

両面黒のコインイ ● ロ ●両面白のコインハ ○ ニ ○黒と白のコインホ ● ヘ ○

すると、机の上に出る「黒」面はイ、ロ、ホ、の3通り、「白」面の出るケースはハ、ニ、ヘ、の3通り。

机の上に出るのが黒であろうと白であろうと、その裏が同じ色である可能性が3分の2であることがわかる。

これほど単純な、たった3枚のコインの問題でも、ちょっとした状況設定を見逃すと間違える人が多い。

ましてや、概念があやふやであったり、変数がやたらと多い状況下での確率論は、まず困難がともなうものと考えてよい。

3枚のコインに似た問題で、古くから「スミス氏の子供たち」という名称で知られている確率論の問題がある。デボラ・J・ベネットによる『確率とデタラメの世界』(江原摩美訳、白揚社、2001年)という本に、この問題のヴァリエーションが面白いかたちで紹介されている。『ギャンブルのからくり』でも、その詳しい内容を紹介しているので、確かめてほしい。

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