カンボジアは特殊詐欺の温床として世界中から批判を浴びている

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 現在、カンボジアは特殊詐欺の温床として世界中から批判を浴びている。連日のように警察の摘発が続き、拉致や監禁の報道も相次ぐなど「危険な国」というイメージが定着しつつある。

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 かつて、世界遺産アンコールワット観光拠点「シェムリアップ」は、多くの日本人が訪れる街だった。2002年〜2003年には国別観光客数で日本人が1位を記録し、そんな縁から今も在住日本人や日本語ガイドが多く暮らしている。

 しかし街を歩いてみると、詐欺問題が顕在化した今、街の様子は激変していたのだ。【前後編の前編】

 6月中旬、 35度を超える猛烈な日差しの中、シェムリアップ・アンコール空港に降り立った。2023年に中国の援助で完成したばかりの新しく清潔な施設だが、1日の離発着は20便足らず。人影はまばらだ。

 タクシーに乗り込み世間話をすると、「雨が降ったからこれでも少し涼しい方だよ」と現地のドライバーは笑っていた。「もしかして韓国人ですか?」と聞かれたので、日本人だと応じたところ、自嘲気味にこう話した。

「韓国ではショッキングな事件が起きてしまいました。だけどここは安全だし、いつか韓国の観光客がまた戻ってきてくれることを期待しています。日本でも詐欺拠点のニュースがたくさん報じられていますか? 最近は韓国人だけではなく、日本人も消えてしまいました。中国人も減ったし、タイやベトナムも減った。それでも私たちは生活をしないといけないから大変です」

 彼が語る「韓国の事件」とは、昨年8月に起きた韓国人大学生(当時22歳)の拷問殺害事件だ。騙されてカンボジアの詐欺拠点に監禁された末の惨劇は韓国世論を沸騰させ、韓国政府は一部地域への渡航を禁止。今年5月には、関与した中国人詐欺グループ6名に終身刑が言い渡された。

「報道されているよりも、もっとたくさんの人が死んでいるんじゃないかと言われています。これだけたくさんの詐欺拠点があるんだから、死んでいるのが一人というのはおかしいのではないですか? でも、私たちが暮らす分には安全ですし、あなたも普通の観光客だから安全です」

ゴーストタウン化する夜の街

 空港から車で40分。中心市街地に着くと、夕方にもかかわらず客のいない店や、手持ち無沙汰なトゥクトゥクがズラリと並んでいた。宿泊した場所も、見たところ2割程度しか客はいないようだった。

 15年前、夜になるとメインの「パブ・ストリート」は多国籍な観光客で溢れかえり、爆音の中で身動きが取れないほどの熱気に包まれていた。しかし今は空席が目立つ。クラブで踊る人もまばらで、すれ違うのは欧米系の観光客ばかりだ。

 日本人の現地在住者が語る。

「タイとは国境問題で関係が冷え切っていますし、他の東南アジアの国、ベトナムやマレーシア、インドネシアなんかは詐欺メンバーとして逮捕されている人数も多いから、風評被害もあって普通の観光客は減りました。欧米でも詐欺被害が広く報じられていますが、自国民が詐欺のかけ子をしているケースは少なく、危機感は低いようです。それでも減ったとは思います」
 ある日本人の飲食店オーナーもこう嘆いていた。

「シェムリアップは観光に依存している街です。だからコロナで、本当苦しかった。収束してようやく客足が戻ると思ったら今度は詐欺です。シェムリアップにきて、これまでいい思いをしたことがない」

 現地のトゥクトゥク運転手からもこう誘われた。

「客がいないよ。もっと観光する人が増えて欲しいよね。帰る前に、寝る前に、おすすめのマッサージはどう? セクシーな女の子がいるよ。女の子達も私たちも生活するのが大変だよ。行こうよ」

 タイやベトナムとの国境や、首都・プノンペンと異なり、シェムリアップでは拠点の摘発に関するニュースがほとんどない。観光客が激減していること以外に変化はなく、夜道を1人で歩いている女性もいた。

 しかし、日本人在住者らに詳しく話を聞くと、カンボジアに起きている異常事態の片鱗が垣間見えたのだ──。

(後編につづく)