韓国の国立研究大学・KAISTの研究チームは、実際のサービス環境においてAIエージェントがどれだけの計算リソースと電力を使用しているかについて世界初となる体系的な分析を実施しました。分析の結果、AIエージェントは通常の生成AIに比べてクエリ1件当たり最大で136.5倍ものエネルギーを消費することが明らかになりました。

AI Agents Consume 136 Times More Power Than Standard Generative AI - Seoul Economic Daily

https://en.sedaily.com/technology/2026/07/06/ai-agents-consume-136-times-more-power-than-standard

ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)はユーザーからの質問に回答することを主な役割としています。一方で、AIエージェントは計画を立てたり、外部ツールを利用したりしながら複雑なタスクを自律的に実行したりして、ソフトウェア開発・研究支援・タスク自動化などさまざまな分野でより複雑な問題を解決できます。

KAIST電気電子工学科のユ・ミンス教授らの研究チームは、こうしたAIエージェントの実行中に発生する計算量とエネルギー消費量を分析しました。研究チームによると、AIエージェントの利用が拡大する一方で、AIエージェントを実際のサービスとして運用するために必要な処理能力とコストについてはまだ十分に理解されておらず、AIエージェントの計算コストや電力消費を定量的に分析したのは今回が初めてとのことです。

分析の結果、AIエージェントは通常の段階的推論を行う生成AIと比べて平均9.2倍多くLLMを呼び出すことが判明しました。応答時間は最大153.7倍まで上昇したほか、外部ツールを利用している間はGPUが待機状態となる時間が実行時間全体の54.5%を占めており、AIエージェントではGPUが計算よりも待機している時間が増え、ハードウェアを十分に活用できていないことも分かりました。



電力消費の増加はさらに顕著で、商用AIサービスでも用いられる規模の700億パラメータのLLMを利用したAIエージェントは、1件のクエリを処理するのに平均348.41Whの電力を消費しました。研究チームによると、これは通常の生成AIと比較すると最大136.5倍の電力消費に相当するそうです。

研究チームはさらに、データセンター全体で運用された場合の電力需要も試算しています。将来的にAIエージェントへのリクエストが1日あたり137億件に達すると仮定した場合、データセンターが必要とする電力は約198.9GWとなります。これは、アメリカ全体の平均消費電力の約半分に相当すると試算しています。

ユ教授は「本研究は、AIがより賢くなるというレベルを超えて、その知能を実現・維持するためにどれほどの電力やコストが必要なのかを定量的に示した初めての研究です。AIエージェントが普及する時代においては、AIデータセンターだけでなく、AIエージェントモデルや電力インフラも統合・最適化するアプローチが重要になるでしょう」と述べています。

注意すべき点として、「最大で136.5倍ものエネルギーを消費」という試算は「生成AIにおける単純な質疑応答」と「AIエージェントの複雑なタスク処理」を比較したものであり、「136.5倍」という数値は解釈の余地があります。ソウル大学元教授で元科学技術情報通信部長官のチェ・ギヨン氏は「生成AIとAIエージェントを直接比較することは難しいですが、複雑な問題を解決するには、単純なチャットよりもはるかに多くのエネルギーが必要であることが明確に示されています。KAISTの論文は、現在のAIエージェントの需要を満たすために、単にAIデータセンターの規模やコストを拡大するだけでは持続可能ではないかもしれないことを浮き彫りにしている点で重要です」と指摘しました。Microsoftが「AIへの質問1回の消費電力量は電子レンジを数秒動かす程度」と主張、従来推定の最大20分の1 - GIGAZINE

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