スポニチ

写真拡大

 大ヒット漫画「はたらく細胞」の作者・清水茜氏による編集部とのトラブル告発が、漫画業界に大きな波紋を広げている。清水氏の投稿をきっかけに、多数の漫画家が過去に編集部との間で経験したトラブルや苦悩を相次いで告白。創作現場の在り方に注目が集まっている。

 清水氏は今月1日から自身のXで「はたらく細胞」の連載前だった2014年以降、講談社「月刊少年シリウス」の担当編集者や編集部との間で生じた問題を時系列で公表。不当な対応が続いたことでうつ病を発症し、一時連載を休止したことや、再開後も環境改善が進まず、心身の負担から連載終了を決断したと説明した。また、スピンオフ作品では自身の意思に反してクレジット表記が変更されたケースがあったとも訴えた。

 これを受け、講談社は公式声明を発表。「連載期間中、清水先生より環境改善に関するご要望を複数回いただいていたにもかかわらず、『医療監修体制の整備』や『然るべき作画環境(アシスタント手配等)の構築』を適切に履行することができませんでした」と認めたほか、一部スピンオフ作品や映像化関連出版物でクレジット表記の事前確認が適切に行われていなかったとして謝罪した。

 清水氏の告発後には「幼女とスコップと魔眼王」の漫画を担当した茅田丸氏も、印税の未払いなどがあったとSNSで告発した。

 さらに「金属スライムを倒しまくった俺が【黒鋼の王】と呼ばれるまで」などを手掛ける藤屋いずこ氏は、自身のXでシリウスに連載していた「さよならのパレード」が未完となった理由について言及。「2016〜2019年に編集部側とさまざまなトラブルがあり、環境的にも精神的にも続きを描くことが難しくなった」と説明し、長年読者から寄せられていた疑問に初めて答えた。

 また、「ボールアンドチェイン」などで知られる漫画家・南Q太氏も、「清水茜先生の投稿を読んで胸が苦しい」と投稿。「売れていないから仕方ないと諦めていたが、大ヒット作を生み出した作家でさえ編集者から酷い扱いを受け続けるなら、本当に希望がない」と心境を吐露し、過去に受けた扱いを明かした上で清水氏への共感を示した。

 さらに、ジャンプ+で「魔法少女と麻薬戦争」を連載中のメイジメロウ氏も、過去に同編集部から「あなたは清水先生に比べて劣っている」「このままだと負け犬ですよ」と繰り返し言われた経験があったと告白。編集者による言動への疑問を投げかけた。

 清水氏の告発を契機に、これまで表面化してこなかった編集部との関係や制作現場の問題を打ち明ける漫画家が相次いでおり、漫画業界の体制や編集現場の在り方を巡る議論が広がりを見せている。